根っこの今

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アウシュビッツのこどもたち


          青木進々著 グリーンピース出版会


なぜだろう・・・


いま、私たちの心の中に、「優秀な人間」と「だめな人間」とを分けようと
する考えがないだろうか?


みんなと同じ事をできない人を「だめなやつ」だと決めてしまう事はないだ
ろうか?


みんなと違う意見をいう人を「じゃまなやつ」だといって、仲間はずれにす
ることはないだろうか?


強いものにきらわれたくなくて、いけないことが分かっているのに、やって
しまうことはないだろうか?


自分さえ得すれば、「他の人なんかどうでもいい」と、思うことはないだろ
うか?


あの時のように・・・


アウシュヴィッツは、狂った人びとが、まちがえて作ったものではなかった。
ドイツ人がどうかしていたのでもなかった。


ただ、自分が困った時に、もっと困っている人びとを思いやれなかった。
自分さえ安全なら、他の人がすこしくらい苦しんでいても、すこしくらい死
んでもしかたがないと思っていた。



自分が優秀で正しいと思うあまり、自分がほんとうはなにをしているのか、
分からなくなっていた。



もしかしたら、アウシュヴィッツで罪をおかした人びとは、みんなどこにで
もいる、ふつうの人たちだったのではないだろうか?


私たちと同じように・・・


アウシュヴィッツはほんとうにおわったのだろうか?
ガス室は、ほんとうに消えたのだろうか?
120センチの棒は、もうないのだろうか?


私たちの心の中に、アウシュヴィッツは、ほんとうにないのだろうか?


(*これは、上記の本の最後の3ページを抜粋)



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