日々のあぶく?

日々のあぶく?

April 29, 2006
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隕石が落ちるため、地球が滅亡すると予言されてから五年後、
地球滅亡まであと三年という設定。
実際はそんな予測は出来ないらしいが、小説として扱う分には良いだろうと伊坂氏。
そのおかげで不思議なファンタジーに仕上がっているともいえる。

なんども"暴動、殺人、自殺などは小休止し、そんなことよりも生き残ろうとする人々が残った"
"だが、それはあくまで小休止で、地球滅亡寸前になればまた、もがき、荒れるだろう"と(定義)している。
確かに、あと三年後に滅亡するにはいい人ばかり、というか、のどか過ぎるかもしれない。
けれども、血の雨が降るような出来事は散々あった。今は小休止。と何度も言われれば、
そういう状況下に、そういうことはあるかもしれない…と不思議と受け入れてしまう。
伊坂マジックか!?

韻を踏んだ章タイトルがお洒落。
()内の数字は年齢。

終末のフール・
仙台北部にある「ヒルズタウン」。405号室に住む香取夫婦の話。
多くの人は少しでも安全な場所を求め(だが、その情報はデマが多く、混乱も起こった)、
また、離れ離れだった家族が集まったりし、このマンションに残る住民は数えるほどだ。
出来の良い長女・康子と自分の短所を集めたような長男・和也。
2人を比べていたこと、兄の良さを見ないと非難し、康子は家を出た。
その後、和也は自殺した。そんな出来事があったのは十年前。
彼の葬式以降、音沙汰なかった康子が大事な話があると久々に帰郷すると妻・静江は言う。
不器用な対応しか返せず、彼女が来るのをぎこちなく待つ父親は―

:ビデオ屋店長・渡部(27)501号室 妻、子、頑強な父親(古希過ぎ)がいる

太陽のシール・
母親も、自らも認める優柔不断な男・桜庭富士夫(34)にとって、選択できることはむしろ辛いことだ。
あと三年しかない時に妻・美咲(36)の妊娠が発覚。
「どうしよう?」
富士夫の決断はいかに!?

:土屋・高校の同級生。草サッカー仲間に。妻と先天性で進行性のある病気を持つ息子・リキがいて、三年後に地球自体がなくなれば息子を残して(老いて)死ぬ心配がないことを素直に喜んでいる。
:スーパーのキャプテン(店長)・大騒ぎした事態がひとまず沈静化し、銃片手に営業再開したつわもの。美咲が働いている。

さりげないどんでん返しも微笑ましい。

籠城のビール・
妹・暁子が自殺したのはマスコミの、ひいては無責任に報道したニュースキャスター・杉田玄白の責任も重い。
そんな杉田が三年後に一緒に滅びるのはゴメンだと殺しに来た虎一(32)・辰二(30)の兄弟。
妙に落ち着いた杉田と彼の妻と娘。彼らが決意してたこととは?
荒れた治安により、問答無用の射殺許可も出ている警察の手から兄弟は逃げることが出来るのか?

杉田が住むのは509号室。
:渡部・ビデオ屋店長の父親。地球最期の日を見届けようとマンションの屋上に櫓を建てている。

現実にもマスコミの無責任報道、コメントは多い。

冬眠のガール・
四年前に両親が自殺。301号室にひとり住む田口美智(23)。
両親の死後、擬似冬眠のように籠り、読書家だった父の本を次々に読んでいたが、それも達成してしまった。
中学時代の同級生に彼氏の不在を同情された彼女(その時は優越感をもたれたと気付かないような天然気質の持ち主)は、次にやることを「恋人を見つける」に決めた。
「新しいことをはじめるには3人の人に意見を聞け」と言うビジネス書にそって"尊敬している人""自分には理解できない人""これから新しく出会う人"を訪問することに。

:太田隆太・高校時代の同級生。バスケ部の人気者。尊敬できる人として会いにいくが、母親から子供を助けている所を車に轢かれて死亡(4年前)したことを知らされる。
:小松崎輝男(25、6)・高校時代の家庭教師。理解できない人出は会ったが、アドバイスをくれる。

