けいのへや

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ブギーポップは笑わない


『ブギーポップは笑わない』

著:上遠野浩平
出版:電撃文庫

1998年、電撃文庫史上最高の売り上げを記録し、アニメ化、漫画化、さらには実写映画化までされた、セカイ系SFストーリー。
現在も電撃文庫で最も発行部数の高い作品として伝説化している作品です。

「世界の敵」と戦うために、少女から浮かび上がる人格「ブギーポップ」と、さまざまな思いを持ちながら生きていく少年少女の物語を広い視点から描く作品。
ブギーポップ、すなわち「不思議な泡」とは、周囲の異変を察知して自然に浮かび上がってくる性質から、ブギーポップが自身を称するときに使う名前。

1巻はさまざまな登場人物の視点からひとつの物語を完成させるというスタイルで、構成、表現は合格かな。これだけ多くのキャラクターを抱えておきながら、うまいことシナリオをまとめあげたこと、説明不足と感じさせられたところがきちんと伏線になっていたことは相当なレベルの高さを感じさせます。
シナリオそのものはありふれてるとまでは行かないまでも、まぁそういう話ね、と済ませることが出来るようなものなのですが、それを桁違いのレベルで仕上げていることが感動。

何より群を抜いているのはキャラクターの心理描写ですかね。どの人物も高校生らしさが描かれて感傷にひたらせられるものがありました。心理描写に関しては素晴らしいものがありました。

また、この作品は続編が大量にあるのですが、私的に話題に取り上げたいのはこちらですね。どれも作者らしさのあふれる良作といって問題はありません。
が、問題なのは数が多すぎることと、関連性がきちんとしすぎていることと、だんだん微妙なものが増えてきていること。
微妙なものは人によりけりでしょうが、どうにも1巻のような素晴らしさを保ち続けるには限界があるのか、中途半端なシナリオ展開や描写で終わる作品なども個人的には見受けられました。
数に関しては関連性と絡んで厄介な問題となります。ひとつひとつの作品が丁寧にリンクしていて、下手に主要な人物や出来事を忘れると思い出すのに10冊ほどまた読み直し、などということがざらにあります。私も新刊出るたびに全部読み直したりしましたし(まぁ好きだったので趣味半分で読みなおすこともありますが、読んでおかないとわからないときとかもあるので)。

あと、文章がたまに拙いことも。誤字とか不気味な表現とかもたまにありますし、そこは気になる人は気になるのかなぁ……私は余り気にしませんが。

ちなみに、この作家さん、あとがきがとっても面白いです。全巻読みたくなくてもあとがきは制覇するといいかも。


全体的にはいまだ不安定な作家さんであり、不安定な作品であると言えるかも知れません。
とはいえ少なくとも1巻は群を抜いた面白さを誇っているといえますので、ぜひぜひ。おすすめです。





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