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読書2017
2017年の読書メーター
読んだ本の数:56
読んだページ数:14829
ナイス数:987
おもかげ
の
感想
青春の断片は一橋だと思う。門田隆将の本に、学徒出陣の夜、寮生がストームを囲んでいると、林の中から讃美歌が聞こえ、現れた津田塾生達と海ゆかばが歌われたとあった。戦後復興に置き去りにされた落とし子が商社員として全うした、人としての務め。その救いが、夢と現で綴られていた。ブラックオァホワイトを思い出す。老境入リで惑うなと叱咤してるのかもしれない。読後、満たされた気分になり、実に感慨深く心地良い。著者の得意技が満載の感。
読了日:12月19日 著者:
浅田 次郎
明治維新で変わらなかった日本の核心 (PHP新書)
の
感想
実に面白い視点の通史。日本人が生き抜くためになしてきたことが、合理的で扶助的で功利的であったことがよくわかった。学生時代に植え付けてしまった歴史観を一切すてて、生計と共生と持続を念じた日本人が何をなしてきたか、理解し直したいと思う。現代の社会経済の運営の基本論理が、江戸時代に実践されていたとは驚いた。経世済民の歴史的意味がやっと正しく理解できた気がする。人が生活できる社会をなんとか自力で考え目指してきたのが日本の歴史のようだ。長年沁みついたご都合史観の各年代についての既成イメージを頭の中から消そうと思う。
読了日:12月16日 著者:
猪瀬 直樹,磯田 道史
報道特注(本)
の
感想
政治が信用できそうな気になってくる人達だった。動画の復習をしたような内容だが、こうした発信がでてきたこと自体、信用できない報道から逃げようがない閉塞状況ではなくなりつつあるのかも。日本人が政治報道の難民ではなくなる日も来るのでは。政治、行政、そしてメディアなどの役割の大きい公的仕事から、偽善者、既得権益寄生者を淘汰するには、反面、裏面、正面などからのあらゆる事実が掴める情報環境が重要らしい。同じ流れの一斉報道は、信用できない兆候で、それをあばけるネットにより既得権益メディアの堕落を矯正できるかもしれない。
読了日:12月05日 著者:
生田 與克,和田 政宗,足立 康史
誰が第二次世界大戦を起こしたのか: フーバー大統領『裏切られた自由』を読み解く
の
感想
ルーズベルトの時代、日本人が排斥され、敵意の中に行き場を失った時、コロラド州知事のラルフ・カーは、日本人受入れ反対の世論に対して、自由の国の本質を説き、全アメリカ人は国境の外にルーツがある、米国人としての権利章典は日系人でも同じ、守れとし、収容所を受け入れたことを思いだした。彼は、フーバー大統領と親しい間柄でリンカーンを信奉する共和党員だった。民主党には、日本人の受け入れに反対し、差別的で攻撃的で非人道的な印象がある。本書でもその左派的、陰湿さ狡猾さには暗澹となる。フーバー大統領の存在はせめてもの救いか。
読了日:11月26日 著者:
渡辺 惣樹
日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで (中公新書)
の
感想
社会経済史、災害史が専門とのことで、著者の面白さの根源がわかる気がした。人が生き抜いて来たことを実証する事が起点の学究姿勢のようで、それ故に、生き生きした歴史、行動史がつたわってくるようだ。人口、経済、文化の視点から古典を読み解くものなのか。お蔭でがぜん、歴史が面白くなってくる。水戸藩の尊王攘夷の沸騰素地が関ヶ原からの流浪の果てから始まっているようにも思えた。薩摩のお国第一の領民政策は沖縄のみならず薩摩領民にも生活難を課していたらしい。西郷隆盛の「大人」として、「小人」達への上から目線との性格分析も新鮮。
読了日:11月19日 著者:
磯田 道史
持続可能な大都市経営―神戸市の挑戦―
の
感想
