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グーグル・アース(4)



グーグル・アース(4)

 グーグル・アースで近道を探すだけではなく、かつて旅行した処を見直してみると、意外なことが分かる。というのは地上からでは平面的にしか見えず位置関係がいまいち頭に入らなかった処が、上空から観るから一目瞭然に分かって「何だ、こんな位置関係にあったのか」と判明するからだ。人間は空を飛べないから地上から風景を眺める事しか出来ない。ヘリコプターにでも乗れば話は別だが、その都度、乗って見渡す訳にも行かないし意味もない。鳥になって飛びたい願望は誰にもあるだろうが、山から見下ろすか高い建物から眺めるしか眺望の手段が無いからまどろっこしい。最近ではモバイルのナビゲーションがあるから持っている人は便利だろうが、つい最近までそういうものは無かった。

GoogleEarth南アフリカ・ケープタウン(1)
GoogleEarthによる南アフリカ・ケープウン。

 中学時代に信州霧ケ峰を旅行して遠くの山々の風景をスケッチしていると、遥か彼方に槍ヶ岳が観えて感激した事があった。が、青年時代にその槍ヶ岳に登って、逆に霧ケ峰の方角を眺めたが当然ながら観えず、あの時の感動が別世界の出来事のように想えたのだった。三千m級の高い山の稜線を観るのと背景に溶け込んでしまう高原を観るのとでは観え方が全く違う。だから鳥瞰図にしたカーナビが案外見易いのがよく分かる。山や建物のような凹凸した地図を作成する航空測量の原理は、真上からの航空写真と斜め上からの航空写真とを合成して出来上がる。斜めに写すことで立体感が分かるのである。つまり平面を立体化することで3次元的でリアルに判断でき、人間の脳の構造を上手く利用した方法である。

GoogleEarth軍事飛行場 (1)
GoogleEarthによるアメリカの軍事飛行場。

 それを身体で感じる事ができたのは、学生時代の測量実習だった。平板測量は平面的な事しか結果が出ないが、トランシット測量は平面的な事の他に高低差が分かる測量で、例えば土地の高さなども分かる。実習で大学の敷地の外周を高低差を考慮しながら測量して行くと、京都は北から南に向けて緩やかな斜面になっていて南が低いから大学の広い敷地も高低差が出る。ちなみに京都市内の北の幹線道路・北大路通りの地盤面と南の幹線道路・九条通り際に建つ東寺の五重塔の天辺との差が60mあると小学時分から教えられていたから、それが脳裏にあって大学の敷地の北と南との高低差もそれに比例した高さだろうと考えていた。実際、データ分析してみると確かに比例した高低差がある事が分かったのだった。

GoogleEarth北朝鮮核施設 (1)
GoogleEarthによる北朝鮮核施設 。

 ついでに比叡山の高さを測ってみたところ、矢張り垂直角度と距離の関係から高さが分かった。これは古代エジプト時代から使われて来た手法で、わざわざトランシットという高価な精密測器を使わなくても分かることで原理的には同じことをやっているのだ。ふと、横を見ると、文学部の女子学生が平板測量をやっているのだった。不思議に思って担当教官に訊けば「古墳や遺跡の測量で必要だから」と知り、理系も文系も関係が無いものだと想った。エジプト時代には理系とか文系という区別なぞする事も無かったろうから人間をそういう風に分類して観る考え方のナンセンスを再認識した次第だった。そう言えばボクなんか文学に興味があったし、絵描きにも成りたいと想ったものだ。

GoogleEarth_工事現場(1)
GoogleEarthによる昨年の工事現場。

 ところでカーナビもグーグル・アースも、アメリカのNASAの軍事衛星を民間開放している関係で利用できるのだが、実際はもっと精度が良く、地上の人間が新聞を読んでいるのも分かるそうだ。民間用に開放している分は精度を悪くしてあるから場所によっては粗く、建物どころか道路さえも判別できない場所がある。社会主義国や軍事上主要な場所も同様、グーグル・アースでも分からない処が多い。尤も観光用に開放している処は添付している写真やストリート・ビューもくっきりと観える。ニューヨークや欧米の主要都市などがそうだ。日本もそれに近いが、ストリート・ビューでプライバシーのクレームが出ている関係から映りが悪かったりカットされている場所もある。

Muskoka in Canada
GoogleEarthによる、菅首相が出席したG8サミット、カナダの高級リゾート地ムスコカ(Muskoka)風景。

 そもそも一般公道から観える建物風景をプライバシー規制するのは如何なものかとボクなんか想うのだが、日本のような矮小な住宅敷地では見えなくても良いものまで映ってしまうから観られたくないのだろう。中には下卑た考えから、ボクのホームページに映っている風景写真から邪推して、ボクが書いているホームページだと言いふらす馬鹿が居る。そして勝手にブログの当事者であろうと思い込んだ相手にわざわざプリント・アウトしてご注進し、トラブルを生じさせるのだ。停年退職して毎日やる事もなく無為に過ごしている老人が、何かもめ事が無いかと考え、ボクのホームページを根気よく観ているのだから一種の狂気だ。だから団地風景をアップするのを躊躇する事がある。(つづく)

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