今が生死

今が生死

2007.04.11
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カテゴリ: 読書
今、サマセット・モームの「人間の絆」を読んでいる。モームの自伝的小説で、幼くして両親を失くし、叔父の家で育てられながら様々な人生体験をしていく物語である。生まれつき左足が不自由なこともあり、小学校時代様々ないじめにあう。中でも寄宿舎の体の大きい同級生に年中いじめられて、時には我慢できなくてこちらから殴りかかったこともあるが、苦もなく殴り返されてさらにいじめが激しくなる状況だった。
赤ちゃんが自分の足の指を見て、それが自分の肉体の一部と認識できるのはかなり経ってからで、最初は外界の一部で、おもちゃなどと同じものと認識しているが、苦痛を通じてそれが肉体の一部であり、自分には肉体があることを認識していくと書いている。それと同じように、自我、つまり他人とは違う自分自身の認識は思春期に痛みを通じて認識していくと書いていた。
この物語の主人公フィリップは足が不自由で皆にいじめられるという痛みを通じて自分自身を認識していったと書いているが、何かハンデキャップがあってもそれがいじめにつながらなければ苦痛にはならない。痛みというのはいじめだけでなく、両親の死、学業成績不良、運動音痴、失恋、裏切り、貧困等々様々な痛みがあると思うが、それは自我の確立のために必要なものと書いている。

少年、少女諸君いつも集団で群れをなして生活していると痛みを感じないかも知れない。
それだと自我が確立できなかったりそれが遅れたりすることが考えられる。時には一人で考えたり、本を読んだりして、自分や他人の痛みを認識することが必要だと思う。この本は世界でのべ1000万部以上発行されており、多くの人に読まれている。生き方を模索している人には面白くてかつ参考になる本だと思う。岩波文庫にある。





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Last updated  2007.04.11 15:53:02
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