第2話



           第2話 今回はアクションだぁ♪

 洞窟の天井から、水滴が落ちている。かなり間遠く、ポツリ‥‥ポツリ‥‥と。
 その水滴が作った水溜りを、あたしのスゥエードブーツが蹴散らす。パシャッという音が響く。

 この洞窟の中は、壁面に松明が、ポツリ、ポツリ、と灯されていて(誰が灯してるのかは不明だ)、そのお陰で足元も薄明るい。
 その中を、小走りに、奥へ奥へと進んでいく。

 !‥‥‥‥その先‥‥曲がり角の先に、「何か」がいる。
共有記憶が、教えた。

えい! 当たって砕けろだ。あたしは、スピードを緩めることなく、角を曲がった。

とたんに、「そいつ」が襲って来た。
あたしは、充分に余裕を持ったステップで体を開き、右からの攻撃をよけた。
と、すぐに左からの攻撃。
今度は避け切れない。ドーナッツ形の武器が盾を破り、プロテクターごと、左肩をえぐった。
あたしは、苦痛に顔を歪めながら、道具箱の緊急釦を叩いた。中のポーションが自動的に数本飲み干された状態になり、傷口が瞬時にふさがる。
やはり、魔力のみを鍛えて、素早さを鍛えてないと、敵の攻撃をたやすく受けてしまう。

あたしは、数歩下がって体勢を整え、「そいつ」ヘルゴブリンと正対した。
両手のチャクラムで攻撃してくる、凶悪な面構えの怪物。レベル10にも満たない戦士にとっては、楽ではない相手だ。

ヘルゴブリンが再び迫ってくる。ズラリと並んだ牙の間から、涎が流れているのが見える。きつい獣臭が鼻腔を刺激した。

右からのチャクラムを同じようにかわす。
左からのチャクラム。今度は、盾でうまくブロックできた。
そして、相手の脳天に愛用の武器を、必殺の気合で打ち下ろした。

ヒュコン
ヒュコン

しょぼい打撃音が響く。杖なんだよねー、これが。

何が情けないって、バインドを覚えるまでの杖バルほど、情けないものはないと思う。
ひたすら杖で叩き続けるしかないんだもんね。
これが、また‥‥超弱い。
ゴブとファイト

ええい! オーラぁ! 攻撃力が上がる。‥‥‥2割だけ(グスン)
くそぉー、当たらないなぁ。

たぁっ! ヘイストぉ! 命中率が上がる。‥‥‥15パーセントだけ(シクシク)

ヒュコン
ヒュコン

せめて、もう少し景気のいい音が出てほしいなぁ。

ヒュコン
ヒュコン

しかし、音だけ「グワラッガッキーン!」とか出ても、威力が変わんなかったら、それはそれで哀しいか。
あたしは、しょーもないことを考えながら、敵の攻撃を避けつつ、杖叩きを続けた。

ヒュコン
ヒュコン
ヒュコン
ヒュコン
ヒュコン
ヒュコン‥‥‥‥バキッ
折れた‥
あ‥‥!
                         続く‥‥かなぁ?


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