山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2012.05.01
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テーマ: 山歩き(472)
カテゴリ: 山歩き

  前回の達居森のコースは起伏の緩やかな遊歩道歩きだったので、今回は極端なトンガリ山であるオボコンベ山に登ってみたいと思ったのである。オボコンベ山は、非常に鋭いが極端に狭い頂上を持ち、三角点もないため、地図上には等高線が描かれているだけで、頂上の位置も山名も記されていない。
  オボコンベ山は、名取川畔にある神ヶ根(かんかね)温泉の上流で右岸から合わさる支流「本砂金(もといさご)川」のずっと上流の左岸に登山口を持つ。本砂金川は、本流に雪代の多い時期のヤマメ釣りが良いそうである(私は雪代期にはほとんどヤマメ釣りをしないので、自分で確かめた情報ではない)。

  仙台からは、国道256号を西進して、途中で秋保温泉への道に右折し、温泉を過ぎてから長袋地区を川崎町に抜ける道に左折する。もうひとつのルートとして、作並温泉に向かう国道48号を西進して白沢地区から長袋に入り、一旦仙台方向に戻って右折して川崎町への道に入っても良い。
  道は名取川の竹ノ内橋を通り、二つほど丘陵を越えると本砂金地区の集落に出る。長袋地区から5.8kmくらいである。集落が終わるころ、本砂子川の手前で「栃原』地区への案内がある道に右折する。そこから3.4kmくらいを本砂金川に沿って入ると左手に登山口の案内が見えてくる。舗装は途中までである。

  「おぼこんべ山登山口」標の前、6:05の出発である。道はすぐ本砂金川に降り、やや上手を渡渉し、右岸から流れ込む支沢沿い(ときどき沢中)をたどる。歩き出すとすぐに、倒れかかっている杉が多いことに気づく。まもなく、じつに多くの杉や雑木が倒れている場所に、次々出くわすようになるのであった。谷が狭いところでは、倒木で谷が埋まっている感じである。

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          崖の部分崩落と沢を埋める倒木。 (2012/4/24 6:18)

  倒木はずっと続いている。冬の積雪のせいだと思われる。今年は本当に雪が多くて、仙台市内を流れる広瀬川も例年よりずっと多い雪代を流しているので、私の今年のヤマメ釣りはまだ始まっていない。
  おそらく、3・11大地震で地盤が弛んだうえの大量の雪で、崩落と倒木が重なってしまったのではないか、と思う。谷が広くなっているところでは、相当に伸びた杉の先が対岸まで届いており、倒木があれば、とにかくまともに歩くことができないのである。

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     杉の倒木で沢が見えない。 (2012/4/24 6:25)

  ほぼ一年のブランクと老化による体力低下を、なんとか低山歩きで回復しようとしてきたが、それは所詮、足と心肺機能をほんの少しばかり鍛えただけで、倒木のよじ登り、跨ぎ越え、あるいはくぐり抜けと、思わぬ全身運動で本当にバテバテになってしまった。
  沢から尾根への取り付きまで50分ほどを要したが、そこからの急斜面を、あえぎあえぎ、休み休み何とか這い上がったものの、オボコンベ山の西に隣接する桐の目山に寄り道する計画はあっさりと放棄である。

  まっすぐオボコンベ山への尾根を辿る。オボコンベの頂上とその手前のマンモス岩の鋭く尖った姿がしだいに大きく見えてくる。道はだんだん狭くなり、連れの目線より高い起伏があると、前に進まなくなる。連れにしてみれば、その障碍の向こうは空中で、ちゃんとした地面があると信じられないようなのである。この犬は、林の中を歩いても見通しが良ければ先導し、道が曲がりくねったり、薮だったりして見通しが悪いときには私のあとに付き従うのである。私は連れの仕事のひとつを熊よけだと思っているが、連れは連れで私を熊よけにするのだ。 

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                オボコンベ山頂上、右はマンモス岩。(2012/4/24 7:46)

  マンモス岩にはアーチがあって、その中から覗く景色はじつに楽しい。アーチの写真を撮ろうと思っても、立ち位置の左右は崖で身動きができない。広角レンズなどないちゃちなデジカメしか持たない私は、なかなか良い写真は撮れないのある。下の写真は、7枚の写真を「Adobe Photoshop]で合成したものである。適当な感じで映したら端っこが欠けてしまった。

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              マンモス岩のアーチ。 (2012/4/24 7:52)

  マンモス岩を過ぎれば、短い急斜面をよじ登ってすぐに頂上である。頂上もまた狭い。トンガリ頂上だけあって、眺望は抜群である。蔵王連山、南と北の雁戸山、山形神室と仙台神室、大東岳が真っ白な残雪を載せて輝いている。すぐ目の前には、あっさりと諦めた桐の目山が見える。

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            オボコンベ山頂で記念写真。 (2012/4/24 8:04)

  眺望をしばし楽しんでから、朝食である。最近の山(川の場合もだが)の弁当は、お決まりというか、定番というか、つまりワンパターンなのである。まず豚の生姜焼き、たっぷりの数種の野菜の浅漬け、梅干し1個、柴漬けなどのほんのわずかな漬物2,3種、ゆで卵1個、リンゴまたはオレンジの果物、これで全部である。ワンパターンとはいえ、本人がこれが好きで、自分で準備するので問題はないのだが、唯一、連れが生姜焼きに執心するので味付けを薄めにせざるをえないのが難点といえば難点である。

  狭く切り立った頂上というのは、やはり何となく落ち着かない。休憩に飽きてしまった連れが端から端まで探索を始めると、滑り落ちないかと気が気でないこともあって、食事を終えるとすぐに下山である。

  西斜面から登り、下山路は東へ下る道をとる。こちらも頂上直下は急斜面である。途中、急斜面どころか、「ロープ付きの崖」としか思えない個所もある。

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                          登山道? 崖である。 (2012/4/24 8:32)

  4mしか伸びないリードでこの崖を下ると連れを吊り下げることになりそうで、リードを外し、先に下ろしてやる(逆コースの登山者がいないことを祈りながら)。4駆というものはすごいもので、逆さまに駆け下りていくのである。
  大変な道だが、そんなに長いわけではない。あとは雑木と松の混成林のなか、所々杉林の脇、という道は楽は楽だが、とくに快適というわけではない。平凡な道である。途中で旧林道に出て、歩きやすいので少し急ぎ足になったりする。この旧林道から仙台神室岳が杉林の向こうに真っ白な山容が見せる所があって、しばし足を止めた。山というのは、高みからの眺望としての姿と、低い場所から仰ぎ見るように眺める姿とは、受ける感銘が微妙に異なる。前者は美しさが強調され、後者は崇高さが強くなるようだ。

  下山路は、本砂金川に突き当たると左に折れて、しばし右岸を上り、そこで川を渡る。水が苦手な連れは、両足を川に突っ込んでから、雪代でやや多めの水量に逡巡して、私の顔を見つめ、何かを期待しているようだったが、無視して渡渉する。横目で見ていると、いやいや歩き始めたが、半ばあたりから急ぎ足、最後は駈けだした。駆け出さなければそんなに濡れないのに、ずぶ濡れである。

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               本砂金川を渡渉する。 (2012/4/24 9:34)

渡渉点は、登山口駐車場から700mほど下流になっている。キブシ(十五倍子)の花などの写真を撮りながら(キブシくらいしか花はなかったのである)、林道をのんびりと戻り、車のところには9:50着であった。






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Last updated  2012.06.11 14:01:21
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