東京のみに人と資金が集積してしまい、地方圏がコミュニティーを失い、関西、中部、その他の大都市においても、匿名性の闇と孤立が深まり、無縁社会がひろがっているそうだ。東京とて、その兆候からは逃れられず、行政と政治屋たちでは、解決できない都市の荒廃が目前にあるようだ。人類史初の高齢国が、生き延びる方策は、市民の自助と相互共助で、顔の見える地域社会の再構築をせねば、財政的にも人員的にも賄えないらしい。社会の縮退と更新をいかに実現していくか、かってない挑戦に迫られているようだ。日本人にまた未経験の試練がのしかかる。
読了日:10月31日 著者:
久元 喜造,増田 寛也
さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記 (新潮文庫)
の
感想
ジョン万次郎の波乱と果敢が簡潔で充分な小編。読んでいて小気味よい。事績の配置と加飾のない表現は快適。日本語でしかできない気がした。一人の冒険と交流と望郷が、日本国としての果敢と重なって見えた。海洋民族としての多様な品格、規範に嬉しくなれた。この振る舞いができる民族であった事が、正しい歴史の理解のような気がする。佐賀純一の元年者たちの真実を思い出した。それにしても勝は咸臨丸の航海中ずっと船酔いで寝たきりとの外国紙記事紹介あり。勝ファンの半藤一利より武揚ファンの佐々木譲が正しいかも。
読了日:10月11日 著者:
井伏 鱒二
海の史劇 (新潮文庫)
の
感想
様々な事績、支える人物、大衆の気運、各国の都合があますところなくしあげられた史劇だった。ロシアの艦隊司令長官が詳述されていたが、2010年に在米ロシア人が書いた日本海海戦での評と重なった。その40年前の本作だが、新鮮で生々しい。この作品の連載は、坂の上の雲が産経に連載されていたころと重なるようだ。この作品の複眼視点は比類ないと思う。ロシア人の旺盛な戦意形成の事情も描かれていて理解しやすい。ここでも、大衆を戦争に扇情した新聞として朝日がいた。講和に不満の暴徒に襲撃された国民新聞に比して報道・論評が事大低俗。
読了日:10月10日 著者:
吉村 昭
アフガン・緑の大地計画―伝統に学ぶ潅漑工法と甦る農業
の
感想
成し遂げられた事績の詳細を知れた。医師とその医療支援組織が国際機関も政府もなしえなかった成功事例をつくりあげていたとは。人道支援との言葉は簡単に使えない言葉であることを痛感。成し遂げられた灌漑事業の詳細を読めば読むほど、数々の真実を証明した偉業に頭が下がる。旱魃は克服できる。農地も農業も村も人も再生できる。農業で治安を取り戻せる。農地が戻れば人々は自分の人生を取り戻せる。国際標準でないから成功する。と。著者の山田堰評に感銘。現代人は「洞察と忍耐、気力と謙虚さに於いて三世紀昔の祖先たちに遥かに及ばない。」と
読了日:09月10日 著者:
中村 哲
奇跡の歌:戦争と望郷とペギー葉山
の
感想
歌の真髄を知ることができた。共感、愛唱、ついには支えになるのが歌の持つ力らしい。数奇な話の真実が明かされ、波乱の世紀を生きた日本人の心根がいとおしくなった。吉村昭の1972年の「動物園」で上野での猛獣処分命令の執行が描かれていた。飼育係の苦悩が戦時の非情を際立たせた。薬物をまぶした馬肉を拒むエチオピア皇帝贈呈のライオン。日本熊、豹、チーターも拒んだと。鯨部隊のハチなのか。動物は密かに園内埋葬され、その後、公園は空襲犠牲者の遺体を穴で処理しはじめ、壮大な墓所と化したとあった。ハチの剥製はせめてもの、なのか。
読了日:09月08日 著者:
門田 隆将
倍賞千恵子の現場 (PHP新書)
の
感想
気持ちのよい自叙伝だった。名作の様々なシーンを思い出させてもらえ、その時の役作りの思い入れが画面に生きた人物像を描き出していたことがよくわかった。名作は何によって生まれ出てきたのかが、よくわかった。幸せの黄色いハンカチの原作との出会いがナベ貞邸から始まっていたとは。歌と芝居の縁のようだ。それにしても「下町の太陽」はヒット歌謡からつくられた映画でも、上質な映画であることには驚く。
読了日:09月04日 著者:
倍賞 千恵子
また、桜の国で
の
感想
