・すべての雲は銀の・・・




書籍名:すべての雲は銀の・・・
著者名:村山由佳
出版社:講談社



あらすじ

壊れた心にやさしく降り積もる物語誰もが抱える傷なのに、痛くてたまらない――。
恋人の裏切りに心を引き裂かれ、大学生活を捨て信州・菅平にやって来た僕。
もう人を愛せない。心も、そして体も――。
終わりのない痛みに閉ざされた僕が出会ったのは、
信州の空のような明るさの奥にさまざまな傷を隠し持った人たちだった。
愛し合い、傷つけ合い、やがて赦し合う人々が静かに、せつなく奏でる交響楽。
待望の長編小説。


FAVORITE PHRASES
・世界の中心に自分をおくのが悪いとは言わないけど、そればっかりじゃだめよ。

・まわりの九十九人までが全然たいしたことないと思ったって。
 本人が不幸だと思ったらそれは不幸なんだっていうことよ。
 その反対に、はたからみてどんなに救いのない状況でも当人が少しでも満足できるなら、
 それはりっぱに幸福でありうるんだわ

・<どうして一時でもあんな相手に惚れたのか、自分で自分がわからない>
 別れた後で、そんなセリフをはく奴がいる。
 でも、僕にはそういう気持ちのほうがわからない。
 もしも今、あの冬へ立ち戻って最初からやり直すことができたとしても、
 きっと同じように惹かれるに違いないからだ。

・ほしいものを手に入れようとすると要らないものまで一緒にくっついてくるのは世の常

・しなければならないことをノルマのようにこなすのではなく、したいと思う気持ちに
 素直に従って動くと、嘘のように体が軽く感じられた。

・ふだんは当たり前にわかっているつもりでもさ、いざ子どもから素朴な疑問って感じで訊かれると、
 うまく説明できないことがいっぱいあるんだよな。むずかしいんだよな、ほんとに。

 どうして悪い人にも弁護士がつくんだろう、とか、
 どうしてクローン羊はよくてクローン人間はいけないのか、とか、。。。
 そういう質問にきちんと答えて見せるのはさ。
 子ども相手に教えてみると、
 いやでも気づかされちまうんだよな、と先輩は言った。
 自分がじつは、どれほどのことをちゃんと理解してないかってことにさ。

・あなた、まずそのステレオタイプの考え方を何とかしなさい。
 っていうか、自分の鈍感さをもう少し恥ずかしいと思いなさい。
 そんなふうに十把ひとからげに考えて、いったい何がわかるっていうの?

・想像してみなさいよ、二度と笑えない人生よ? 
 そういうのを怖いと思うのって私だけ?

・人に甘えたり寄りかかったりすることを、世間ではとかく弱さと結びつけて非難する傾向があるけれど、
 それも時と場合によるのかもしれない。苦しくて苦しくてどうしようもないときに、
 ほんのつかの間でいい、無条件に甘えさせてくれる者の存在は、
 どんなに人を安らがせ、勇気づけることだろう。
 人間は機械とは違う。時には休みだって必要なはずだ。
 体ではなく、心が休息を必要とする場合だってあるはずなのだ。

・自分自身が枠からはみ出すのを許せないのと同じように、
 人がそこからはみ出すのを曖昧に見過ごすことのできないタイプ。。。
 世の中にはそういう人間が結構いるものだ。
 そういう人達には<自分と相手とは別々の人間なのだ>というごく当たり前のことがわからない。
 別々の人間である以上、別々のい価値観やルールに従って生きていて当然なのだということが
 理解できない。悪意はないのだろうが、想像力に欠けているのだ。

・お前って昔から、こっちが悩み事の相談なんかしようものなら慰めてくれるどころか
 一緒に落ち込んじまってさっぱり頼りになんなかったけどさ。
 でもまあ、ただ黙って話しを聞いてほしい気分の時にはもってこいの相手なのかもな。
 今の世の中、そういう存在も貴重だよ。

