Angel

Angel

全て | 日々の日記 | 小説
January 13, 2009
XML
カテゴリ: 小説
まずは、先日のことを詫びる謝罪文。そして、見合いの件について尋ねる文を書き、最後にまた、ごめんなさいと書いた。





 「...まだ、全体的に暗いですが、椿様が聞きたいことなら、宜しいのではないでしょうか?」

「...あと、手紙にこれを添えたいんですが...」

「良いでしょ!この香をあげると言うことは思い入れが強いのですね。」

静かに頷いた。私の贈る香の種類は香木だ。香とは、平安時代の貴族達が、香りを楽しんでいた。他にも香の種類は、線香・香木・練香・匂香・焼香・塗香・抹香などがある。

贈り物の香は、京都から戻って暫くして、また、京都に沙夜姉様と行き、その時に購入した。ついでに、私も匂香を購入。(携帯出来る物)
その目的は、沙夜姉様の友人の百合亜さんと秀衡さんの婚約が報告されたので、そのお祝いの挨拶に伺ったのだ。

とても幸せそうな百合亜さん。だけど、相変わらず、秀衡さんは、百合亜さんを「お嬢様」、「百合亜様」と呼んでしまい、百合亜さんに怒られ、泣かれそうになっていた。

だけど、本当に愛おしそうで、好きだと感じさせられた。



 用事が済み、京都から帰る際に立ち寄ったお店で見つけた。結構、値が張るので、購入しようか、どうしようか迷った。だが、物が良く、値段も良心的な値段だと聞いたので、思い切って、買ってしまったのだ。




買ったのまでは、良かったのだが、なかなか渡す機会がなかった。
逢えなくて、でも逢えたら、擦れ違いが生じ、孤独感や寂しいと言う感情に駆られて、大事なことを忘れていた。

真っ直ぐで、優しい辰之介様が好きで好きで、堪らない。初めて、ずっと一緒にいたいと思った人。世界で誰よりも愛しいと感じる人。

だから、失うかもしれないと思った時、心に募っていた不安が溢れるように、零れて、大事なことを見失い掛けていた。

薫さんが手紙を書くことを奨めてくれなかったら、気が付かなかったと思う。



 手紙に今、伝えたい想いを綴り、そして、香に想いを託し、配達を頼んだ。

その手紙を書くことに、一生懸命頑張ったので、疲れてしまい、また、暫く寝込むことになりそうだった。だけど、今度は、優しい夢が見れそうな気がした。

薫さんが、心休まるようにと、優しい香りのお香を焚いてくれたので、それのおかげで眠れたような気がした。



 「...ゆっくりお休み下さいませ!今だけは、優しい香りに包まれながら、お眠り下さい!」

こんな風に眠る私に呟くように薫さんは言った。どこか寂し気に言う薫さんを見て、何だか思い詰めていると捺さんは感じていた。




ー辰之介様視点

 「...若君様!椿様から、椿様から手紙が届いております!!」

いつも冷静沈着のイメージのある樹が取り乱し、息を切らしながらやって来た。

「樹!そんなに慌てなくて良いよ。呼吸をまず、整えよう。」

「失礼しました。...」
深く深呼吸をして、落ち着かせる。


 樹は、自分のことのようにいつも一緒に泣いたり、笑ったりする。年は5歳しか離れていない。なのに、使命を全うしようといつだって、一生懸命で、暇さえあれば、いつも修行を欠かさない。忍びである彼は、あまり顔を見せないのだが、近頃、何か心を動かされるものを見つけたらしい。




 「久々でございますね。椿様との文通を心待ちにして下りましたから、良かったですね!」

満面な笑みを浮かべる。

そんな普段との雰囲気が違う、彼の姿を見た人には、時々、驚かれる。しかし、その冷静な所と子供のように笑う所の雰囲気が変わるところが素敵という女性も多く、密かに親衛隊なんかも発足されているが、肝心の樹は女性に興味がないのか、仕事熱心過ぎて、時々、心配になる。