ティモシー・スナイダーのブラッドランドでは、ヒトラーもスターリンも、侵略、虐殺の所業の果てしなさは底なしの救いがたいものであった。蹂躙されたポーランドの苦難の歴史は壮絶で、虐殺されたポーランドユダヤ人は、150万人。トレブリンカでは貨車から降りて二時間でガス殺とあった。ワルシャワほど破壊つくされた都市はないとも。この小説では、ソビエト共産党とナチスの騙し合いの凄惨な大量殺戮戦の中で、ポーランド人の絶望と怒りと救いの物語が迫真に綴られていた。極悪の独ソ、陰湿権謀の米英に比し、日本のこころは儚くも美しい。
読了日:08月31日 著者:
須賀 しのぶ
大手新聞・テレビが報道できない「官僚」の真実 (SB新書)
の
感想
前世紀、米国が日本の勢いにのまれていたころ、対日戦略の一つに官僚を堕落させると言うのがあったとよんだことがある。志のある官僚が経済政策を立案、先導していた時代イメージを踏まえての事かと思うが、どうも、戦略どおりに堕落したようだ。省益第一、天下り利権確保、許認可規制とのバーターで医師会、獣医師会などの既成勢力とつるみ、規制緩和反対、権益確保を巧妙に続けている官僚がいるらしい。文科省の前川元次官は、風俗店に浸りながら天下りに腐心し、違反行為で更迭され、規制緩和への腹いせに煽情ネタを朝日と民進等に提供と。無残。
読了日:08月11日 著者:
高橋 洋一
Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男
の
感想
心を打たれた。大正9年生まれの小倉出身の学徒が、誓った科学者となり、偉業を成し遂げ、そして、原爆惨禍を一生心に刻んで生きた物語だった。使命感に奮い立つ生きざまには息をのむ。観察、記録、思考を極めると、発見は、「発見ではなく、"認識"なんだ」と言い切れるらしい。いかなる積み重ねがその境地に達するまで繰り広げられたものか、想像は届かない。当たり前のように運用されている技術・システムは、先人の精神が成し遂げた塊であると、つくづく感謝。日本では無名の快挙に爽快な読書ができたが、日本は同胞を正しく知る国か心配にも。
読了日:07月15日 著者:
佐々木 健一
トランプ幻想に翻弄される日本 :長谷川慶太郎の「投資の王道」
の
感想
重電も軽電も素材もシステムも業種がなんであろうが、著者が会社を評価する視座は、経営者の力量とその会社の技術競争力で、揺るがない。江戸時代でも今でも山師が経営者の会社は信用できないと。実業、実利、現場、現業から見る著者の寸評は実に爽快。トランプは、実体経済に向き合う政治家で、ヒラリーが浮利に淀むエスタブリッシュメント代弁政治家と言う事になるらしい。アメリカはアメリカファーストのためにもTPPにいずれ参加すると。世界一の農業国としてみただけでも、競争力を発揮する舞台が要るからだそうだ。新聞では全く知りえない。
読了日:07月10日 著者:
長谷川慶太郎
今こそ、韓国に謝ろう
の
感想
全く、知れば知るほど御免被りたい。マスコミには怒りが込み上げる。想像していたよりもはるかにひどい反日実態だ。恩を仇でとはこういうことなのか。本田宗一郎は、作り方を教えたのにできるようになると礼もなく、もういらぬとの態度に、怒って事業を引き揚げさせたという。台湾とは全く違うとも言ったらしい。どうもあらゆる面でそうらしい。ひどいものだ。誰もが関わり合いたくないはずだ。誤解の流布は放置できず、日本を正しく伝えねばならぬとは、厄介至極だ。高山正之だったか、中国とは疎遠に、韓国とは無縁にと読んだが、頷ずける。
読了日:07月09日 著者:
百田尚樹
米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体 (角川新書)
の
感想
日本の憲法学者は条文の解釈学に籠り、教条的教義主義の輩らしい。憲法の国際比較を国状、国際情勢から行い、現実に適合させる視点はもちあわせていないらしい。関係法令、判例を憲法とセットにして、国民を守るための法典が憲法典の目的であるのに、全く逆転した、憲法を至上とした生計活動をしている輩のようだ。事実を報道するはずのメディアも、全体主義化、画一化して、教条主義的な護憲記事を乱発し、事実を歪め、都合よく中韓につけ入られ、反日活動・日本侵略の暴挙を隠し、嘘を重ねているらしい。「メディア界の財閥解体」論には得心。
読了日:07月08日 著者:
