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生死の境界線



どうも私は泳ぎ疲れて転寝をしてしまったらしい

そこは実家近くの砂浜

気だるさに身を委ねながら、波音に耳を澄ます

打ち寄せる波に視線を向けた

するとその波の中に、たかひろ君が見えた

 『どうして? どうしてそこにいるの??』

びっくりして、私は思わず、たかひろ君がいる波の中に入って行こうとした

たかひろ君:
  『プラーグちゃん、来ちゃ駄目だよ!!

  こっちに来ちゃ駄目だよ!!』

プラーグ:
  『どうして? どうしてなの??』

するとたかひろ君は消えた

あれは幻だったのか・・・

それからまたプラーグは眠りに付いた








『聞こえますか?? 聞こえますか??』

誰かが私を呼んでいる

でも目が開かない

ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、・・・・・

力なく目を開けてみた

『先生呼んで来て!!』

その視界の先に看護士さんが見える

どうもここは病院らしい

すると先生らしき方がいらした

先生:
  『プラーグさん、分かりますか??

  ここは病院ですよ!!』

プラーグ:
  『・・・何が、・・・起こったのですか。。。』

力無い声で聞いた

先生:
  『あともう少し遅かったら、貴女死んでたよ!!

急性脳炎 起こってたよ!!』

しんどいながらもお話しを伺うと

右首のリンパが腫れたことから

そこから菌が直接脳に感染したらしい

確かにこの数日、右首のリンパが少し腫れ、高熱に嘔吐を繰り返し

眠くて眠くて仕方がなかった

それで朝と夜に点滴を射ちに病院へ行っていた

しかし数日もすれば治ると思い、バイト三昧だった

先生:
  『よくこんなになるまで我慢出来たね

  関心するよ(--;

  外来通ってたの??

  何でその時の医師がこの症状に気がつかなかったかなあ??』







憤る先生の声が段々ぼやけてきた

強い眠気に襲われた

再度薄れる意識の中、たかひろ君の事を思い出した

プラーグが6歳の幼稚園の夏休み

たかひろ君はお星様になった

眠っている時にその小さな心臓が止まったらしいのだ

朝方実家に電話が入り

その数日後、たかひろ君の家へ行く事となった

幼稚園のお友達や先生がみんな来ていた

泣いているたかひろ君のお父さんやお母さん

おじいちゃんやおばあちゃん

そして大人達・・・

その時、何が起こったのか

友達もプラーグもよく分からなかった

たかひろ君:
  『プラーグちゃん、来ちゃ駄目だよ!!

  こっちに来ちゃ駄目だよ!!』

もしあのままたかひろ君を追って海に入ってたら

先生が言った通り、私は死んでたのかなあ・・・

たかひろ君は、それを止めてくれたのかも

そう、ふと思った







こうして数週間の入院治療生活が始まった

思えばこの時から、右首に爆弾を抱えることとなった

幸いにも脳に損傷は無かった

脳炎は死亡率の高い病気で

生存しても麻痺やその他後遺症が残る可能性の高い病気であった

倒れた時に友達が救急車を呼んでくれ

その後私の部屋に戻り着替えやその他持ってきてくれたらしい

そして、近所のラーメン屋さんのおじさんに連絡してくれた

ここのおじさん、プラーグの住んでいた界隈では

学生さんや出稼ぎに来ている外国人さん達の

父的存在の人だった

朝5時までやっているそのラーメン屋さんに

プラーグもよく通ったものだ

倒れた日が土曜日だったこともあり

マンションの管理部も大学の事務も全てお休み

だからうちの実家の連絡先を調べようがなかったため

友達はおじさんに連絡してくれた

おじさん:
  『自分(プラーグ)、働きすぎや(笑) ちょっとゆっくりしとき(^^ゞ』

せっかくお見舞いに来てくれたのに

プラーグは意識がぼやけていて殆ど喋れなかった

でもおじさんはうちの実家の事情も分かっていたので

プラーグがまだ意識がない時に自らの申し出で保証人になって下さっていた

お礼を言っても言っても言いようがなかった







1週間後にICUを出て、一般病棟に移った

すると、ほんの2日でプラーグの居たお部屋は

沢山の花で埋め尽くされた

看護士:
  『すみません、これ、何とか出来ないですか?』

嫌そうに聞いてくる看護士さん

全部お店のお客さんからだった

置き場の無いくらい沢山の花束とお見舞いを頂いた

それで婦長さんにお願いし、病棟の職員さんで

全て貰って頂くことにした

実はこの時のお見舞金のお陰で

入院費は元より、後期の授業料に相当する金額を頂いた

ありがたい事であった

そして毎日のようにお見舞いに来てくれる友達・・・

意識がはっきりしだしてから日記や絵を描いたりしていたのだけど

その時の日記を読むと毎日最低でも4人はお見舞いに来てくれてた






面会時間ぎりぎりまで居てくれる友達

しかし帰ってしまうとプラーグは何とも言えない寂しさに駆られていた

リクさんどうしてるかな・・・

リクさんに会いたい・・・

消灯時間ぎりぎりに、テレフォンカードを持って

何度も公衆電話に向かった

でも掛ける勇気がなかった

そして約1ヶ月の入院生活を経て、プラーグは退院した






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≪続く≫


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