 「...ああ、ありがとう。椿ちゃん、具合良くなっていると良いな...」

椿ちゃんのことを想うと胸が痛くなる。


「...若様!大丈夫ですよ!薫さんが見ていてくれるんです!きっと大丈夫です!」

「そうだね!薫さんは、時々、パワフルに感じるけど、繊細だなと思うよ。」

薫さんの名を出しただけで、樹がなんか動揺している風に思えた。




 「...ごめんください!」

玄関の近くにいたので、二人で行くと噂をするばといったように、薫さんが大きな風呂敷に包んだ荷物を持っていた。

「...あっ、薫さん!どうしたんですか?」

「こんにちわ♪辰之介様、樹様。恵様はいらっしゃるかしら?」

「...御婆様は、今、外出中です。」

「そう......。咲様からお届け物に上がったのだけど...」

薫さんは困った顔をした。そこへ椿ちゃんの従姉妹で半年くらい前に嫁いできた美桜さんが現れた。

「あら、薫さんに、皆さん、どうしたんですか?」

「美桜様。お久し振りでございます!そうだ!美桜様、ご懐妊おめでとうございます!咲様や美桜様のお母様から預かり物がございます!」

「ありがとう。薫さん!昔みたいにちゃん付けで良いのよ!」

美桜さんは言うが

「なりません。美桜様は北条家の姫君。私のような身分の低い者がそのような呼び方など許されません。」

薫さんは、分を弁えていた。


「...そう。でも、私達はずっと友達だから!」

薫さんは風呂敷の中から色々取り出して、美桜さんに渡した。

「...皆、楽しみになさっております!」

「そう。私も男の子か女の子か判らないけど、とても楽しみなの。椿ちゃんの具合はどうかしら?」

「だいぶ、熱も下がり安定していますわ!だから、お気にせず、今は、お子のことだけお考え下さいませ!」

「美桜。大丈夫か?ここじゃ冷えるだろ!中に入ろう。」

俺の親戚の兄さんで、美桜さんの旦那さんがやって来た。

「大丈夫ですよ!それに、まだ三カ月です!時期が来るまで、お母様達の下で頑張りますわ!」

「良いんだよ!美桜がそこまで、気を遣わなくて!俺の美桜に何かあったら、俺が気が気じゃないよ!」

この光景、どこかで見たようなと思った。

小さな声で、薫さんと樹は話していた。

「...この感じ、椿様と辰之介様のやり取りみたいですね?」

「そうですね!若様と同じ様にかなり過保護のところなんか。」

「そして、さり気なく、自分のと強調したり、恥ずかしい台詞をサラッと言うところなんか!」

「ええ、そうですよね!若様も天然ですが、大旦那様や旦那様もそういう所あります!」

二人で盛り上がっている。


「二人して、何を話しているの?」

つこむと離れた。仲は悪い訳じゃないと収穫はあった。

「...それじゃあ、皆様。私、これで失礼します。美桜様。お体にお気を付け下さい!」

そう言うと帰ってしまった。美桜さんは寂しそうだった。

「...美桜。行こうか。」

ギュッと強く抱き締めた。

「...痛いですわ!旦那様。そんなに強く抱き締めなくても、私はどこにも行きませんわ。」

「美桜が俺だけを思って欲しい。離したら、もう君に逢えない気がする。」

困った様子の美桜さんだが、どうしたら良いか判らない。

「...あっ、また!美桜ちゃんにベッタリして困らしてる!」

「...綾!」

俺の従姉妹で、年は10歳だ。

「...違うんだよ!綾。美桜が可愛くて堪らないから離せないんだよ。」

「そうなんだ。でも、御婆様が、あんまりベッタリして、嫉妬ばっかしていると美桜ちゃんに嫌がられれんじゃないかと言ってたわ!」

『(恵様)御婆様!切った!』

樹と俺と美桜さんは、心の中で一斉に思った。よりによって、綾に言っているとは...。


綾は、外見、和風美少女で、周りが良く騙されるが、中身は、素直で、真っ直ぐな性格で、御婆様に似ていて、悪気がなく、毒舌な所がある。


「...そうだね。綾。お兄ちゃん、美桜にベッタリし過ぎだよね?」

かなり落ち込んでいた。