ケント・ギルバート
漂流 (新潮文庫)
の
感想
海洋民族史の江戸期を知ったような気になった。縄文人は世界最古の漁労に秀でた民族と「骨が語る日本人の歴史」にあった。海洋との関わりは日本人の基底にあり、江戸の物流産業としての海運にも、現代の漁業にもつながる何かがあるのだろう。船乗りの自然と対峙した生計の営み、命を全うする姿の真実を見るかのようだった。著者にはまたしても生きることのなんたるかを突きつけられた。解説の「周到に用意された堅牢な細部に物語の全体が支えられている」とのとおりで、読んで救われた思いがひとしおの事績配置だと思う。宝を読み終えてしまった。
読了日:06月28日 著者:
吉村 昭
日本人が知らない洗脳支配の正体 日本を見習えば世界は生き残れる
の
感想
扇情主義報道に支配されるアメリカ文明史、その報道を有難がる日本の新聞は輪をかけてガセ報道をしている現実が明かされる。ピューリッツァー賞の偽善、NYタイムズやCNNの偏向、自己
の情宣記事の実態が述べられる。数々の日本叩き冤罪事件を思えば
真実味は尚更だ。強欲と不寛容と敵愾心と征服欲が西洋史の根底を支えていて、繰り広げられた「進歩」は、「制覇」であったことが分る。トランプ登場の意義は、文明的に異端ではなく、既成メディア、グローバリズム、不寛容宗教に隠された西洋文明の欲の核心をあばきつつあることにあるらしい。
読了日:06月24日 著者:
高山 正之,馬渕 睦夫
米中激戦! いまの「自衛隊」で日本を守れるか
の
感想
木村英紀の世界を動かす技術思考で、日本は物づくりに固執して世界のシステム化潮流に乗り遅れ、システム科学技術を実用できてないとあった。第二次大戦で米はORで独の攻撃パターンから船団護衛の方式や、レーダー網配備方式を編みだし、システム科学を実践したらしい。日本は兵站軽視の教条参謀による非科学戦略で惨敗したとしかとわかったはずが、自衛隊はこの轍を踏んでるらしい。また、中国の軍備増強の原資に、日本企業の中国進出、国のODAが大きく寄与し、日本は自業自得と。嘆息。米軍は、日本は情報だだ漏れのお子ちゃま扱いと。無残。
読了日:06月19日 著者:
藤井厳喜,飯柴智亮
世界が地獄を見る時 ~日・米・台の連携で中華帝国を撃て
の
感想
建国以来の侵略史の根底にあるものを理解できた。覇権主義と反日と国内統制が暴走に達した事がよくわかった。確か九千万人の党員と三百万人の党の軍隊と軍並の予算規模の治安警察がその他十数億人を抑圧、封殺する規模と聞く。今、極東の民主主義のラストチャンスで、覚悟の時との警鐘が主題。震撼する時が目前にみえてきた。教育は恐ろしいものだ。日本人は皆殺しにしてよいと価値教育され、太宗の国民がそう考えている国がある事実は恐ろしいものだ。扇動する日本の新聞社は絶望的。
読了日:06月17日 著者:
門田 隆将,石平
勇敢な日本経済論 (講談社現代新書)
の
感想
またも、新聞・テレビ・御用出演者達の利己的守旧ぶりは、とてつもない公害と確認できた。英国人で新聞の内容が正しいと思う人は二割で日本人が異常らしい。故谷沢永一は、「新聞は一つの商売」「昔から偏向」「記者はクラブに軟禁」された「伝書鳩」と。財務省の省益思惑通りの扇動紙面づくりに励み、消費税を上げても景気は大丈夫と喧伝したくせに結果としての誤報道には全く無責任だ。新聞・テレビへの保護規制を止め、市場と対峙させないと矯正不能らしい。マスコミが隠すトランプの賢い実像、日本1000兆借金の嘘、産業政策の無益を再確認。
読了日:05月07日 著者:
高橋 洋一,ぐっちーさん
瑠璃色の石 (新潮文庫)
の
感想
吉村昭は、青春もいかんなき事がつくづくわかった。真理を突き詰める姿勢は、苦境と向き合い、掴み取ろうと前に突き進み続けた青春があっての偉業のようだ。それにしても挫折を乗り越え、自分を鍛え続けた壮絶さの凄いことか。三島由紀夫に意見し、三島もそれにうけこたえる清廉さ、安倍学習院院長との直談判の豪気と院長のかえす包容力、競い合う若い作家達と鍛え励ます文壇指導者達、夫の希望を支える妻の生活力、限界に達した時の潔さなどなど、なんとも気持ちがよい。星への旅はとことん突き詰めたものであったことがよくわかった。
