後藤瑞義の短歌(280)
「賀茂短歌」第42巻第5号(平成九年十月発行)
朝なさなわれの座席の真向いに座れる乙女今日は来たらず
牧水の愛でし千本松原はテトラポットに覆われている
閉されし電車の窓に逃れんと一匹の蛾が這い回りおり
麦秋の丘を登れり過ぎ去りしひとつの恋をこころにいだき
君詠みし真紅なせるエベレスト思い浮かべて眠らんとする
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