1月27日(木)
岡井 隆「私の文学」(48)
(対談:聞きて田中和生)
三田文学(2003年夏季号)より
田中:その短歌運動のときは、結社式のものを壊してどうい
ものにしようということは、特に考えてはいらっしゃらなか
ったんですか。
岡井:結社をぜんぶなくして、同人雑誌がでてはつぶれ、出
てはつぶれのあの形でよかったと思ったんですよ。ところが
結社は強固に残りましたね。それはたぶん、さっきいった普
通人、つまり文学者とか文学的な才能、文学的教養をプロ的
にもっている人じゃない人々の集団を基礎にもっている短詩
型文学だからでしょう。今はそっちの方も非常に栄えていま
すけれども、そういう一種の大衆性、「大衆性」というのは
平凡な言葉だけれども、万人に受けいれられやすいところが
あって、俵万智さんとか石川啄木さんとか寺山修司さんとか
の作品がありますけれでも、そういうものが片一方にあると
いうことが、宿命かもしれない短歌というものの全体で、僕
自身もこの世界のなかにいるんですから、いやおうなしにこ
れはそうである。そうすると、次から次へと生起する同人雑
誌だけでよいというのは無理だなと。
(つづく)
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