読了日:05月05日 著者:
津村 節子
トランプvs.中国は歴史の必然である 近現代史で読み解く米中衝突
の
感想
北朝鮮問題は、米中冷戦の先端と言う事か。米国は中国に民主化の幻想を持ち続けてきた為に幾度も中国に騙されたそうだ。今の中国は、中華思想と共産党独裁全体主義が一体となり、始皇帝の時代から繰り返されてきた周辺国制圧、朝貢体制づくりで自身の権力基盤を維持した王朝の行動と同じ思考と。トランプの繰り出す手は、中国に照準があって、台湾も北朝鮮もその戦端として取り組まれていて、トランプにはもはや中国への幻想はないと。米中衝突、アジア戦乱は必至で、起点は、中国共産党の中華帝国主義に。軍事行動の背後がよめた気がする。
読了日:05月03日 著者:
石平
歴史REAL史上最強の大名 薩摩島津家 (洋泉社MOOK)
の
感想
薩摩の歴史はなんともこの現代に脈々と繫がる遠大なものであったかよくわかった。大名家とその家臣団、領民の関係がどのように培われ、歴史を転換するまでの力を発揮したかがよくわかった。海洋民族であることも明白だった。確かな解説を、地図と系図と史跡、古文書、文化財の写真と一緒に読めるこの企画本は楽しめた。活字で思いをはせる読書と違い、歴史の絵本といったところだが、薩摩の歴史の魅力がなせるものに違いない。
読了日:05月02日 著者:
儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇 (講談社+α新書)
の
感想
「しょうわる」と言う嫌な言葉があるが、変わらない変えようとも思わない救いようのない性格を表す言葉であろう。そういう人は孤立にも耐えうるアウトローかと言うとそうでもなく、都合よく徒党を組みながら数にひそんで事をかまえるいやらしさを身に着けているらしい。当然、義侠はない。儒教から仁義礼智信を捨て、中華と夷狄の構図の権勢欲にかられて血縁頼みの徒党を組む民族は、同じような争い事と周囲の離反をくりかえす事となるらしい。隣接国は、巻き込まれず、賢く排除して、つけあがらせない脇固めが必要な相手と言う事らしい。
読了日:04月10日 著者:
ケント・ギルバート
世界が再び日本を見倣う日 「トランプ砲」は恐れる必要なし
の
感想
日本のみがデフレの勝者との主張の意味がよくわかった。事実と事象から未来を見きわめてしまう眼力にはいつも舌を巻く。報道では全く知ることのできない事実とその意味が明かされ、世界が動いている理屈に驚く。メディアからは、真実や本質は何も知らされず、何も解説されていないことがつくづくわかる。鳩山由紀夫の不勉強は繕い難いものであったこと、世界の新聞・テレビは、建前リベラルの権益偏向商売で特権階級守旧派であること、トランプ、ブレグジットの本質は「買い手」の本音である事がよくわかった。
読了日:04月09日 著者:
長谷川 慶太郎
常識ではあり得ない中国の裏側
の
感想
訳のわからぬ中国がようやくわかった。先進文化は紀元前に生まれた資産だけらしい。始皇帝が破壊して以降2千年、尊崇の念を抱けるものはなく、全体主義と独裁政治による分裂、滅亡、復活の繰り返しだそうだ。ヘーゲルは、「中国の歴史とは本質的には歴史でなく」君主の入れ替わりにすぎず、「いかなる進歩も生まれることはない」としたそうだ。共産党は歴史を捏造して言論封殺し、ファシズムとして専制支配と。人民解放軍ではなく人民制圧軍、共産党ではなくて独占党だ。その残忍非道は「天の理が許さぬ」と期待するしかないらしい。悲惨。
読了日:04月08日 著者:
陳 破空
兵士に聞け 最終章
の
感想
領空、領海を侵犯して野心の実現を執拗に続ける隣国、周辺国があり、どういうことが境界で起きているかが、よくわかった。新聞では知りえない現実を読んだ。周辺国の暴挙を日々防いでいる人々の献身には、つくづく頭が下がる。侵略に晒されていることに目をつむるままでよいはずはないのだが、向き合う自信と知恵がないのも現実なのか。吉田茂の日陰者として耐えよとの言葉でいつまで凌ぎ続けるのか。先送りにはそろそろつけがまわる気がしてきた。
