オトキチ日記

力道山

力道山


国際親善展覧館でいろいろなものを見たがその中に力道山ゆかりの品があつた。
力道山本人からの贈り物だつたか、力道山をモチーフにしたものだつたかは、記憶が不確か。

力道山が北朝鮮の「在日」であつたことは、週刊誌の広告で見たやうな覚えがあつた。
そのときはさうなのかと思ふだけだつたが、戦後の日本で、日本人は「悪役外国人」を空手チョップで叩きの
めす力動山の姿に喝采を送つたわけで、その彼が「北朝鮮」であつたことは北朝鮮ではどう受け取られてゐる
のか?

英雄なのか? それとも裏切り者か?

説明するガイドの口調は誇らしげなふうであつて、どうやら英雄のはうらしい。
まあ、さうでなきや展示なぞしないだらうが。

それが確認されたのが金日成の生家のお土産屋でだつた。
お土産品のなかに力道山の置物があつたのだ。
「これは力道山です」と力をこめて語られた。

モノ自体は東京タワーで買ふ東京タワーの置物みたいな感じ。

お土産品まであるとは英雄に違ひない。

しかし、誰が買ふんだ? とも思つた。
ヨーロッパ人やロシア人では力道山は知らないだらう。
中国人が知つてゐるかもあやしい。

日本人なら知つてはゐるだらうが、如何せん、私ですらナマでは見たことがない。
ましてや、力道山が「在日」であつたことは当時は知られてゐなかつたわけで、いまでも広くは知られて
はゐまい。

しかし、逆をいへば「力道山の置物」はまさしく「世界でここにしかない」ものともいへるわけで、買つておけ
ばよかつたかともチト思ふ次第。


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