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2023.12.06
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カテゴリ: 講談社タイガ


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2023年10月刊
講談社タイガ
著者:友麻碧さん

猩猩に攫われ、額に妖印を刻まれた菜々緒。
「猿臭い」と里中から蔑まれ、本家の跡取りとの結婚は破談。
死んだように日々を過ごす菜々緒は、皇國の鬼神と恐れられる紅椿夜行に窮地を救われる。
夜行は菜々緒の高い霊力を見初めると、その場で妻にすると宣言した。
里を出る決意をした菜々緒だが、夜行には代々受け継がれた忌まわしい秘密がーー。
傷だらけの二人の恋物語が始まる。

​    ↑楽天ブックスより、あらすじ引用

登場人物
 白蓮寺菜々緒=陰陽五家の白蓮寺一族の娘。霊力の高さから次期当主の許嫁だっ
        たが猩猩に攫われ妖印を刻まれて破談にされた。以降「傷モノ」
        と呼ばれ一族の者たちから虐げられている。
   紅椿夜行=陰陽五家の紅椿家の当主。菜々緒の霊力を見初め妻に迎える。
  白蓮寺麗人=白蓮寺家の次期当主。
  白蓮寺暁美=麗人の妻で菜々緒とは従姉妹同士。


コミックスが大人気だそうですが、こちらは原作の方です。


北の結界を守る白蓮寺一族。
その一人として産まれた菜々緒は類稀な霊力の持ち主だった。
里の仕来りから彼女は次期当主となる麗人と婚約。彼も菜々緒を慈しんでくれて、そんな麗人から貰った銀の簪は彼女の宝物となった。
だが、菜々緒の従姉の暁美は妻候補の筆頭だっただけに彼女への妬みは凄まじく、どうにかその座を奪ってやろうと、ある企みを実行。
菜々緒の簪を盗み出し、結界の目印となっている注連縄の外に捨ててやった。結果は目論見通り、危険を冒して簪を取りに結界の外へ出た彼女はあやかしの猩猩に攫われ、発見された時には額に妖印を刻まれていた。
閉鎖された里特有の差別意識とあやかしを極端に嫌う一族の気質から、麗人との婚約は速攻で破談となり、未婚の女の中で2番目に霊力の高い暁美と結婚。
菜々緒は妖印の気を封じる猿の面を付けることを強要され里外れのボロ小屋に追い立てられた。以降は理不尽な暴力と心無い暴言に耐える日々。
しかも、暁美から嫁の仕事である霊力の込めた当主家の朝餉の支度を命じられたことから、屋敷に行くための外出を里の者に見られ虐めの頻度も増えていった。

そんなある日、当主家に紅椿の当主が訪れ、彼女は殊更目に触れない様命じられた。
だが、いつものように朝餉を作り彼ろうとしていると麗人と暁美の娘の琴美が妖蟲に襲われている場面に遭遇。身を挺して赤子を庇った菜々緒だったが琴美の怪我から誤解から彼らに手酷い暴力を受けることに。
それを救ってくれたのは紅椿家の当主・夜行だった。
彼は赤子の怪我が妖蟲によるものと説明し、菜々緒の功績を称えると、彼女の血を舐めた。夜行は今朝振舞われた朝餉が菜々緒が作ったものと見抜くと彼女を自分の妻にすると宣言。
多額の結納金を支払うと菜々緒を伴い皇都へと帰還した。

紅椿の屋敷で暮らすことになった菜々緒はその厚遇ぶりに驚いていた。
霊力が高いとは言え自分は傷モノなのに。
しかし、その疑問は早いうちに解けた。夜行はその血筋から稀に現れる吸血体質で特に霊力の高い女の血を摂取する必要があるのだそうだ。なんだ、それがこの家の花嫁としての務めなのか。
でも、首筋を噛まれるのは少し痛いけどこんな穢れた血を欲してくれてるなんて。嬉しくて思わず泣きだす菜々緒を夜行は益々気に入ったようだった。

以降、彼に望まれるまま毎日血を与えていた菜々緒だったが、夜行はその妖印についても対処してくれた。陰陽寮の医師に見せ面が無くてもその気を抑える薬を貰い、化粧で傷跡を隠すと彼女はすぐに垢抜けた。彼の前でも笑顔を見せるようになり、その健気さが夜行は可愛くて仕方ない。だが、菜々緒が里から持ち込んだ簪を大事にしているのを何度か目にしている。あれにどういう経緯が。その頃、菜々緒は病院の待ち時間に琴美の治療に訪れたと言う暁美と再会し・・・。


妖蟲に襲われた時の傷が残ったら拙いとわざわざ皇都の病院にまでやって来たらしい暁美の言動はもうはっ倒してやりたいくらいの物言いで、最悪な事にそこに麗人まで現れたから最悪。
でもあの事件の時、麗人は面が外れた菜々緒の顔を見て以来、忘れられずにいたよう。ついには元々許嫁だったのだし、暁美の性格の悪さにも嫌気がさしていたのもあり離婚を決意。
菜々緒を後妻に迎えようと企んでいました。
当然、そんなことを夜行が許すはずも無く、悶着が起こります。でもあの簪をまだ彼女が持っていたのを知り、勝ち誇る麗人。菜々緒はまだ自分に気があるに違いないと勝利を確信しますが、これは完全に勘違い。そもそも、あの猩猩の印を付けられた彼女を一番最初に忌み嫌ったのはこいつなのにどの面下げて言うんだか。
この件で若干夜行と菜々緒の仲もギクシャクしてしまうものの、彼女が簪を持ち続けていた意味を知って仲直り。てか、そんな決意してたなんてどんだけ追い詰められてたんだよ、この子。
マジで白蓮寺一族はクソだわ。
けど確かに余計なものを与えられてない彼女にはあの簪は唯一自分を殺せる武器だもんね。

そして、離縁が決まりそうになり今度は夜行の妻の座を狙う暁美の滑稽さがもうね。こんな性悪はお呼びじゃないんだよ。と思ってたら仲睦まじい夫婦の姿を見せつけられた上、猩猩の件も暁美の仕業と判り、彼女は皇都の法に則って重い罰を受けることになるのでした。
邪魔者は消えたとばかりに今度は麗人が暴走するんですけど、こいつ本当に顔だけのクズ男なので、あっさり菜々緒にフラれて逆上し強硬手段に出るも夜行に見つかって御用。
こちらも一族もろとも結構な罰を受けていい気味。
菜々緒も舅に認められ、色々準備が必要らしい結婚式を待つことに。

このお話、原作が先にあってコミカライズ化されたわけではなく、漫画原作として書かれた小説だそうで、そういう構成なのか章が細かく分かれてたのも印象深いです。
それになんかとっても字が大きい。近眼にはありがたいので面白さも相俟ってあっという間に読み終わっちゃいました。
シリーズっぽいので続きも楽しみ。次は話題に上がってた夜行の妹が登場かな。
巻末にはコミック版の冒頭分も収録されています。


評価:★★★★★





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最終更新日  2023.12.06 13:42:41
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