Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
January 28, 2009
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カテゴリ: 小説
みっちゃんは照れていた。本当にそう思ってた。

引き続き、俺達は、勉強をしていたが、ドタバタとこちらに走って来る足音が聞こえてきた。だいたい、予想はつくのだが、その足音の主はとんでもない事態に巻き込んで来るに違いないと、不安が込み上げ、二人で不安そうな顔をし、見つめながら、手を一旦休めた。

机を挟んで、反対側にいるみっちゃんに危害を加えられる訳には行かないと思って、彼女をこちら側に来るように呼んだ。

「みっちゃん。そっち、危なくなりそうな気がするから、こっちにおいで!」

不安そうな表情をしながら、不安気に答えた。

「...うん。」

手を伸ばして、細い腕、今にも折れてしまうんじゃないかと思うみっちゃんが、手を取ったのを確認するとゆっくり引き寄せて、自分の後ろに座らせた。

「...大丈夫だよ!みっちゃんのことは俺が護るから!」

そう言った後、ものすごい勢いで襖が開いた。

「...ピシャリ...」

俺達は息を飲んで、待った!

「和樹!美雪!助けてー!!」

予想通りの人物が部屋に逃げ込んできた。

「コラー!水瀬!逃がさないぞ!」

追い掛けて来たのは、般若の仮面を被っているのかと思うくらいすごい迫力の我が父の姿だった。

みっちゃんは怯えながら、服を掴んでいた。

「...和樹ちゃん。怖い!」

「わあ!和樹、助けてー!こちらに向かって来ようとするので、蹴り飛ばした。

「...自分で何とかしろ!」

「酷い!」

涙目の水瀬だが、そんな彼に更なる悲劇が!

「水瀬!捕まえたぞ!」

「父上。俺達、お爺様の所にいます!」

それだけ、告げてみっちゃんを連れ、お爺様の部屋に避難した。おそらく、父上は血が上っていたので、俺の声など耳に入っていなかっただろ。そのすぐ後、水瀬の悲鳴が上がった。

「ギャー!!」




 「...失礼いたします。お爺様!御婆様!」

戸越に声を掛けると御婆様はすぐに入れてくれた。

「...さあ、お入りなさい!」

「...どうしたんじゃ?美雪と二人とは?」

「...水瀬がまた、父上に叱られるようなことをして、逃げ込んできたのです。暫く、こちらにいて宜しいでしょうか?」

そう告げるとお爺様はまたかと言った具合に溜め息をついた。

「いなさい!しょうもない奴らだ。」

「さぁ、さぁ。お茶とお菓子でも食べなさい!」

出されたのは、御婆様お手製の羊羹。

「...ありがとうございます。みっちゃん、大丈夫?」

みっちゃんはまだ怖いといった様子だった。

「...大丈夫!」

「みっちゃん!怖かったわね!取り敢えず、甘いお菓子を食べて休みましょう!」

御婆様は大らかな人だった。

「...しかし、水瀬には困ったものだ!みっちゃん、和樹。直に静かになると思うが、今夜はここで寝るか?」

「...私は、部屋に戻ります。片付けて、明日の支度をします!みっちゃん!今日は、お言葉に甘えてここにいたらどうかな?」

「...和樹ちゃんが言うなら...」

みっちゃんは、ここでお泊まりすることになった。

「...みっちゃん。叔母様に何を言われても、気にしちゃダメだよ!じゃあ、お爺様、御婆様。みっちゃんを宜しく御願いします!」

まるで、遠い旅路に行こうとする人の発言だ。

「...心配症だな。大丈夫さ!さぁ、お前もゆっくり休みなさい。」

「はい!お休みなさい!」

そこで、部屋を後にした。みっちゃんをここに預けておけば、いざとなればお爺様達が護ってくれるのは想定内だった。みっちゃんのお母さん、俺の叔母様は何かに付けてみっちゃんを悪く言ったり、厳しい。水瀬には甘いのが、俺は納得いかない。みっちゃんの方が出来が良く、優しいからいつか壊れてしまうんじゃないかと、心配になる。
みっちゃんは誰よりも俺の大事な宝物



