影男の屋根裏部屋

影男の屋根裏部屋

ベストガイ

ベストガイ BEST GUY ◆20%OFF!
バブルの徒花として、邦画の黒歴史に燦然と刻まれた三大バカ映画の一角を担う
迷作、それが織田裕二主演の「ベストガイ」です。
パッケージが全てを物語っていますが、お察しの通り、内容は「和製トップガン」です。
ちょっと似ている、レベルならまだ可愛げがありますが、一から十までこうも
豪快にパクられると、呆れるのも通り越して清々しい気さえします。
いや、しませんかw

ただこの作品、内容以外は見所が盛りだくさんです。
まず、何と言っても今となっては絶対実現不可能であろう航空自衛隊の全面協力に
よる本物の飛行シーンがこれでもか、というくらい堪能できることです。
残念ながらクライマックスでの某国とのドッグファイトシーンは、
政治的配慮により戦闘シーンはなく、画面もショボい特撮映像に切り替わるのは
やむなし、といったところか。
こういう点ではアメリカの無神経なくらいの大らかさが羨ましいですね。

肝心のドラマの方は、主要な登場人物全てにそれなりの(ありがちなものばかりだが)
バックボーンが設定されているものの、全く消化出来ておらず、
例えば織田裕二が失意のうちに昔の女を訪ねるシーンがあるのだが、
あまりに唐突に出現する昔の女に、お前一体誰やねん!と光の速さで
突っ込みを入れたくなること請け合いです。
今では近江住宅のCM(関西限定?)くらいしかお顔を拝見することもなくなった
黒沢(ハングマン)年男扮する隊長が、演習で若造に負けたのが理由で
現役を引退するくだりも、大真面目に感動的なシーンにしようと飛行場に
隊の面々が整列して涙ながらに敬礼して見送るのですが、理由が理由だけに
ギャグにしか見えないところもご愛嬌。

トップガンでいうところのアイスマン的なキャラクターは本作がデビューの
長森雅人という方ですが、これ以降目立った作品に恵まれてないようです。
教官役の故、古尾谷雅人と雅人つながりで双方凄まじい大根っぷりを披露してくれていますが、
この人無名塾所属だってw仲代先生のご指導でちょっとは演技が上達したのか
見てみたいところですが、生憎確認する術はありません。

仮面ライダーシリーズのおやっさんこと故、小林昭二がいかにもありがちな
ベテラン整備士の役どころで、織田裕二に人生訓めいた説教をするシーンも
どこかで見たような気がします。
全く意味なく登場する外人シンガーも、バブル臭漂う香ばしさです。
こうして列挙してみると逆の意味で見所は多いかもw

ラストシーンは高原のガーデンホテルの庭らしき場所に、自衛隊のヘリで
颯爽と財前直美を迎えに降り立つ織田裕二と笑顔で抱き合うあまりにも
馬鹿馬鹿しい幕切れに、瞬間、2時間近く蓄積された何かが一気に放出される
カタルシスを感じる事が出来るでしょう。

余談ですが、本作品公開時に湾岸戦争が勃発し、自粛なのか単にコケたからなのかは
定かではありませんが、ひっそりと消えて行くことになります。

それにしてもこの作品に関わったスタッフ全員「トップガン」という作品が
存在しない世界の住人なのでしょうか?
ポリシーゼロ、オリジナリティ皆無のこの作品に堂々と原作者のクレジットを
入れてくるあたり、確信犯と思われます。
その割には劇中で「ベストガイはトップガンより上」と言い切っちゃってるしなぁ…

因みに、劇中でも「トップガン」よろしく、部隊の仲間内ではニックネームで
呼び合うのですが、主人公、織田裕二のコードネーム”ゴクウ”は、決して彼が
猿に似ているからではありません。


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