tomorrow

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エッジオブナイフ



どんなに二人で、長い時間いっしょに過ごしてもお互い生活のシガラミを捨て去ってしまいたい様な衝動に駆られる時がある。

特別に今の二人の生活に不満がある訳では無いけど、お互いの魂を求めて止むことが無い。

その日は、授業が休講になり、家でぼんやりとギターの練習をしながら、ユミコの事を思い浮かべていた。

プルルルル、電話のベルがなった。

「もしもし?」電話の向こうは賑やかだった。

「順一!これから迎えに来て!」ユミコの少し興奮した声だった。

「どうした?今どこにいるの?」ユミコは暫く沈黙の後、

「学校だよ。もう嫌なの女子校は、今すぐ迎えに来て!」順一は受話器を肩に挟みながら、「わかった!すぐ行く。」

僕はユミコの学校の近くにある喫茶店で待ち合わせをした。

北千住のアーケードには、昔ながらの餡蜜屋があり、そこでユミコを待った。

餡蜜屋から窓の外を眺めていると、ユミコが小走りで歩いて来た。

「順一早く行こう!」

僕はオーダーした餡蜜もそこそこで、ユミコと店を出た。

車を走らせただ宛ても無く横浜に
向かっていた。

「学校、早退して大丈夫なの?」僕はカーラジオのボリュウームを下げた。

「具合が悪いって言って体温計暖めて、嘘ついた。」

「なんで、そんな事したの?」

僕は兄貴か保護者の様だった。

「だって、あんな女子校で何を学ぶこと、あるの?意味無いよ!順一は知らないと思うけれど、女だけだとすごいんだから。陰険だし、スカートなんか、男の先生だと、露出してさぁ、」

ユミコは捲し立てるように話し始めた。

「順一だって、昔、学校サボって鎌倉に行った事あったでしょう?」

ユミコは鼻の頭を赤くしながら、少し半べそをかいていた。

「私は早く順一のお嫁さんになりたい!。」

ハンドルを握りながら、順一は少し嬉しかった。

恋に恋をして、本当の愛の意味などわからなかったけど、

僕はユミコの事がいとおしくてならなかった。


  明日につづく。


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