今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

2015.01.09
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編集より(同人誌「賀茂短歌」平成二十七年一月号)下書き 後藤瑞義



 毎年、年の初めに渡辺つぎさんの前年度の各種の入選歌を一年分掲載しています。今年度も「平成二十六年度渡辺つぎさんの秀歌(百三歳の歌)」として掲載させていただきました。ご覧のようにすばらしい作品の数々です。昨年は歌集「一日一日はたからもの」を出版されたり、新聞、雑誌、テレビなどにも出演されお忙しい日々であったことと推察いたします。なにか、ここにきていっきょに花開いた感もあります。百三歳での開花、ますます勇気を与えられる思いがします。

 (後略)



平成二十六年度渡辺つぎさんの秀歌(百三歳の歌)    後藤瑞義

                       (角川書店雑誌「短歌」他の入選歌より)



電線に並ぶ雀もゴミ箱をあさる烏も少なくなりぬ

(雑誌「短歌」平成二十六年一月号題詠「鳥」入選 中地俊夫 選)



百人のクラスメートのかくれんぼ一人も出て来ず鬼もつかれた

(雑誌「短歌」平成二十六年一月号公募短歌館 秀逸  久々湊盁子 選)

大日本帝国と敗戦国わが百二年の明暗きびし

(雑誌「短歌」平成二十六年一月号公募短歌館 佳作   三井ゆき 選)



おむかえがなかなか来なくてと言えばこちらでお迎えしますと主治医

(第五回角川全国短歌大賞  奨励賞 ・馬場あき子 選 佳作 )



このいのちさし上げたしとけんめいに祈りし百歳 八月十二日

(第二回河野裕子短歌賞 入賞 永田和宏選賞     産経新聞社主催)



日だまりで居眠りしながら次の世に行けたらいいなあ百二歳われ

(雑誌「短歌」平成二十六年三月号 題詠「陽だまり」   小林幸子 選)

百二歳喜怒哀楽をくぐり抜けぼんやりゆっくり終焉を待つ

(雑誌「短歌」平成二十六年三月月号公募短歌館 秀逸  久々湊盁子 選)

(評)これまでに人生の喜怒哀楽はおおよそ経験したという百二歳の作者。心静かに「ゆっくり」その時を待つという。かくありたいものと感歎する。

長命をほめられながら自らは生きて恥多き百と三歳

(雑誌「短歌」平成二十六年三月月号公募短歌館 佳作  三井ゆき 選)



居眠りしながら次の世に行けたらいいなあ百二歳われ

(雑誌「短歌」平成二十六年四月号 題詠「陽だまり」   小林幸子 選)

おそろしきまでの長命百三歳幼児退行日日すすみつつ

(雑誌「短歌」平成二十六年四月号公募短歌館 特選  楠田立身 選)

(評)百三歳の長命を「おそろしきまで」と表現したのは恐怖ではなく感謝と驚愕だろう。幼児退行を歎いておられるが、応募ハガキの小さな桝目に歌を清書して応募する意慾は退行ではない。



百三歳の春ともなればはなやぎにあらずひそかに四方を拝す

(雑誌「短歌」平成二十六年五月号 題詠「春」  入選  小林幸子 選)

おびえいし百三歳はどんときてわれの鼓動の高まり止まず

(雑誌「短歌」平成二十六年五月号公募短歌館  佳作  松坂 弘 選)



おびえいし百三歳にとらえられめでたくもありおそれでもあり

(雑誌「短歌」平成二十六年六月号公募短歌館  佳作  松坂 弘 選)

気の遠くなりそうな長い年月も波に消されし足跡のごと

(雑誌「短歌」平成二十六年六月号公募短歌館  佳作  秋山佐和子 選)



春よ来い百三歳だ杖持たず一歩一歩と地面をふんで

(雑誌「短歌」平成二十六年七月号公募短歌館  秀逸   三井 修 選)

(評)百三歳という年齢に無条件に敬意を表したい。初句の柔軟さ、下句の力強さが、全く年齢を感じさせない。

春よ来い百三歳だ杖持たず一歩一歩と地面をふんで

(雑誌「短歌」平成二十六年七月号公募短歌館  秀逸  一ノ関忠人 選)

春よ来い百三歳だ杖持たず一歩一歩と地面をふんで

(雑誌「短歌」平成二十六年七月号公募短歌館  佳作  春日真木子子 選)



百三歳を祝い下さる方方のかんばせすべて観音菩薩

(雑誌「短歌」平成二十六年八月号公募短歌館  佳作  春日真木子 選)

百三歳を祝い下さる方方のかんばせすべて観音菩薩

(雑誌「短歌」平成二十六年八月号公募短歌館  佳作   三井  修 選)

山の端を出づる朝日にみまもられ百四歳の一歩ふみ出す

(雑誌「短歌」平成二十六年八月号公募短歌館  佳作   田宮朋子 選)

百三歳を祝い下さる方方のかんばせすべて観音菩薩

(雑誌「短歌」平成二十六年八月号公募短歌館  佳作  一ノ関忠人 選) 



スッと立つ百歳さんと詠みくれし友よ百三歳はテコでも動かぬ

(雑誌「短歌」平成二十六年九月号公募短歌館  佳作  春日真木子 選)

スッと立つ百歳さんと詠みくれし友よ百三歳はテコでも動かぬ

(雑誌「短歌」平成二十六年九月号公募短歌館  佳作  一ノ関忠人 選) 



百三の誕生日なり大空も山川草木色濃くぬくし

今日よりは父母あまわししこの足で百四歳のいのちをはこぶ

(日本歌人クラブ主催 第三十五回全日本短歌大会 秀作  )

介護不要百四歳へ歩みいる抱きいるもの落とさぬように

古りてなおなしたきことのあまたあり長命のあかし乏しきゆえに

(日本歌人クラブ主催 第三十五回全日本短歌大会 優良賞 )



クラスメート一人も居らず教え子ら卒寿を越ゆとわれは何者

(雑誌「短歌」平成二十六年十月号公募短歌館  特選  花山多佳子 選)

(評)百四歳の作者。教え子が卒寿というから驚く。「われは何者」という結句が卓抜だ。ただ者でないセンスがあっておかしみを誘う。



苦を越えて楽が訪れ苦に追われ楽な日日来て百と四歳

(雑誌「短歌」平成二十六年十一月号公募短歌館  秀逸  花山多佳子 選)

介護不要百四歳への一日なりとりこぼさぬよう生きねばならぬ

(雑誌「短歌」平成二十六年十一月号公募短歌館  佳作  花山多佳子 選)






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最終更新日  2015.01.09 13:08:50
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