リッチ物語


モンスターの領域を統べる(すべる)ダイナ王が、ある日 領地の見回りに、伴も連れずに歩いていました。 
目的は、最近、最愛の王女を悩ませている ある人物についての調査。 
王女は、この頃食欲もなく 元気も無くなってきていて、王様は、心配でたまらないのです。 それとなく探ってみた所、原因は 恋わずらい・・・ 

 そこで王様は、伴を連れずに その相手に会いに行こうとしたのです。 行き先は、ピラミッド! そう! 相手は あのリッチだったのです。 
王様は、何かと有名なリッチの名前は知っていたものの 実際に会った事は無かったので、どんな人物なのか、可愛い王女に合うのか 自分の目で 確かめたかったのでした。
目的のピラミッドまでは遠いものの 順調に距離を稼ぐことができ、夕暮れ前には着く事ができそうでした。 
しかし、伴を連れずに出かけた王様の命を狙う者が居るのを 王様は知りませんでした・・・ 

 後 もう少しで目的地に着くという安堵感で ほっと息をついた時に いきなり背後から攻撃され、犯人を確認する前に 事切れてしまったのです。 
ピラミッドの見張りに立っていた者の知らせで リッチが駆けつけた時には、王様はもう、冷たくなっていました。 
リッチは、急いで仲間を集め、犯人探しと 王様の遺体を城に運ぶ事を頼みました。 もちろん、自分は、王様の遺体の護送に付いて行くつもりです。 
リッチも 少なからず王女が好きだったので 自分が少しでも役に立てれば・・・と思ったのです。 

 城では、王様の死を知って 大騒ぎになってました。 
女王も王子も そして王女も 信じられない報告に 呆然としています。 
リッチは、自分が知ってることを すべて話すと 女王は 労い、部屋で休むようにと声をかけました。 でも、リッチは、仲間に犯人探しを頼んでいるから 自分だけ休む訳にも行かず、早々に城を出て行ってしまいました。 
王女は、せっかく来てくれたのに 声も掛けてくれなかったリッチを少しだけ恨みました。 「こんなに 悲しんでるのに なんで気にも留めずに行ってしまうの?」と。
リッチはリッチで、一日も早く 犯人を捕まえる事が 王女の為だと思い、後ろ髪を引かれる思いで 城を出たのですが、そんなことは 王女様は知りません。 
もう、どうでも良くなってしまい、城を出ることにしたのです。 まだ、王様の葬式も済んで無いというのに・・・

 葬式の朝、王女を起こしに来た 召使の報告で、王女の家出がわかりました。 
しかし、探そうにも 今日は王様の葬式。 まずは、それを終らせなければなりません。 そして、王女の行方を追えるようになったのは、その日の晩になってからでした。 

 王様の命を奪った者が居るということは、いつ城が襲われるかも知れないということです。 王女の探索に あまり人手を割く事はできません。 
将軍のデスタークは、自分から王女の探索を希望してきたのですが、城の守りを固めておかなければならない状況では、それは聞き入れられませんでした。 そこで、城の半分を守りに就かせ 残りの半分で王女を探すことにして、デスタークは それぞれの兵に声をかけました。
「何よりも大事なのは、王女の命! 何としてもお探しいたせ!」  その声に見送られて、城の兵士達は出かけていきましたが、何日経っても 王女を見つけたという報告も、犯人を見つけたという情報も入ってこず、女王は、日に日に衰弱していくようでした。 

 見かねた王子は、母親を誘い、王女の部屋に行ってみました。 部屋の中は、王女が居た時のままで 幸せだったころの王様一家の肖像画や 王女が作っていたレース編みなどが置かれていて、王子も女王も 少しの間だけでも 幸せな気分になれました。


・・・・月日は流れ・・・王様が亡くなり、王女が家出をしてから かなりの年月が過ぎましたが、未だに 王女も犯人も見つかりません。 城が攻められるのではないかと、当初は心配されましたが、一度も攻められる事も無いまま 時間だけが過ぎて行き、王女の探索に行く事ができなかったデスタークは 後悔の日々を送っています。 リッチは、今でも 何とか犯人を捕まえようと努力をしているようですが、なかなか成果は上がらないようです。 一体、犯人は 誰だったのでしょう? 陰謀とは関係が無かったようですし、誰にもわからない事なのかも知れませんね。


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