INVICIBLE NIGHT

INVICIBLE NIGHT

さまよいながら


「なに言ってるの暁子。気温30度よ?」
「寒いの…とても寒いの」
「…あなたどうします、病院に連れて行きますか?」
「は、ああ言って学校行かない理由にしてるんだ、まったく」

私はおかしくなってしまった。
あれはいつだろう、雪がふっていたころ。
私は夜まで友達と町を歩き回っていた。
そこで、異様なものを見た。
ばらばらにされたナニカを。
それ以来私はおかしくなった。いつも寒くて、いつも冬で、いつも独りだった。
「あそこに行ったら、治るかな…」
凍える体で、町へと出た。

寂れた商店街。
そしてあの場所へ向かった。
今は、なにもない。でも脳に焼き付いている、あの光景。
赤い、赤いナニカが。
「う」
急に寒くなった。だから商店街のある店へと入った。
「本屋さん…?」
そこは古びた本屋だった。本も古いものだらけだ。
そこは自然と暖かかった。今までに感じたこともないぐらい、暖かかった。
そして一冊の本を見つけた。
『複数やれば世界の輪廻が変わる』
「?」
本を開くと
『自身を信じるものは正義なり』
自分を信じる…?と
「それは二冊目じゃ。もう一冊を読んでみんしゃい」
「!?」
突然、老人が現れた。どうやら店主のようだ。
「あの…これって…」
「自分を信じればいいと書いておるじゃろ?これが一冊目じゃ」
一冊の本を手渡された。
『ひとつやれば自分の中の世界が変わる』
「ひとつやれば…?」
「そうじゃ」
「…じゃあ、私は何をすればいいんですか?どうすれば寒くなくなるんですか?」
「ページを開いてみ」
言われたとおり、ページを開く。
『ひとつやってしまえば全てが終わる』
「なんですか…これ…」
「それはあんた次第じゃ」
ひとつやれば―――――

寒いのを耐えながら、学校へとやってきた。もう三ヶ月ぶりだ。
『ひとつやってしまえば全てが終わる』
考えがまとまった。なにかひとつやればいいんだ。なにかを
「あ、暁子―!久しぶり元気だった?!」
友達に声をかけられた。
「あ、うん」
なんだかすこし、暖かくなってきた。
そうか。これが答えだったんだ。
そうだ、自分を信じればいいんだ――――。


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