★アバクロ★JuicyCouture★GAP通信★安可愛なアクセ★★かいたんと一緒♪

すれ違い

同級生の誘いで、清水寺近くの八橋（やつはし）屋さんで

八橋（やつはし）作りの単発バイトをすることになった

期間は１月１日・２日のみ

しかし、これが以外に辛い労働だった

立ちっぱなしで八橋の皮にあんを載せるだけの単調作業が

１日８時間＞＜

友達は風邪を引いたという口実を作り、２日目を辞退していた

私は急に休んだ彼女に対する悪口を他の店員さんから散々言われながら

今日で最後だからと割り切り、そして仕事を終えた

マンションへ帰ると、見慣れないフェアレディーＺが止まっていた

そこを通りすぎ、エントランスへ入ろうとした時に

その車から誰かが降りてきた

　　『よう！　この前はありがとう(苦笑)』

私服姿のトシさんだった

　　　　・

　　　　・

　　　　・

○△◇×＊＠・・・・・(ｏ￣∇￣)ｏ

先日のパンツの件を思い出し、一気に赤面した

トシ：
　　『あのさあ、良かったらこれからドライブ行かへん？

　　先日いじめたお詫びもしたいし(笑)』

プラーグ：
　　『今日さっきまでバイトに行ってたから

　　見た通りぼろぼろだし、お化粧もしてないし・・・』

と、遠巻きに断った。。。が、、、

トシ：
　　『そんなんかまへん。今日だって俺が勝手に待ってたんやし。

　　来るのも来いひんのも自分（プラーグ）の自由やから

　　だったら、ここで待たせてくれへん？』

プラーグ：
　　『だったら多分私はここへは戻ってこないと思います

　　帰ったほうがいいですよ』

そう言って彼の前を後にした

部屋から駐車場が見える

１時間経ってもまだ彼はいる

そして暫くするとトシさんの車は駐車場を出た

良かった、帰ってくれた＠(-。-) ハフゥ～

ほっとしてシャワーを浴び、パジャマに着替えようとした

しかし、何気に覗いた駐車場には、またトシさんの車が止まっていた

私はトレーナーとジーンズに身を包み

洗いざらしの髪の毛のまま、寒い駐車場へと急いで向かった

プラーグ：
　　『何やってるんですか？？

　　このマンション、女子学生専用だから

　　このまま居たら通報されちゃいますよ！！』

トシ：
　　『ほな、通報されへんためにも乗って(笑)』

まるで来るのが分かってたかのような言い方

気がつくと私は何も持たずにトシさんの車に乗っていた

トシ：
　　『何処か行きたい所、あるか？』

プラーグ：
　　『・・・実家』

無意識にリクさんの顔を思い出し、そう答えていた

彼に会いたい・・・

トシ：
　　『ほな、今から行こか？　高速使ったら明日の夜までにはつくやろ？』

プラーグ：
　　『本気で言ってるんですか？？』

トシ：
　　『そやで！！　俺、休日は走り屋さんやねん(笑)』

それからトシさんと私を乗せた車は

すぐ目の前に迫っていた名神高速京都南インターへ入り、名古屋方面へ向かい始めた

京都から彼のいる実家・・・

直通の特急に乗ったとしても、13時間は掛かる距離

そして季節は真冬

ブリザード吹きすさむ実家は地元の人でさえ車で移動するのは大変な時期だ

１往復すると10万円以上の支出になる帰省を諦めて

この年、プラーグは京都に留まっていた

トシさんの言葉に、明日には彼と会えるかもしれない期待に

一瞬胸を膨らませた

しかし、足長おじさんでもなければサンタさんでも、ドラエもんでもないトシさんに

そんなお願いを聞いてもらう訳にはいかない

プラーグ：
　　『行っても帰ってこれなくなっちゃいますよ。雪凄いし・・・

　　もう帰っていいですか。。。』

そう言って、竜王インターチェンジで高速を降りてもらった

彼に会いたい

夏に電話で話したのを最後にリクさんとの連絡は途絶えた

当時携帯電話なんて普及しておらず

実家に電話を掛けると、彼のお母さんの防御がきつくて

取り次いでもらえなかったのだ

それもあり、電話が怖くなっていた

もし彼が電話をしてくれていたとしても

私は忙しさから殆ど留守にし、連日帰宅は０時を周っていた

ある夏の日に、私は彼に宛てて手紙を書いた

　　“お元気ですか？　その後試験への準備は進んでいますか？

　　学校にも大分慣れ、友達もでき、アルバイトにも精を出しています

　　あっと言う間に夏休みになってしまいました

　　そちらへ帰りたいのですが、もう少し時間とお金に余裕が出来てからと思っています

　　都会の凄さや人の波に圧倒される日々ですが

　　卒業後、自分が先生になって実家へ帰って教鞭を振るう姿を想像し

　　毎日頑張っています

　　リクさんも頑張ってるんだもの

　　私も負けていられませんね

　　だって私はリクさんの鏡なんだもの

　　もし私が泣いたり落ち込んだりしたら

　　『俺が泣いてるみたいじゃねえか！！』ってリクさんに怒られちゃうよね

　　毎日、遠くから応援しています

　【追伸】

　　先日の祇園祭で撮った写真を送ります

　　一緒に写っているのは仲良しのクラスメート４人組です”

当時リクさんは、自分の仕事のステップアップのために

日本では100名足らずしか合格していない

ある資格へ向けて挑戦していた

会社のバックアップも受け、１ヶ月間の長期研修で浜松へ来たこともあった

しかし全寮制で１部屋に４人が寝泊りし

常に研修生と行動を共にするため、会うことは出来なかった

その浜松にいたリクさんから電話があった

ある夏の日の午後だった

その時、幸運にも私は部屋にいた

リク：
　　『写真見たぞ。元気そうで良かった。

　　京都、いいなあ。俺の高校生の時の修学旅行を思い出した。

　　また行きたいなあ。あの時１日しか居られなかった奈良をゆっくり見て周りたい。

　　研修の合間を縫ってそっちへ行きたいんだけど

　　今回は無理だな。試験に落ちるわけにもいかんし。。。』

願ってもない電話に歓喜し、２時間もの長電話になった

しかし、その後、お互いの連絡は途絶えたのだった

もしかしたらお母さんだけじゃなくて

リクさんにも嫌われちゃったかな・・・

車の中から見える景色に、いるはずのない彼を探したのだった

←１つ前へ

≪続く≫

ジャンル別一覧