鋼鉄のウール・
ヒルズタウン6階に住むぼく(16)は"鋼鉄のキックボクサー"苗場さん(30過ぎ)とジムの会長とともにトレーニングを続けている。
ぼくは6年前、小学生の時、友達を虐める上級生・板垣を負かしたいと児嶋ジムに入った。
喧嘩ご法度と知って落胆するが、苗場のように強くなりたいと入門。だが、小惑星衝突のニュースのため、ジム通いは1年程しか続けられなかった。
怯えて閉じこもった父親、なすがママの母親と共に暮らす息苦しさの中、五年ぶりに訪れたジムにはずっとトレーニングを続ける苗場と会長の姿が。
昔気質の苗場は延期されたままの富士岡との戦いに備えて、また、さらに強くなろうとトレーニングを続けていた。

:三島愛・苗場専属カメラマンだったが事故で死亡。だが、それ以後も苗場は専属カメラマンはいると言っていた。
:方舟・「ノアの方舟」と同じように一部の人間は方舟に乗って生き残れるとした新手の宗教団体のようなもの。随所に勧誘員などが出てくる。実際にありそうな光景。

天体のヨール・
妻が亡くなってから5年、大学卒業から20年以上経ったのに、以前の変わらぬ調子で矢部の元に二ノ宮から連絡が入る。
こんなご時世の中、二ノ宮は小惑星を見つけた(新発見)と言う。
彼はみんなが真に受けたからニュースの小惑星は落ちるのでは?などとも言うのだった。

:同じフロアに住む、彼とデートだと言う女性・田口美智だと思われる。

演劇のオール・
10年前、10代後半(女子校生)の頃、「演じることで多くの人生を生きたいと思う」と言ったインド出身の俳優の言葉に影響されて女優を目指し上京したわたし・倫理子は7年前、才能がないと仙台に戻ってきた。
小惑星のニュースが流れたのはその翌年。
某俳優は7年前、自分のことを息子だと信じる末期癌の女性を看取るため引退、田舎に隠居したと言う。
マンションに出戻ったわたしを両親は「いつか誰かを許してあげなさい」と許して迎えてくれた。
そんな両親も3年前、薬を飲んで事故か自殺かわからぬまま他界。
最近、わたしは一軒家に住む早乙女さん(70半ば・3年前、彼女を残して息子夫婦と孫娘は心中)の所では孫のように、
同じマンションに住む亜美ちゃん(2歳年下・両親と兄がいたが、強盗団に襲われ、彼女だけ生き残る)には姉のように、
スーパーの近くの平屋に住む勇也(11・1年前に母親失踪。最近いなくなったタマの行方を心配している)、優希(9)兄妹には母親のように、
同じ3階に住む一郎(5歳年上・龍城事件の時に出会う)とは恋人のように振舞う。
また、廃屋と化した酒屋の脇に繋がれた雑種犬を散歩に連れて行くのも日課となっていた。
それぞれと擬似家族ごっこのような関係を繋ぐ倫理子だったが―

:渡部さん・延滞金が溜まっているビデオが多々あるらしい。
:矢部さん・最近姿を見ないというくだりがある。自殺してしまったからか?

深海のポール・
7年前、20の時に前の店長からビデオ店を引き継いだ渡部と妻が臨月間近という桜庭の会話から始まる(2人は草サッカー仲間でもある)。
渡部修一には妻・華子、娘・未来(6)と2年前に山形から呼び寄せた実父がいる。
妻の両親は小惑星騒動初期に亡くなっている(デパートで将棋倒しに巻き込まれた)
父親の立てている櫓は完成に近づいている。
妻は内緒で1階に住む藤森さんとどこかに行っているらしい。
小惑星衝突のニュースにも怯えない父が怖かったのは亡き母・政子(渡部が高校生の頃他界)が変な会合に参加したときだという。
連れ戻しに行き、それ以後、参加しなかった母はその翌年交通事故で他界した。

:倫理子(28?・渡部の1つ上)・延滞リストの中から同級生・蔦原を見つけ出す。
:蔦原耕一・気難しい警察官を父に持ち、学生時代、家庭内暴力などで話題になっていたと言う。ビデオは10年前から延滞のまま。

生き残るとは、ジタバタして、足掻いて、もがいて、そういうものだと思う。という華子の台詞が響く。

6階に住むのは桜庭夫婦。
5階には渡部一家。
3階で優男といるのは田口美智かと思ったが、最近渡部と顔をよく合わすということから倫理子と一郎か?。
4階には香取夫婦。(娘が帰ってきたらしい)





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Last updated  May 5, 2006 05:07:45 PM


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