続・リッチ物語


私は、リッチ・・・ ダイナ王が亡くなった時には若かった私も 今では妻も子供も居る。

 ピラミッドの一応支配者であるが、今も暇を見つけては、犯人探しを続けている。 これは、義理立てではなく 私個人の問題になってしまったのだ・・・

 子供はもう大きくなって 私よりも強くなり、ここを出て行ってしまったが、今住んでいる所の情報と一緒に 探索の結果も知らせてくれる。 有り難いことだ・・・


 ある日、旧知の友であるゴブリンキングからの呼び出しを受けた。 あわてて行ってみると 予期しない出来事が待っていた。
ゴブリン一族の中でも とりわけ頭が悪かった「ゴブリンペット」が亡くなり、みんなでその寝床を整理していた時に あるものが出てきたらしい。 みんなで 頭を寄せ合い考えたものの それが何なのか分からなかったと言う。 キングも最初は気にも留めなかったようだが、それを見せられて「ひょっとして・・・」と思ったようだ。
それで、確認のために私が呼ばれたのだそうだ。

 早速、問題の「それ」を見せてもらうと 「それ」はお守りだった・・・ 隅の方に血がしみこんでいるが 立派なお守りだ。
周りのゴブリンたちに 話を聞いてみる。 ゴブリンは、頭が鈍いので聞きたい事を理解させるのも昔のことを思い出させるのにも時間は掛かったが、最後には 聞きたい事をすべて聞きだすことができた。 
それによると 王様が暗殺された時に ゴブリンペットは用事があって ピラミッドの近くに来てたらしいこと。 そして、真っ青な顔で自分の寝床に入ると ごそごそしてて そのまましばらく 出てこなかったこと・・・  キングは、ゴブリンペットが犯人じゃないかと疑って 落ち着かないようだったが
「あいつが 王様を殺すわけがねぇ! 頭は悪いが、王様を殺すほどバカじゃねぇしな!」
と自分に言い聞かせるように つぶやいた。
私は、ちゃんと調査することを約束して帰ることにした。

それから3日。  ようやく真犯人を探り当てた。
犯人は、 スネークマン・・・  ゴブリンペットが持っていたお守りが決め手だった。
王様を殺してしまって あわてて逃げる時に お守りを落としたのだ。
殺した理由は、簡単にいうと 逆恨み! 
自分の兄が 城で取り立ててもらってるのに 自分は取り立ててもらえないどころか、兵士にさえなれないことに不満を持ってたのだそうだ。 スネークマンは捕まり、城の兵士に連行されて行った。

・・・ そんな事は、もうどうでもいい!  これで 晴れて報告にいける・・・

 実は、私は 家出していた王女と再会して、結婚していたのだ。 が、王を殺した犯人も捕まえられず 王女の行方も捜せないで居た私には、王女を見つけたので一緒にさせて欲しいとは 断じて言えなかった。 プライドの問題である・・・
しかし、これで大きな顔をして 胸を張って報告に行ける。 
報告が済んで 許しをもらったら 次の休みには 妻と息子を連れてダイナ城へ行こう・・・


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