 俺は、部屋に戻ると部屋はやっぱり荒れていた。部屋をメチャクチャにした水瀬本人は、あの後、父にキツいお灸を据えられたのは、言うまでもないが、被害者の俺に謝罪にこないどころか、片付けもしていかなかったことに、腹が立っているが、波風を立てたくない。
もし、文句を言えば、叔母様が、水瀬を叱らずに、みっちゃんを虐める気がしたから、言わない。もし、そのようなことがあれば、許すつもりはない。



 片付けていると先程までなかった手紙があった。中を開けてみると、女の子の字で呼び出し。

「...新手の決闘状かな?」

今まで、手紙に決闘の申し込みが多かったので、信用出来ないと思いながら、呟いた。





 なんやかんやで何とか大ざっぱに片付け、布団を引いた。時刻は、真夜中の2時を回っていた。後、3時間程しか寝れない。起きたら、剣術などの稽古が待っている。内心、水瀬に腹が煮えくり返るほど腹が立って、その怒りが消えなかった。




 目覚めの悪い朝を迎え、苛々しながら、稽古場に向かうとピンクの着物に袴姿の女の子が立っていた。何だろうと思いながら、歩いていくと見知った顔だった様な気がしたので、考え込んで、やっと思い出した。

「...あっ!君は...。杉崎さん?!あっ、でも、似ているけど違う?」

急に声を出したので、彼女はびっくりした様子で、こちらを見る。

「...あっ、ごめん!貴女が知っている人に似ていたから...。誰かにこんな朝から用かな?」

怖がらせてはいけないと思い、出来るだけ優しい言い方で言った。今も水瀬に苛々しているのを見抜かれない様に言った。すると彼女は、頬が赤く染まっていたのが、一気に、真っ赤になりながら答えた。

「...あの...北条和樹様でいらっしゃいますよね!...あの...私、貴方様に用があって...」

そう切り出されたが、場所も場所なので、中に入ってもらい、座布団を敷き、話を伺った。

「...どうぞ。お座り下さい!」

「...はい。」

座るのを待って、用件を聞いた。

「...私に用とは?」

「...あの...ごめんなさい!私、杉崎恵ちゃんの従姉妹の杉崎咲と申します!あの...これをお返しに来ました。」

見覚えのある包装された物が差し出された。

「...これをどうして?!」

「...私、和樹様とどうしても話してみたくて、きっかけを捜していたのですが、なくて...。いけないと解っていて盗りました。ごめんなさい...!」

下を向いて、泣きそうになりながら謝罪。

「盗った?!どこで?いつ?」

「...ごめんなさい!...私、羨ましくて...。鞄から落ちた時に盗りました。本来なら、すぐに返さなければいけないのに、返さなくて...。あれから、何度も返そうと思ったのですが...」

自分を責める彼女の頭を撫でながら言った。

「...ありがとう。君が拾ってくれたんだね!でも、君が欲しいならあげる。みっちゃんには、別の物をあげるから...。君が嫌じゃなければ...」

「...でも、私...」

「...盗ったんじゃないんでしょ?君は、拾って、ちゃんと届けてくれたんだから、気にすることないよ!」

「...あと、私、きっかけが欲しくて、色々仕掛けてしまって、怪我をさせそうになりましたし...」

「君だったんだ。でも、良いよ!気にしないで...。」

それから何度も謝罪を繰り返され、結局、彼女は例の贈り物を貰った。そして、彼女が自分に憧れていることを知り、友達になった。





 ー同じ頃

すごい剣幕で、不機嫌さが諸に出ている方が、辰葵君の家を訪ねて来た。

「...杉崎嬢!どうして、貴女が?!」

嬉しいけど、驚きを隠せない。

「和樹様。今、どこいるか知ってるかしら?」

「和樹?!どうして?!」

辰葵君は恋敵の登場かと勘違いした。

「良いから答えて下さる!返答次第では......」

突き出された剣に、とんでもないことになってしまったと思った辰葵君。




 ーその頃、俺達は...

