今が生死

今が生死

2012.10.14
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カテゴリ: 学習
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本日学会からの帰り道に走っている身延線電車の窓から撮影した富士山です。

前回のブログに、水木金土開催の大型学会開催様式について患者さんのことを考慮していない学会開催様式ではないかと苦言を書いたが、無理して学会に来させててもらってよかったとしみじみ思った。忙しいから学会には行かない、行けないと思っている人もかなりいると思うが、無理をしてでも参加するべきだと思った。

学会の内容は教育講演、壁にデーターを貼り付けるポスター発表、口演発表、特別講演、招待講演、医療機器の展示など勉強になることが多い。最近ではどこの学会でも口演発表より、ポスター発表の方が増えている。壁とか立看板に貼ってあるので、好きな時に読めるので理解し易い。そのようなポスター発表のなかに、79歳で胃がんが発見されて手術しようとしたら麻酔で体調が悪くなり、手術を中止して以後定期的に内視鏡で経過観察しているが12年後の現在も91歳で元気に外来に通っているとの報告だった。抗がん剤等も一切使っていない。

全ての胃がんがこのような経過をたどる訳ではないが、このような症例もあるのかと興味深かった。逸見政孝さんの胃がんのように急激な経過をたどるものもあれば、極めてゆっくり進行するものもあり、胃がんの自然経過を研究する上で貴重な症例と思われた。

昨日土曜日の教育講演会にも参加した。土曜日は病院が休みの人も多いと思われ、参加者は本会場以外に他の二つの大きな有線放送会場も溢れんばかりであった。少しでも勉強しようと思って駆けつけて来る人が多いのだなと思った。

過敏性腸症候群の講演では、発病に遺伝子は関係しているが小児期の精神的ストレスも大いに関係しており、中でも性的虐待は最も大きな要素との事だった。

潰瘍性大腸炎の教育講演ではケネディ、アイゼンハワー大統領もこの病気に苦しめられていたとのことだが、数年前に大腸粘膜を修復するいい薬が開発され治療面で画期的な進歩を遂げつつあるとの話があり、具体的な投薬方法の提示もあった。

ガンの分子標的治療講演では、従来の抗がん剤はガンだけでなく他の正常な細胞もやっつけるので副作用が問題になったが、ガン細胞だけを標的にしてやっつけるので副作用が少なくなり治療成績が上がっているとの話があった。

食道ガンの原因についての教育講演では、発がん遺伝子の発動は酒の影響は受けるがタバコの影響は受けなかったとの研究報告があった。

ランチョンセミナーと言って昼職を食べながら講演を聞くセッションがあり、そこでは経鼻内視鏡(鼻から入れる胃カメラ)が進歩し、画像的にも経口内視鏡に引けをとらないとの話があり、経鼻内視鏡で発見した何例かの小さな胃がん症例の写真を供覧してくれた。丁寧に観察しなかったり、汚れを洗い落とさなかったり、粘液を充分吸い取らなかったりしたら見落とされたかもしれず、満員の視聴者はえりを正して聞いていた。安易に検査していたことを痛烈に反省した人も多かったのではないかと思った。

有意義な学会だったと思う。ここで得た知識を日常診療に生かしていきたいと思う。





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Last updated  2012.10.14 21:18:09
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