読了日:04月01日 著者:
杉山 隆男
シルバー・デモクラシー――戦後世代の覚悟と責任 (岩波新書)
の
感想
団塊の世代が団塊なのは、前の世代より出生数は多いが、その後の1950年代の出生数が激減した為の突出でもあると読んだ。優生保護法で経済的理由を認めた誘導の結果と。その数ゆえに教育、消費、あらゆる制度と活動が彼らに焦点をあてざるをえない戦後史だった。ついに迎えた異次元の高齢化社会。老いきる前に後世代に対して責任を果たせ、その筋道はある、との著者の主張は迫真。マネーゲームの生活保守主義に浸り、私生活を最優先する団塊世代の性向を自覚して後世代に目を向けよと。さて、彼らに老いた責任は果たせるか。
読了日:03月25日 著者:
寺島 実郎
アマゾンと物流大戦争 (NHK出版新書)
の
感想
物流戦略が勝敗を分けると解説され、よくわかったが、アマゾンの成功には、ウォルマートの物流の研究・挑戦があってのこととあった。MBA流のハウツウ本には感じても仕方のないことだが、何のために事業するのかがどうしても気にかかってしまう。競争に勝ち抜くために手法を正当化するのが、どうしても気に掛かる。ジョージ・パッカーの綻びゆくアメリカでは、サム・ウォルトンは、地方小都市の小売店街に出店して潰し、拡大し、アメリカ人を毎日低価格に依存する生活者にしたとあった。街は衰え、人々は低賃金・低価格生活者に。それでいいのか。
読了日:03月18日 著者:
角井 亮一
暗闘
の
感想
闘う相手が内なる敵にもあったとは。対米、対ロ、対中、対韓とこれまで歴代の政治屋が避けてきたのとは異なることに驚いた。外務省の実態とはここまで精神が頽廃した高学歴の王朗達であったとは。嘆かわしい。外務省の上に安全保障の組織としての対外組織が必要な理由がよくわかった。前作の「総理」同様に新聞・テレビでは知りえない緊迫情勢の真実を知る思いがつくづくした。ここ数年の政治・国際情勢への日本の対応には得心。新聞・テレビの欺瞞・自己満足報道にはますます辟易。今後も新聞・テレビは要注意。
読了日:03月11日 著者:
山口 敬之
大直言
の
感想
田原総一郎との対談とは趣が違った。志が同じで新聞・テレビの堕落への危機感も同じ。テレビ・ジャーナリズムにいる田原とは、朝日新聞の罪への怒りが全く違う。田原は悪質さよりも単純な上を見た仕事ぶりによるとしたが、百田達は反日の結論ありきの悪質取材・編集と明言する。団塊世代以上は反日偏見層が多く、日本の若者の未来を摘んでると。団塊世代による傍若無人な騒乱を思いだす。その親世代の稲盛和夫は自分の世代の失敗は子供の教育と言っていた。青山は、自己権益保守の偽リベラルがジャーナリズムを席巻してる事は日本の大問題と。
読了日:03月04日 著者:
青山 繁晴,百田 尚樹
大転換 : 長谷川慶太郎の大局を読む緊急版
の
感想
トッドはロシアは安定を取り戻し、高等教育進学率は高く、過剰な個人主義もなく、出生率も劇的に改善し、ウクライナ難民は高学歴人口増で、人口的には安定と言ってたが、長谷川慶太郎はロシアに専門誌はほとんど消え、優秀な学生はイスラエルかアメリカに行き、経済成長マイナスでソ連回帰風潮になり、再び経済破綻で崩壊すると。真逆。トランプはIS壊滅とシリアアサド復権で安定させる為にプーチンを利用し、それがなれば切り捨てると。トランプで日本の立ち位置はますますよいらしい。中韓には明日はないと。自国民を欺く反日国に未来なし。
読了日:02月28日 著者:
長谷川慶太郎
桜田門外ノ変〈下〉 (新潮文庫)
の
感想
朝井まかてはみとっぽは熱しやすいと言っていた。優れた人材が藩内抗争で失われ、明治以降の地歩を失ったらしい。開沼博等の常磐線中心主義によれば、製造、流通の地歩を確立し、日本の欠かせぬ地域になっていると。貧しい地域が斉昭等の改革で変貌し、その後イデオロギーで消耗し、近代は実体経済地域として発展している。生死を賭けたすさまじい地域史と思う。それにしても簡潔鋭利な筆致は凄い。鉄之介の斬首描写では1959年の少女架刑の独白を思いだした。
読了日:02月26日 著者:
吉村 昭