・たいていのもんは『個性』いうのんは他の人間とはまったく違う、独特の、
 特別のものやと思うとる。
 一般人の奸悪から飛びぬけたようなものやら、ちょっと理解しにくいようなものに出合うと
 『個性的』ていう価値をそこへ当てはめたがる。しかし、おれはそれだけやないと思う。
 人と違ってるもののことだけやのうて、人とつながれるもの、
 人と共有できるものをどれだけたくさん持ってるかいうこともりっぱな個性やないかと思うねん
 人とまったくつながることのできひん『個性』なんぞ、誰にも理解されへん。
 だーれもええとは認めてくれへん。

・世の中に、遠距離恋愛のカップルはたくさんいるだろうけど、
 ほとんどの人たちはいつか一緒にいられるときが来ると思うからこそ、
 我慢してるわけでしょ?
会えなくても、寂しくても。だけど。。。
 どうせ後でダメになるなら、今のうちに別れといたほうがましだって。
 わざわざ、自分から進んで傷を深くなんかしたくないって」

・人の話にすぐ『わかるわかる』ってあいづち打つの好きじゃないんだけどさ。
 でも、ほんとによくわかるんだ。

・たとえどんなに好きなことでも、それがいざ仕事となればやっぱり大変になっちゃうのよ。
 この世に楽な仕事なんてありゃしない。
 人ひとりが生きてくってことは、ほんとにしんどいことなのよ

・この世で何がカッコ悪いて、中身もないくせにカッコつけるほどカッコの悪いことはないねんで

・カッコ悪いとわかっているからこそ、カッコでもつけなければやってられないのだ。
 そうでもしていなければ、自分で自分を見限ってしまいたくなる。

・私を傷つけるのはいつだって私自身。幸せにできるのも結局私自身。

・初めから持たずにいるより、持ってたものをなくすほうがもっとつらいじゃない。
 そういうのに慣れることができたらどんなに楽かと思うけど、私はだめだった。
 何べん同じ目にあってもだめ、全然慣れない。
 私、これまでいろんなものをなくしてきたのよ。もう、これ以上はいやなの。
 いま手の中にあるもの全部、どれひとつとしてなくしたくないの。
 人に聞かせたら欲張りだって言われるかもしれないし、臆病だって言われるかもしれない。
 けど誰に何て言われたっていやなものはいやなの。
 だから私、いま自分の手にあるものを守るためだったら何だってする。
何だってよ

・どう頑張ったって、これからさき二度と何も失わないで済むなんてことはあり得ないんじゃないスか。
 誰だって、しょっちゅう何かしら失って、そのかわり別のものを手に入れて、
 それで何とか帳尻合わせて暮らしているんです。
 生きてくってのは、もともとそういういことなんじゃないスか」

・何を考えるのでも、いちいち不安になっちまうんです。信じてた相手に裏切られたことそのものより、
 そういう相手をどうしてあそこまでむやみに信じることができたんだろうって思ったら、
 なんか。。。なんか、自分自身がまるきり信じられなくなっちゃって、
 何をしてても、これでいいんだろうか、また大きな間違いをしでかしてるんじゃないかって、
 考えても仕方のないことをぐるぐる考える

・どんなにありふれた傷だろうが痛いもんは痛いもの。
 たいしたことないなんて自分で無理に思い込まなくていいの。
 痛いとこがあるならちゃんといたわって、じっくり時間かけて治してやりゃいいのよ。
 だってあなたの痛さはあなたにしかわかんないんだもの」

・私なんて、たとえば結婚とか、安定した生活とか、人も羨む家庭とか、
 そういう基準でものを考える人から見たら、不幸な人間の部類にいれられちゃうのかもしれない。
 でもね、そういうふうな他人から認めてもらいやすいものをまず目標に据えて、
 そこから逆算して今を選んだり決めたりするのって、私、大嫌いなのよ。
 他人の基準を自分にあてはめてどうしようっていうの?


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