影男の屋根裏部屋

影男の屋根裏部屋

幼年期(前編)



思い返せば当時、ファミコンは所詮ゲームセンターの劣化版に過ぎない、と見下していた
部分があったのも否定できません。

しかしながら、マイコン購入から一年も経たずして、データレコーダーという記憶媒体に
限界を感じつつありました。

決定的なきっかけはエニックスの「ウイングマン」というアドベンチャーゲームです。
「ウイングマン」は当時、週間少年ジャンプにて連載中の人気漫画であり、ファンであった
私は同ソフトの発売情報を得るや、迷うことなく予約を入れ、満を持して手に入れた
期待のソフトだったのです。
内容は、今思えば大したこともなかったのですが、やはりキャラクターの魅力というものは
大きかったように思います。

で、このゲームはカセット2本組で、A面・B面それぞれにデータが記録されており、
シーンの切り替え等でいちいちカセットを入れ替えなければなりませんでした。
しかも当時としては大容量のデータで一回の読み込みに30分以上かかることなどザラで、
更に途中で読み込みに失敗すればまた一からやり直しという厳しいものでした。
例えば湿気が多くて中々読み込みができない(梅雨だからデータを読まない)なんてことが
当たり前の時代だったのですw

高校生活最初の冬休み。
私は年末から正月含む年始にかけて、自転車に乗って郵便配達のアルバイトに勤しんでおりました。
それで得たバイト代を全てつぎ込んでもちょっと足りませんでしたが、お年玉等を補填して
ついに念願の5インチフロッピーディスクドライブを手に入れたのです。

当時、自問することも一度や二度ではありませんでした。
自分は何故こんな茨の道を歩んでいるのかと。

ファミコンならたかだか2万円足らずで手に入るのに(ただしその頃は空前のファミコンブームで
本体を手に入れるのには相当苦労しなければなりませんでしたが)10万円近い出費を
するだけの価値が本当にあるのだろうかと・・・。

その答えは一本のソフトが出してくれました。

それはゲームアーツの「テグザー」です。

滑らかな動き、パズル要素も含んだ秀逸なゲーム性、更にFM音源を駆使した素晴らしいサウンド。
ファミコンごときではこれに匹敵するゲームなどできようはずもない。
後にスクウェアが同ソフトをファミコンに移植したものの、余りにヘッポコなでき
だったのもその思いを強くする一因となったのです。

余談ですが、この頃日本ファルコムを筆頭に、システムサコム、ゲームアーツ、ボーステック、
BPS、スクウェア等のソフト会社が連名で、SSTなる組合みたいなものを形成しており、
技術交流や他機種への移植等、様々な業務協力態勢をとっておりました。
当時のスクウェアは弱小で、ゲームアーツや日本ファルコムの下請けだと割と本気で
思っていたものですw

閑話休題

自らの選択の正しさを確信した私は、この後更にゲーム生活を追求していくことになる。





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