宇宙一暇人ブログ

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第一章 後編



国境付近には無線を通した叫び声が飛び交っていた。クライク共和国の旗をつけた戦闘機は驚異的な技術で爆弾をエストバキアの車両に直撃させていく。

少しずつエストバキアの部隊も逃げていっているようだ。

「やつらが逃げてくぜ!」

ウィリアムがコクピットで他の機の呼びかける。隊長機もそれに気づき反転して基地の方向に機首を向けた。

「あとは地上部隊でなんとかなるだろう。そろそろ燃料も少なくなってきたしな」

地上の兵士が歓喜の声を上げる中、傭兵たちは自らの巣の向って飛んで行った。

「こちら管制塔。着陸を許可する」

ジェイセン基地の滑走路が賑やかになるのは久しぶりのことだった。今までほとんど偵察のための飛行ばかりだったからだ。

サイファーもF-5Eのエンジンを切り、狭いコクピットから出た。駆け寄ってきた整備員が満面の笑みを浮かべている。

「車両8台はやったな。ガンカメラの戦果を提出しないとならんからはずしてくれるか?」

サイファーは整備員に行ってハンガーから外に出た。

基地の管制塔の向こう側には太陽が顔を出し始めていた。

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朝焼けに照らされるクライク共和国首都コルトに一番近い位置のホートマン空軍基地にサイレンが鳴り響いた。スクランブル用の機体が駐機しているアラートハンガーからF-16が出てくる。

「国境付近を超えて来たエストバキアの戦闘機部隊が首都にまで来てる。迎撃して追い払ってくれ」

管制塔からの支持を受けたF-16のパイロットたちが次々と来るエストバキアの戦闘機をレーダーで確認する。情報によるとエストバキアの最新鋭戦闘機であるSu-27からSu-30が来ているようだった。

「気を抜くなよ!なんとしてもここを守り切るんだ!」

先導機のパイロットが後続のパイロットの無線で話す。次の瞬間、レーダーに大量の機影が映った。

「管制塔!敵機の数は30機を超えている!」

「こちら管制塔!敵の地上部隊もかなりの勢いで迫ってきてる!一部の部隊をそっちに回す!」

「別の基地からも増援を!」

国境付近の戦闘で勝利を得たと思ったとたんこれだ。無線の飛び交う中、ついにクライクのF-16とエストバキアのSu-27との戦闘が始まった。

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「早く来てくれ!」

「無理だ!この基地は先日の戦闘で弾薬をほとんど使いきったんだ、残っているのは最低限の防空用のミサイルと機関砲弾だけだ!」

ジェイセン基地にもコルトからの通信がはいっている。

しかし実際今のジェイセン基地にはなんとかこの基地を守るための装備しか入ってきておらず、整備もままならない状態だった。

「サイファー、まずそうだぜ・・・こりゃ首都はもうだめかもしれん・・・」

「一時の勝利に酔ってこのザマとはな・・・本当にどうしようもない」

宿舎の休憩室でウィリアムとカイルがサイファーに話す。数で攻めてきたエストバキアに対し、こちらは予算削減の中精一杯の装備で固めた首都防衛部隊。差は歴然だった。

「俺たちにはどうしようもない。最低限の被害で済んで反撃のチャンスが来るのを待つだけだ。」

サイファーのあっさりとした返事にウィリアムとカイルは黙ってしまった。

「だめだ、首都が落ちたらしい。今こっちに入ってきた」

情報を探るために通信室へ行っていた整備員が走ってきて伝えた。

「これからが大変だな・・・」

サイファーはコーヒーを一口飲んで一人つぶやいた。


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