ken tsurezure

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trainspotting freak

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2007.12.07
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カテゴリ: 読んだ本
 セックスピストルズが現れて現在の日本の現状を社会批評してみた。
 もし一言でこの本を要約しろといわれたら僕はそう答える。
 この本は2007年の初頭に『世界』という雑誌に掲載された『丸山眞男をひっぱたきたい  31歳。フリーター。希望は、戦争』という論説文を中心して、もともと左派的心情を持っていた著者がなぜこの文章を書くに至ったか。そしてこうした文章を書くまで追い詰められてしまったのかを彼なりの方法で纏め上げたものである。

 若年雇用が大変で非正規雇用に未来がないのはわかっている。でもそれで「戦争」とは何だ。けしからん考えだ。
 そういう批判は多いし、揚げ足取りをすればいくらでも出来るだろうと思う。しかし彼の主張をとりあえず聞いて欲しい。そしてそうした状況に放り込まれた「ロストジェネレーション」の無念の声を想像して欲しい。

 この本は警告でもある。少なくとも僕は彼の戦争待望論に反対ではあるが、しかし彼のその主張を正面で切り捨てることはできない。なぜなら彼が言っていることが、僕にはよく理解できるからだ。同じ時代の空気を吸った人間として、彼がその結論にたどり着いたことを責めることができない。ある部分で共感せざるを得ない。そう思うからだ。

 それはある意味で危険なことでもある。僕くらいの年代の人間はこうした煽動に載せられてしまう可能性がある。そして、それは何かが起きてめちゃくちゃになればいいという曖昧な破滅願望を僕ら自身でかもし出しつつあるということでもあるから。

 だから「平和」を望む人々は「丸山眞男をひっぱたきたい」という著者の煽動に対して、彼を心から納得させる「平和」論とそしてそのための政策を実行に移さなければならない。その猶予期間はあと5年だ。なぜならその頃、「ロストジェネレーション」の先行世代が四十代を迎える。そのときもまだその答えが出せなかったとき。日本の「平和」は危ういと思う。

 若年雇用問題を初めて指摘したまだニート言説を発表していなかった玄田有史氏は2001年に既にこう書き記していた。
 「働く意欲が希薄になったと決め付け、それに対して大人が矯正に乗り出すならば、若者の潜在的な不満がそのうち爆発する。そして若者の不安を逆手に取って社会に無用な混乱を引き起こす、そんなアジテーターが登場する。それは、私の考えすぎなのだろうか。(仕事の中の曖昧な不安)」
 そんな不安の土壌が今少しずつ実現しつつある。

 セックスピストルズがサッチャー政権を生んだ。そんな説があるらしい。サッチャー政権後の容赦のない改革の後、イギリスの労働者階級はますます追い詰められていった。
 小泉政権後の格差ゲーム日本の場合、次に登場するのは何になるのだろう。



若者を見殺しにする国





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Last updated  2007.12.07 14:25:23
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trainspotting freak@ Re[1]:世界の終わりはそこで待っている(06/19) これはさんへ コメントありがとうござい…
これは@ Re:世界の終わりはそこで待っている(06/19) 世界が終わるといってる女の子を、「狂っ…
trainspotting freak @ Re[1]:ある保守思想家の死 西部氏によせて(03/02) zein8yokさんへ このブログでコメントを…
zein8yok@ Re:ある保守思想家の死 西部氏によせて(03/02) 「西部氏の思想家としての側面は、彼が提…
trainspotting freak @ コメントありがとうございます aiueoさん コメントありがとうございます…

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