「うん。美桜ちゃんを困らせちゃダメ!」

更に、斬られて、また少し立ち直れなくなった。

「綾ちゃん!大丈夫よ!困らせるほどのことは、殆どしてないわ!大事にしてくれるているわ!」

かなり頑張って、助け舟を出した美桜さんが、なんかちょっと可哀想だった。

「...そうなの?時々、嫌とか言ったりするのに?」

この言葉の意味を理解するのに時間が掛かったが、美桜さんは顔を赤らめて、混乱していた。


「...本当に嫌じゃないんだけど...。今度から...気を付けるわ。//////」

まだ、解らない俺、樹は解ったようで、顔を赤くしていた。

「...旦那様!そろそろ冷え込んで来ましたので、お部屋に戻りましょう?」

美桜さんは、逃げるように部屋に戻って行った。




 何だったのか解っていない俺は、部屋に戻ってから樹が説明して貰った。

「...確かに言えないな。//////」

解った途端、恥ずかしがった。誰かに聞いた話では、快楽があり、甘い声が漏れるんだとは聞いたが、生々しいことを身近で耳にするとは思わなかった。

椿ちゃんに触れたいと思った。




 暫くしてから思い出したが、綾が薫さんに見合い話が来ていると言っていたことが気になった。

「...そう言えば、薫さんのお見合いの話は本当なのかな?」

樹は持っていた湯呑みを倒してしまうほど、動揺していた。

「大丈夫か?でも、そろそろ恋人がいても、旦那が良い年だよね?樹。早く、手を打った方が良いんじゃない?」

樹はやっと茶を飲んでいたが、驚きのあまり噎せた。

「...樹!ごめん!大丈夫か?!」

この様子を見て、少し意地悪な質問だと反省し、体をさすった。



 「...いきなり何を言い出すんですか?」

半分涙で訴え掛けるように言う。

「だから、悪かったて!でも、薫さんは器量が悪いわけでもないし、性格としては忙しない所があるけど、良い人だよね?他の人と文通したりとか、恋の指南役をやっているみたいなのに、樹には来ないよね?手紙...」

「...良いんです。所詮、私は仕事仲間。」

キノコが今にも生えてきてしまいそうな落ち込みかたをした。

「...樹は、薫さんが好きなの?」

次の瞬間、ものすごい勢いで、離れて、動揺していたみたいなのが、解った。

「...ど、ど、どうして?」

「...違うの?薫さんとさっき楽しそうだったから...」

悪いとは、思いながら、鎌を掛けてみた。

「...そんなことないですよ!だけど、ただ、薫さんの明るさが、太陽に温かくて、居心地が良いんです。そんな所が憧れなんです。」

「...そうなんだ。だけど、薫さんの見合いの話は確認した方が良いかもね。」

「...若様。私は、これで失礼致します。」

樹は、なんだか顔色が悪いまま、帰ってしまった。

手紙を見て、読むことを思い出した。先に、手紙と一緒に送られてきた贈り物を開けることにした。何が送られてきたのかと考えると、不安と嬉しさが入り混じっていた。

ゆっくり箱を開けると墨みたいな木が入っていたので、なんだと疑問が上がり、取り敢えず、手紙を読んでみた。



 貰った品は、お香と分かった。それは京都で、購入したことを知り、懐かしく感じた。

「...懐かしいな。行ったのは、もう数ヶ月なのに...。ついこの間のように感じる。」

一人、懐かしく感じていた。
そして、皆で撮った写真を取り出して見てみた。皆、とても良い顔で笑っていた。

零れ落ちるように、本当に楽しそう。椿ちゃんと隣でこっそり腕を組んでみた。この写真を見たら、和久君が殴り込みに来るんじゃないかと思った。

「...逢いたい...。」





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  January 25, 2009 11:58:13 AM
コメント(0) | コメントを書く
[小説] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: