後藤早苗の短歌(35)
(注)後藤早苗は私の妻です(平成29年1月28日死亡)。
結社誌「賀茂短歌」より転載。
母 (20年・4月)
早朝の電話にもしやと胸さわぎああ母はもういないと気付く
母の葬儀誰も泣いてはいなかった年に不満はないのだけれど
人恋しく物売りさえも喜びてまた来てくれと言いたりし母
ごそごそと枯葉の中で音がするヘビか蛙か今日は啓蟄
午前中雨午後は晴予報士の言われたとおり雨がやみたり
亡父も友も帰らぬあの世とはきっと楽しきところと母言う
「我の菜園」 (20年.5月)
いつか娘の花嫁資金と思いつつ残しおく金いつの日使うや
唐突に息子言いける障害の弟の世話僕がするよと
なすトマトキュウリにカボチャピーマンと種より育てる我の菜園
憂きことに一日籠れば庭に出て花に心をいやしてもらう
ツバメの巣エホバの証人こわしをり鳥けものとの楽園語り
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