今が生死

今が生死

2023.02.09
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テーマ: 鎌倉(394)
カテゴリ: 読書
カランコエ

今、須田晴夫さんが書かれた「新版日蓮の思想と生涯」を読んでいるが、中々進まなくてやっと日蓮の代表的著作「立証安国論」の叙述にさしかかった。
立正安国論というのは客と主人の問答形式の著作で客は北条家支配を確立した北条時頼、主人は日蓮とする会話形式の諌暁書で時頼はじめ当時の鎌倉幕府の指導者層に配布した。10の問答があり、最後の問答は客の発言のみで締めくくられている。
時頼というのは大河ドラマでの第2代執権北条義時の子供で誠実な人柄として描かれていた3代執権北条泰時の孫で、第5代執権になって出家後最明寺入道と呼ばれた人物である。
日蓮は他の著作では真言、禅宗なども破折しているがこの安国論では主として念仏宗を破折している。自己を否定的にとらえる罪悪感と死後への恐怖をかき立てる教えでは外敵が攻めてきた時や苦難に遭遇した時力になってくれない。娑婆世界こそが仏国土であり現実世界での幸福の実現を目指す法華経と対極をなすものでありそのような教えを国家が支持していたら国が滅びてしまうと述べており、日蓮仏法は国家権力に庇護されたり国家と関係なく内向的に信仰する宗教と違い国家に働きかける宗教であることを示した画期的な著作であり、行動であったと須田さんは述べていた。主人と客が問答する形式の薄い冊子だがそのような深い意味があったのかと教えられた。
この安国論に対して時頼始め幕府用人は何の反応も示さなかったが、日蓮によって攻撃された多数の念仏者の暴徒が安国論提出の40日後、日蓮の松葉ケ谷の草庵を襲撃して日蓮を殺害しようとした事件が起きた。安国論の次はこの松葉ケ谷の法難の所から読み継ぐことになる。





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Last updated  2023.02.09 18:51:44
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Re:法と国と人の関係を解き明かした立正安国論(02/09)  
かんぼう さん
日蓮仏法は国家権力に庇護されたり国家と関係なく内向的に信仰する宗教と違い国家に働きかける宗教であることを示した画期的な著作であり、行動であったと須田さんは述べていた。
💛カランコエの花は綺麗に咲いていますね。
須田晴夫さんが書かれた「新版日蓮の思想と生涯」は鋭い所をかいていますね。ご指摘のポイントがブレていない立派な本ですね。御本仏の目指すところが鋭く忠実に書かれていますね。
しかし良く本を休みなしに読まれる貴方は立派です。本が好きなんですね。良い趣味ですね。博学多才の知識が身に尽きますね。たいしたもんです。 (2023.02.09 19:10:32)

かんぼうさんの散歩と旅行にはかないません  
楽天星no1  さん
かんぼうさんへ

「しかし良く本を休みなしに読まれる貴方は立派です。本が好きなんですね。良い趣味ですね」

私はこの頃は学会に行くことも無くなって殆ど旅行していませんが、かんぼうさんは暇があったら殆ど旅行しているので凄いと思います。自分にはとてもそのエネルギーはありません。わずかに本を読むくらいのエネルギーしか残っていません。
本をよく読むようになったのもついこの頃です。残り少ない人生を自覚するようになり、この世のことを少しでも知ってあの世に行きたいと思ったからかも知れません。
残り少ないから世界を観て歩きたいと思う人もいるだろうし、あの世にはお金は持っていけないので1円も残さず使い切ってあの世に行きたいという人もいるだろうし、ピアノが上手になってあの世に行きたい人もいるかもしれません。
次から次に同級生たちが亡くなっています。皆さん死ぬための準備をしていたという話はあまり聞きませんが、私はもともと欲張りだったのか後わずかでこの世とお別れとなるとできるだけ知識を深めて死にたいと思いました。それにはできるだけ本を読むことかなと思いました。
(2023.02.09 21:05:59)

Re:かんぼうさんの散歩と旅行にはかないません(02/09)  
かんぼう さん
楽天星no1さんへ
次から次に同級生たちが亡くなっています。皆さん死ぬための準備をしていたという話はあまり聞きませんが、私はもともと欲張りだったのか後わずかでこの世とお別れとなるとできるだけ知識を深めて死にたいと思いました。それにはできるだけ本を読むことかなと思いました。
◎知識を深めて研鑽する姿勢が素晴らしいですね。拍手を送ります。
私の竹馬の友も高齢者を超えて次から次と亡くなっていきます。年下の人も亡くなっていきます。地域は空き家が目立ち高齢者の65歳以上が人口の46%と数が増えて高齢化地域です。車椅子を押す人をよく見かけます。介護保険を使って生活している人も多くなりました。施設に入院すると奥さんは介護から開放されますが主人の年金は全て病院代に消えていくそうです。
お年寄りの生活費は最近の異常な桁外れの物価高の嵐で危険ラインで悲鳴を上げている声をよく聞きます。高額の年金を貰っている人はこの物価高も何の不便もなくて乗りけられますが低額の庶民は悲鳴を上げていますね。 (2023.02.10 16:13:48)

年齢に関係なく命は平等です  
楽天星no1  さん
かんぼうさんへ

[施設に入院すると奥さんは介護から開放されますが主人の年金は全て病院代に消えていくそうです]

昨日入院している女性の家族(ご主人)と話し合いました。立ち居振る舞いが出来ず車椅子生活でトイレや入浴にも介助が必要だが退院先は自宅にしたいとのことでした。
それは施設に入るには金がないからとのことでしたが、奥さんの年金が7~8万、ご主人の年金も同じくらいで施設入居代が10万以上だととてもご主人たちの生活が成り立たないからとのことでした。
今までの考え方だと子供や青年は将来があるので、お金もかけて大事にするが、老人は役立たずの廃物なので姥捨て山に捨てればいいのだという通念がありました。しかし高齢者の寿命が延長し、人々の考え方も進歩して、年齢によって人間を差別してはならない考えが徐々に浸透してきました。若者だから、老人だからといって命には変わりないのだ。若者も老人も同じように大事にするべきであるという考えが当たり前になりつつあります。そのためには老人福祉施設の充実や年金制度の充実が必須だと思います。年をとっても最低限の生活を保障する年金が得られるように年金の最低額を引き上げてもらいたいと思います。 (2023.02.11 09:41:26)

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