今が生死

今が生死

2008.02.15
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テーマ: 心の健康法(576)
カテゴリ: 読書
今回もモームの自伝的小説、「人間の絆」からの話題である。

主人公のフィリップは父が残してくれた遺産で医学部5年まで終了し、後1年で医師免許証がもらえるところまで漕ぎ着けたが、丁度その頃、南アフリカでボーア戦争が始まり、株を買えば必ず儲かると友人に言われて株を買い、結果は中々戦争が終わらなくて株は下降の一途をたどり、亡き父が残してくれた遺産を全てつぎ込み文無しになってしまった。その後は病院実習を休学して女性服売り場で働くことになり、1年8ヶ月が過ぎた。

フイリップは幼くして両親を亡くし、叔父夫婦に育てられた。伯母には実の母親のように可愛がってもらい、伯母が亡くなった時にはすごく悲しんだ。叔父とは気が合わない所があり、あまり仲がよくなかったが、それでも育ての親だったことには変わりない。

その父親代わりの叔父が老齢で病気になり今にも死にそうな状況になってきた。フィリップは株でお金がなくなってしまった時、叔父に金を貸してくれと手紙を書いたが断られている。生存中は無理だが死ねば叔父の遺産が手に入る。そうすればまた医学部に復学できると考えた。

フイリップは内省心のある心優しい青年だった。そのフィリップが瀕死で重症の叔父を目の前にしても、なんの後ろめたさも感じないで、早く死んでくれと願っていた。

人間、立派そうに見える人でも、切羽詰るとこんなにも無慈悲で、自分勝手でお金の我利我利亡者になってしまうのかと恐ろしさを感じた。

この先どうなるか読み進まないとわからないが、フィッリップの魂の成長に引かれてずっと読み進んできたが、最後は醜いフィリップで終わるのではあまりに寂しい。

フィリップよ医学部復学よりも叔父の命を大切に思ってくれ。





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Last updated  2008.02.15 23:25:20
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