今が生死

今が生死

2023.02.03
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テーマ: 失恋(62)
カテゴリ: 読書
菅原千恵子さんの「宮沢賢治の青春」の中で賢治の「冬のスケッチ」に関する考察が書いてあった。冬のスケッチは賢治が保阪嘉内と別れた後に書かれたものだが、悲しみに満ちた表現が多い。
例えば 
ひたすらにおもいたむれど
このこいしさをいかにせん
あるべきことにあらざれば
よるのみぞれを行きて泣く 

など恋しい人と別れた悲しみが延々と綴られている。
多くの賢治研究者はこの時期に賢治に好きな女性がいてその女性と別れた悲しさを詠んだものだとしているが菅原さんは法華経一筋だった賢治にその時女性の恋人はいなかった。妹トシを恋人としてその病気を悲しんで詠んだのではないかという評論家もいるがそれも違う。失恋の相手は保阪嘉内だったと述べている。
大好きな保阪嘉内と世界一の法華経を保って生きていくことを夢見ていた賢治は久しぶりに東京で会った時に、熱心に法華経入会を勧誘した。それにに対して嘉内は「法華経信者として生きていくための具体的な望みや願いは何か?ただ南妙法蓮華経を唱えるだけでなく、具体的な生活法を教えてもらいたい」と質問した。賢治は嘉内と一緒に信仰の道を歩んで行きたいと夢中になっていたが、嘉内の質問に的確に答えることが出来なかった。
「そのような曖昧なものに入ることは出来ない」と嘉内は決然と去って行き、賢治は取り残されて悲しみのどん底に突き落とされた。それまで賢治は「南無妙法蓮華経」と唱えながら街中を歩くほど熱心だったが、嘉内と別れた後は法華経の表現方法も折伏一辺倒から変わってきた。総ての人を幸せにするという法華経なのにこんなにみじめで不幸な状態になってしまったと法華経に対する疑問も湧いてきた。
いずれにしても保阪嘉内に去られた悲しみは耐えきれなかったと思われる。
殆どの評論家が賢治にかくれた恋人がいたのではないかと推察していたが、私は菅原さんと同様、嘉内と別れた悲しみを詠っていたのだなと思った。男でも女でも最愛の人と別れるのは辛いものだと思う。





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Last updated  2023.02.03 14:10:46
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Re:宮沢賢治の失恋💔(02/03)  
かんぼう さん
冬のスケッチは賢治が保阪嘉内と別れた後に書かれたものだが、悲しみに満ちた表現が多い。
例えば 
ひたすらにおもいたむれど
このこいしさをいかにせん
あるべきことにあらざれば
よるのみぞれを行きて泣く 
◎いいお話のエピソードですね。
真面目に愚直に生きた人らしい中味の濃いエピソードです。
俺が信頼する君の言う事を信じで法華経の事は良く理解出来ないがと言って入信をしていればなんと良かったことか。法華経は心でもって理解するもので頭の理屈で理解しようとするこうした最悪の決裂の別れになりますね。
俺は法華経の事は解らないが君は俺の親友だ。君を信じて法華経を学んでみるという言葉が出ればこんなことになっていないですね。
これが人生なんでしょうね。法華経は入信しても奥が深く難芸難儀です。生命三世の永遠論が理解できないと法華経を理解する、解ったとは言えません。奥が深い哲学です。 (2023.02.03 18:33:09)

Re:宮沢賢治の失恋💔(02/03)  
「総ての人を幸せにするという法華経」、これは、南無妙法蓮華経を唱えれば良いのだという教えでしたが、法華経の解説とか説明のある本だったのでしょうね。賢治は、その説明・解説から、法華経の哲学に、ほれ込んだのでしょうね。 (2023.02.03 19:19:56)

Re:宮沢賢治の失恋💔(02/03)  
別れは必要を満たしたもので、必然的と思われる。
離婚がいいのは良しとして死別には、涙も有ろうと思う。
「会うは別れの始まり」と言います。
甲斐性が無いと「会うもできず。別れもないでしょう」 (2023.02.03 20:18:26)

法華経は心で理解するもの  
楽天星no1  さん
かんぼうさんへ

[法華経は心でもって理解するもので頭の理屈で理解しようとするこうした最悪の決裂の別れになりますね]

賢治の無二の親友であった嘉内は哲学的で物事を理論で考える人でした。賢治は直感で法華経は素晴らしいと感じていましたが、嘉内からどこがどう素晴らしいのだ具体的に教えてくれと言われた時答えることが出来ませんでした。この法論は賢治の負けで、法華経に疑問を持ち以来ずっと苦しむことになります。賢治は一人法華経で自分だけ素晴らしいと思っていましたが賢治を指導してくれる人はいませんでした。もし指導者がいて嘉内を説得してくれたら別の結果になったかもしれません。一人信仰の賢治の苦しみはいかばかりだったかを想像すると泣けてきます。 (2023.02.03 21:28:05)

妙法蓮華経の解説本に感銘  
楽天星no1  さん
ケイサン9574さんへ

賢治が盛岡中学卒業して家の質屋の店番などをしていた時『漢和対照 妙法蓮華経』を読んで感銘を受けて法華経シンパになりました。

妙法蓮華経というのは方便品や寿量品などがあり、漢字で書いてありかなり難解です。それを日本語に訳した本があったのだと思います。当時の中学5年卒業と言えば今の高校卒くらいの年齢だと思いますが、よくお経本が読めて法華経が最高だと悟ったものだと思います。
しかし悲しいかなそれに感激して法華経は最高と思った人は身の回りに賢治一人しかいませんでした。賢治の話を聞いて自分も法華経をやろうという人は妹のトシ一人だけでした。
賢治は村中を南無妙法蓮華経ととなえながら勧誘しましたが妹以外は誰もついてくる人はいませんでした。やがて盛岡高等農林に進学した時保阪嘉内に出会い無二の親友になります。賢治は法華経は世界で最も優れた教えと思っていたので心の友嘉内と共に信仰の道を歩もうとしますが嘉内に振られてしまい絶望の淵を歩むことになります。
そのとき賢治に信仰の師匠とか仲間がいたら別の結果になっていたかもしれません。 (2023.02.03 22:04:43)

会うは別れの始まり  
楽天星no1  さん
デコちゃん6902さんへ

「「会うは別れの始まり」と言います。
甲斐性が無いと「会うもできず。別れもないでしょう」

賢治の生涯で衝撃的な出会いをした人は保阪嘉内です。考え方の違いで嘉内と別れた後、あれほど絶対的に信じていた法華経に対する信がぐらつき法華経をとるか嘉内をとるかというくらいに悩むことになりました。
同性にしろ、異性にしろ人生でそれほどの人物に出会うことが出来る人は幸せなのか不幸なのか分かりませんね。いつかは別れなければならないし、死別するかもしれませんものね。
(2023.02.03 22:22:49)

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