「すごいですわ!こんなに格好良い姿を間近で見られるなんて!!」

朝稽古、普段いない観客の黄色声にあまり集中出来ない。

「和樹ちゃん!お早う。そろそろご飯だよ!」

みっちゃんが呼びに来た。

「お早う!みっちゃん!水瀬。稽古は一旦終了だ。お前は、ご飯、食べて、落ち着いたら、稽古の続きな。」

「...あっ!杉崎先輩?!どうして、ここにいらっしゃるんですか?」

「みっちゃん、知ってるの?」

「...あれ、北条さんこそ...。」

「私は、和樹ちゃんと従兄妹なんです!和樹ちゃん!杉崎先輩は女学校の先輩で、お淑やかで、琴や三味線をやらせたら、右に出る者はいないと言われる程で、大和撫子に近いと謳われる存在で、私達の憧れの的の先輩よ!」

ちょっと疑問に思った。

“彼女が大和撫子?水瀬並の罠を仕掛ける彼女が?可愛い人だとは思うけど...”

「...そうだ。杉崎さんは、家に本当に帰らなくて平気なの?」

「ええ、大丈夫ですわ!荷物も持ってきましたし!」

「そうなんだ...。俺達、ご飯だから上がるんだ。」

 これで帰ってくれるかと思ったのだが、一緒に途中まで登校すると言い始めた。

「...可愛いね!でも、時間が掛かるから僕の愛馬に乗せて送ってあげるよ!」

水瀬が稽古を逃げ出す口実が出来たと言わんばかりの口振りに、俺とみっちゃんはツ込んだ。

「駄目よ!お兄ちゃん!先輩をお兄ちゃんに任せられない!」

「水瀬。きっちり稽古はやって貰うからな。俺はもう終わったから!」

俺達に釘を刺されて、水瀬はガックリしていた。




 結局、一緒に朝ご飯を食べ、家に馴染んでいる。みっちゃんも俺もまた、なんか波乱な予感がしそうな気がしていた。

「...和樹!」

ご飯を食べているとなんか慌てた様子の辰葵君が現れた。

「ん?」

「まあ、はしたない!九条家の当主の息子が朝から、勝手に入り込み、朝食中に乱入なんて!どんな教育をなさっているんだか!」

叔母様は、母と九条家を愚弄する物言いだった。

「叔母様!お黙り下さい!それ以上、言うなら許しませんよ!どうしたの?」

「...。」

叔母様は、悔しそうにしながら、何も言えない。

「実は...」

話そうとした所に、なんとなく嫌な予感を感じさせるような、背筋に寒気を感じたのだ。

「失礼します!」

「...杉崎先輩!お早うございます!どうしたんですか?」

みっちゃんは、彼女に問う。

「お早うございます!北条さん!お食事中に申し訳ありません。あの九条様をお叱りにならないで下さい!私の従姉妹を連れ戻す為にこちらに案内していただきました。」

「「えっ?」」

俺や他の者達は驚き、聞き返した。

「連れ戻しに?」

「ええ。和樹様。申し訳ありませんでした。私の従姉妹の咲が貴方様に迷惑を最近掛けてしまったんじゃないかと思います。今日も、朝から朝食中に上がり込んでしまい申し訳ありませんでした。彼女は、私が責任を持って、連れ帰ります。北条さんもごめんなさいね。朝から、騒がしくて...」

「いえ、そんなことありません。お爺様達もたまには、賑やかで良いと仰っていますし...」

「本当に皆様。すみません。」

彼女は謝罪を一生懸命して、このまま、連れ帰るはずだったのだが、咲さんが駄々をこねてまた、大騒ぎだった。



 結局、彼女も負け、皆で登校する羽目になり、ずっと罪悪感を感じ、謝罪する彼女。咲さんもこれには参ったと言うように謝罪。俺とみっちゃんで、気にしないように言ったが、空気が重かった。この後、夏川君のおかげで、助かったのだった。





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Last updated  February 10, 2009 01:20:00 PM
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