心のままに~星に願いを~

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ケーキの魔法使い5


誠の店に少しずつお客さんがやってくるようになりました。

「あの、クローバーのケーキありますか?」
「えっと、全部クローバーのケーキですけど?」
「あ、そうじゃなくて、クローバーの形のケーキ・・・」
「あ、ああ、ちょっとお待ちいただけますか?今すぐ作りますので・・・」

こんな調子で来る人、来る人、あのクローバーのケーキを欲しがるようになり、とうとう、商品として置くことになりました。
それに伴って、他のケーキも少しずつ売れるようになってきました。

(何か、夢見てるみたいだな。お客さんが来てくれるなんて・・・。でも何で急にお客さんが来るようになったんだろう?)
誠は不思議に思っていました。
あの日以来、まだ舞ちゃんもあの女性も来ていませんでした。

”カランコロン”
お店の扉が開きました。

「こんにちは」
そこにはあの女性が立っていました。
「ご報告が遅くなっちゃって・・・」
本当に申し訳なさそうに、女性は言いました。
「あ、別に気にしないで下さい。それに結果聞く前に商品化しちゃいましたから♪」
「あ、それなら良かったです。すごく美味しくて、ほんと幸せになれるケーキだなあって思ったから」
女性は誠を見てから、ショーウィンドウの中のケーキを見て嬉しそうに、そう言いました。
「はは、ありがとうございます」
誠も思わず微笑んでいました。
「私の方こそ謝らなきゃ・・・」
「え?」
誠が不思議に思い聞き返すと、
「私、あんまりにも美味しくて、幸せな気分になれたからみんなに教えたくなって。あ、実は私、タウン情報のミニコミ誌で小さな記事を
書いてるんです。お店の紹介とか色々。そこでつい書いちゃったんです。”幸せになれる四葉のクローバーのケーキがある”って・・・」
(あ~、それでかあ・・・)
誠はやっと納得が行きました。だから、来る人来る人、あのケーキを注文したのかと・・・。
「いや、だったらこっちこそ、お礼言わなきゃ。あ、でも、俺、広告料とか払えるほど、お金無いし・・・」
「そんな、私が勝手に載せちゃったんですし、お金なんて頂けないです。それに、そんなにお役に立ってない
でしょうし・・・」
「そんなこと全然無いですよ。お客さんが来るようになったのはその記事のおかげです!!せっかく記事にまでしてくれたんだから、
あとはお客さんをしっかり掴んどく為に、俺が頑張るだけですね」
誠は軽くウィンクしながら、明るくそう言いました。
「やっぱり、素敵ですね・・・」
女性は小さな声で呟きました。
「え?」
誠は、思わず聞き返しました。
「あ、何でもないです・・・あの、今日はもう1人、お客さんを連れてきたんです」
そういうと、女性はお店のドアを開けました。


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