桜田門外ノ変〈上〉 (新潮文庫)
の
感想
常陸の国が尊王攘夷の発祥地になったいきさつが、国と藩の存立の葛藤、苦悩としてひしひしと伝わってきた。なぜこの地で熱烈な尊王が育まれたのか。近江俊彦の日本の古代道路を思いだした。常陸の古墳群の数は日本の中で有数で、幅広の道路網で結ばれ、蝦夷戦争の兵站基地だったと。常陸には各地に大規模な正倉院、倉庫群があり、水上交通と連動し、日本の北の要衝地と。鹿島神宮の社と深い森にたつと、古代と大和の国を感じたことを思いだす。常陸の尊王は必然だったと思う。
読了日:02月26日 著者:
吉村 昭
問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書)
の
感想
一年前の聴取本だったが、世界の情勢の理解の仕方に引きづり込まれた。対米、対ロ、対中、対欧の差異を踏まえた態度を構える必要があることがよくわかった。アメリカの尊厳を傷つけないでロシアともパートナーシップを築く道理、不安定の極の中国の苦境の時こそ手を差し伸べる道理、サウジの崩壊への備えなど新聞からは知りえない事柄だ。同質な欧州などもう無くて、瓦解の時代に入ったとする論拠は明快だった。日本、どうするかだ。
読了日:02月11日 著者:
エマニュエル・トッド
汝、ふたつの故国に殉ず ―台湾で「英雄」となったある日本人の物語―
の
感想
台湾の20世紀の苦難を知ることができた。明かされた事績は胸が詰まり、かけがえのない今であることを有難く思う。蒋介石の恩に報いて毛沢東から台湾を守った根本博中将、蒋介石の支配に命を落とした日本ゆかりの台湾の人々。複雑な台湾の歴史は、日本の誠をのぞかせる。同時に、中国の正体も暴いている。「人間の条件1942」で知った蒋介石の民衆への冷徹は、台湾でも惨劇による支配を行ったらしい。著者は、いつもながら胸に迫る丹念な筆だった。
読了日:01月14日 著者:
門田 隆将
浅草博徒一代―アウトローが見た日本の闇 (新潮文庫)
の
感想
ボブ・ディランが2001年のLove and Theftで詩を借用したネタ本らしく、著者は2003年の取材に光栄と応えたとの記事を読んだ。ノーベル文学賞受賞者が無断使用とは解せないが、ボブ・ディランのような生き方なら超越いたしかたなしか。大正、昭和の義理と人情の渡世人の話で、迫真の記録小説に驚いた。語られる清濁混濁の生き様は、きっぷよく、世間様の掟を守るアウトロー姿だが、憎めぬ魅力に溢れていた。吉村昭のいくつかの小説を読んだような気分になった。最後のシーンには、日暮里が登場し、やはり日暮里と余韻に浸った。
読了日:01月10日 著者:
佐賀 純一
崩壊するアメリカの公教育――日本への警告
の
感想
「綻びゆくアメリカ」「強欲の帝国」を読んで知ったのは、あらゆる事柄で利益を求める経済行為を解き放ったのは、レーガン、クリントン、ブッシュ、オバマ、民主も共和も、皆、同じで、規制廃止、大商業化、金融化に邁進し、アメリカンコミュニティーが崩壊しつつあることでした。学費ローン返済を抱えて卒業・就職するアメリカの学生の現実から、本書で教育の実相を期待したのですが、注意して読む必要のある本でした。著者は先端教育を享受しているようですが、観念、邪心に支配されているかのような印象も。
読了日:01月03日 著者:
鈴木 大裕
ぼくらの祖国 (扶桑社新書)
の
感想
震災の年末にでた本。あの惨劇と戦慄を思い出す。あの時、政治と独占企業と一流学者と高級役人が無能を晒し、無名の人々がこらえて支えた年だった。建屋を水素爆発でとばした原子炉は、米が地震域では使用しない型を日本に売ったと。菅総理は自己顕示するばかりで、救国は現場の人々の献身によるものと。振り返るとゾッとし、忘れてはならぬと思い返す。果たして危機に立ち向かえる祖国に近づいたのか。まだ民あって国なしなのか。目先の利益、権益、権勢に保身するばかりから抜け出せたのか、新たな領土危機に立ち向かえるのかを問う本。
読了日:01月02日 著者:
青山 繁晴
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