ココ の ブログ

頭の痛いココ(その1)

頭の痛いココ(その1)

 何だかココが元気がない。食欲もなく沢山残したままなのだ。病気かしらと身体をさすってやったら気持ち良さそうにジッとしている。ふと気になるのは、以前にココが前足を捻挫した時の事だ。朝、ココの部屋を開けてやったら、何時もならニャアと一声啼いて飛び出して来るのが、椅子の上でうずくまったままだったのだ。不審に想って抱き上げようとしたら大きな悲鳴をあげた。直ぐ戻して調べると、前足の片方を痛そうにかばっているのだった。それで捻挫だと分かったのだが、病院へ連れて行こうとして動かすと嫌がるのでそのままにしておいた。すると翌日には少しビッコをひきながらも歩きだし、庭に出て指定席になっている高野槇の下まで行って終日養生しているのだった。

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 それが三日ほど続いて餌も少しづつ食べるようになった。そして完全に治るまで一週間ほど掛ったが、少しほっそりとスマートになった他は以前と変わりないまで回復した。言わば養生という手で自分で治してしまったのだった。だから別に驚くほどのことでもないと暫く様子を見ることにした。ひょっとして、最近は気候が寒くなったり暑くなったりと天候不順だから、狩りの獲物である小動物が庭に現れず、物足りないのもあるのかも知れない。それとも暇に飽きてしまったのだろうか。餌は残すが、好物のスルメや煮干し雑魚は食べる。時間が経てば前回のように自然に治るだろうと考えるしかない。そう割り切って、朝の日課にしているエアロバイクを漕ぎ始めたのだった。

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 暫く漕いでいると、汗ばんできて脈も速く打ち始めた。これを毎日10分程度続ければ、運動不足が解消されるという。三年ほど前、知人の建築家が肥満対策にやり始めて効果が出たのでボクにも勧めてくれた。当時、ボクは糖尿病と診断され、急きょ、食事制限と何か運動をを始めなければならなくなっていた時期だっただけに早速、そのエアロバイクを買ったのだった。毎日、10分のところを20分漕ぐことにし、やり始めてから調子が良いようである。そもそも糖尿病は運動不足から来る病気だ。風邪と同じで万病の元になる。つまり人間の基本である歩行を毎日基準以上実施しないと老化現象が進む。歩くことで脚の各部の関節や筋肉が反復運動をし血行が良くなるのである。

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 それで身体全体の血液循環が促進され、停滞し蓄積されたエネルギーが消化される。食べ過ぎによるカロリー過多と運動不足で蓄積されたエネルギーは消化されず糖分になって血中に貯まり、それが万病の原因になり免疫力も落ち、糖尿病と診断されるのである。そんな基本的な原理を考えていると、ふとイソップ物語でもないが、ココの頭痛の原因が寓話的な場面として浮かんで来るのだ。太り気味のココは、ひょっとして糖尿病にかかっているのかも知れない。あれだけ美食家でカロリーの高いものばかり好んで食べていれば肥る筈だ。肥れば糖尿病に掛かりやすくなって当然だ。一方、近所を徘徊している野良猫のノラは、何時も腹を減らして近所を徘徊して何か食べ物を探し廻っているから痩せている。

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 ごみ箱を漁ったり、飼い猫の餌をちょろまかして何とか死なずに生きている。だから考えることに余裕がない。絶えず食べ物のことばかり考える。たまに餌をくれる人なんかに出会うと神様のように思えてしまう。その中の一人に教授夫人のテンコさんが居る。テンコさんも猫を飼っているが、その猫はもう年で動けず、肥っているからノラにとっては有難い存在だ。残った餌を盗み食いすることができるのだ。勿論、毎日ではなく週に一度ぐらいだ。テンコさんが野良猫に餌をやりに出るのも週に一度だ。気が向いた時にしか来ないから無い時もある。それが困る。カラスのカン助なぞはゴミ出しの日を覚えていて仲間を引き連れて、あちこち荒らし廻る。ノラはそのおこぼれを頂戴するだけだ。

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 頭の悪いノラは、ゴミ出しの日が何時なのか知らない。行き当たりばったりだ。考えようともしないからカン助に何時も馬鹿にされる。それを遠くから観ているココも馬鹿にしたように見下した眼で見る。それが腹立たしい。腹立たしいが、自治会長をしている飼い主マイケルが何時も家に居るから手も足も出ない。以前に、ココをいじめてやろうと忍び込んだが見つかってしまって、あわや水を引っ掛けられるところだった。それに引き替え、テンコさんは優しい。野良猫にも餌をくれるのだ。ところが、マイケルが「ご近所から苦情が出ています。野良猫に餌をやらないで下さい」と回覧板を廻したという。「あんたも可哀想ネ。自治会長さんが野良猫に餌を与えないで下さいって回覧板を廻したのヨ」と愚痴っていた。(つづく)



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