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森戸辰男は、第90回帝国議会 衆議院 帝国憲法改正案委員小委員会において、次のように発言している。
「自由とは何かと云ふことが、色々に分けて論じられて居る、恐らく生命の問題は是(これ)は人身保護律か何か出來て、やはり生命身體(しんたい)に對(たい)する自由と云ふものは問題になる、それから幸福追求も問題になつて居る、是は總論的の問題であつて、是が後の規定で個々に論ぜられて居る、
それで其の一つの自由としての生活權、生存權と云ふものがある、生存權と云ふのは是は「フランス」革命の憲法が出來て以來の重要な問題でありまして、分配の方式としては財産權と自由競爭の缺陷(けっかん)を補ふ爲にどうしてもなければならぬ規定であるし、現在さう云ふやうに世の中が動いて居るので、是は一般的の規定があつたのでは唯一定の方向が示されるだけで、何と言ひますか、焦點(しょうてん)がちつとも出て來ない、其の焦點に生存權と云ふことが表示せられることが特に重要なんである、殊(こと)に現在の日本の情勢から考へて、憲法と云ふものが如何にも空漠な理論だけを宣言するものだと云ふ考へ方も相當(そうとう)多いので、さう云ふ事情を考へると、此の點は特に重要な點ぢやないかと私は思つて居ります、
唯一般的に保障されて居る、讀めばさう云ふことが含まれて居ると云ふので、それを別に規定しないと云ふ理由は非常に薄弱であつて、寧(むし)ろ重複しても此の問題は明かに規定することが、「フランス」革命の憲法でなく、「ワイマール」憲法、「ロシア」憲法の後に今日出來る憲法としては是非共必要である、日本の今日の國民生活の状態から言つても、是非是は設けらるべきものと考へます」(1946(昭和21)年7月30日)
<生存権>の実現は、「愚者の楽園」を築くことにはならないのか。高望みをしなければ、働かずとも最低限度の生活が保障されるのである。このような権利が働くことの義務を麻痺させてしまう。「必要に応じた分配」という発想が現実社会でうまくいかないことは、ソ連邦の崩壊で実証済みのはずである。
勿論、<生存権>だけで国が亡びるなどということはない。が、問題なのは、社会主義的発想は、働くことの意義を縮退させ、真面目に働くものが馬鹿を見るかのような感覚に陥らせる、詰まり、人間を駄目にしてしまうということに他ならない。
safety net )なのではなかろうか。
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