山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2013.01.23
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テーマ: 街歩き(692)
カテゴリ: 街歩き

(「その1」からの続き)

 戸越銀座は後回しということで、左折して戸越公園に向かう。途中、地図にある「西教寺」を探したが見過ごすところだった。私にはやや大きな民家にしか見えなかったのである。西教寺前を過ぎて左折、直進すれば戸越公園である。公園の入口には、立派な武家屋敷の門が残されている。熊本藩主細川家の下屋敷跡だという。

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       Photo F  戸越公園内。(2013/1/23 11:37)

  戸越公園は真ん中に池のある日本庭園風の美しい公園(Photo F )で、そのせいか、園内には「この場所には犬を入れるな」式の掲示がたくさんあって、あげくの果てに犬が入っていい箇所を記した立派なマップまで掲示されていた。犬がらみの事故かなにかがあって、こんなに神経質に規制しているらしいと推測されたのだが、犬好きには何となく居心地が悪いのだった。

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      Photo G  全部がオナガガモ。(2013/1/23 11:41)

 公園内の池には水鳥がたくさんいる。近寄ってみると、すべて雌雄のオナガガモばかりなのだ(Photo G )。冬鳥として渡ってくる鴨なのだが、人慣れしていると見えて、目の前を悠々と泳いでいる。私の自宅の前を広瀬川が流れていて、この時期にはオナガガモもいるのだが、こんな近くで見ることはとてもできない。
  池の水はとてもきれいで、鴨が潜って水底の何かを啄む姿がよく見える。都会の池でこんなに水のきれいなところを私は見た記憶がない。ただ、あまり水が澄んでいると、餌の量は大丈夫なのだろうかと、いらぬ心配をしてしまう。

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    Photo H  造園工事中の「文庫の森」。(2013/1/23 11:47)

  戸越公園を出て、国文学研究資料館を回るようにして戸越銀座に向かうことにする。資料館前の広い庭地は、「文庫の森」の全面的な造園工事で入ることができない(Photo H )。戸越公園のすぐ脇にもう一つ立派な公園ができるのだ。それはそれで結構なことだと思うが、吉本隆明がこんなことを書いているのを思い出した。

この余儀ない子供たちの〔街路や入り組んだ露路からなる子供たちのメタフィジカルな〈公園〉からの〕後退に呼応するように、都市公園は、いくらかの罪亡ぼしの意味もふくめて〈新たな部分〉をつけくわえた。この〈新たな部分〉は、極彩色に塗られたコンクリート製の築山であったり、円筒形の飛び石であったり、動物の模像であったり、セメントの樽でつくったような太鼓橋であったりする。ときには、貝殻やかたつむりのような形をしたコンクリート製の宇宙船である。つまり都市組織工学に結びつけられた建築設計家たちは、超モダンでちゃちな〈枯山水〉を、〈公園〉のなかにしつらえて子供たちに提供しはじめたのである。しかし子供たちが欲しいのはコンクリートつくりの極彩色の〈枯山水〉ではなくて、街路と入りくんだ露路とから成立っている〈街衢〉そのものの占有である。

  下町の路地裏が子どもたちの遊び場であり、世界であるということを、深川あたりの下町で幼年期をすごした思想家が語ると「〈街衢〉そのものの占有」などという表現になるのだ。最近はとくに、かつての原子力発電所をめぐる吉本隆明の言説に大いに不満を持っているのだが、何をどう語っていても、私は吉本隆明の文体がずっと今でも好きなのである。

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       Photo I  戸越銀座に向かう道。(2013/1/23 11:57)

  国文学研究資料館の西脇の道を北上すると、そこにも地図にない神社があった。戸越八幡神社である。境内に立派な石碑があって「戸越」の地名の由来が記されていた。『八幡宮出現由来記』に「江戸越えて清水の上の成就庵ねがいの糸のとけぬ日はなし」という和歌があって、江戸を越える村という意味で「トゴエ」と呼ばれていたことがその由来ということだ。

  八幡神社から少し東に歩いてから、戸越銀座に出る路地に入る(Photo I )。1月だというのに、左手に壁には蔦が這い、緑の木々に囲まれた民家がある。こと植物に関しては、仙台とは大違いである。東京の街歩きをするようになって、今日のように冬日に歩くことも何度かあった。そんなとき、自宅では鉢植えにして冬には温室(無加温だが)に取りこんでいる花木が、東京では庭に植えられている。それを見て、仙台といえども軒下だったら外でも耐えられるのではないかと試してみて、大きく育てた花木を3鉢ほど枯らしてしまったのだった。

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左:Photo J  戸越銀座(眼鏡屋、カメラ屋、電気屋さんのある角)。(2013/1/23 12:00)
右:Photo K  戸越銀座(第2京浜の交叉点)。(2013/1/23 12:08)

  さて、戸越銀座である。テレビなどで何度か見たり聴いたりした商店街である。通りに出てすぐ「鹿児島らーめん」の看板がある。そろそろ昼食にしても良い時間だが、仙台から東京に出て来て、昼食が鹿児島ラーメンというのはなんとなくしっくり来ないので通りすぎる。
  いろんな店が並ぶ商店街だが、基本的に地元の住人のための商店街なので、旅人とも観光客とも言い難い中途半端な私のような人間には用事のある商店というものはない。店としては、せいぜい、昼食をとるところを探すくらいである。

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     Photo L  典型的な商店街、戸越銀座。(2013/1/23 12:03)

  長い商店街である。第2京浜を越えると東急池上線の踏切がある。踏切を過ぎて少し歩けば、何となく商店が少なくなって、戸越銀座歩きもおしまいという気分になる。
最後に昼食をとることにして、「けんちん蕎麦」を食べた。残念ながら、具とだし汁に関していえば、私が作るけんちん蕎麦の方がおいしい。ただし、自宅ではおいしい蕎麦そのものを入手できない。かといって、蕎麦の手打ちまで手を広げるような自殺行為はしたくないのである。

map-tgs街歩きMap 地図のベースは、「プロアトラスSV4」、歩行軌跡は、 「GARMIN GPSMAP60CSx」によるGPSトラックデータによる。

[1] 「池澤夏樹詩集成」(書肆山田 1996年)p.73。
[2] 赤坂憲雄、小熊英二(編著)『辺境から始まる 東京/東北論』(明石書店、2012年)
[3] 吉本隆明「修景の論理」『情況』(河出書房新社、昭和45年)p.129-130。






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Last updated  2013.01.26 17:24:36
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