ココ の ブログ

メルト・ダウン(炉心溶融)

メルト・ダウン(炉心溶融)

 二ヶ月経って、ようやく東京電力は是まで隠し続けて来た福島原発の原子炉が3月11日の東北大震災で壊れ、メルト・ダウンを起こしていた事実を認めた。今更何を言って言い逃れをしているかという感じがするが、それよりも学識者と称する東大や東工大の教授連中が「メルト・ダウンなぞ、そんな最悪な事は起きていない!」と言い切って隠して来た事に改めて怒りを感じる。冷却水が漏れ続け、バックアップの冷却装置も津波で持ち去られ、最悪のシナリオである核燃料が冷却水に浸って居ないせいで炉心溶融が始まり、高温高圧状態で冷却水が水素ガスに変化し、それが建屋に溜まって爆発したというセオリー通りの事が起きていたのだ。こんな大変重要な事を隠し続けていた東電と政府・保安院はどう責任を取るのだ。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 更に、スピーディという放射線漏れ分布図を当初から1ヶ月間も政府は発表せずにいた為に、迅速に避難出来た筈の当該国民が膨大な被爆者の数となり、初期手当ても出来なかった悲劇をどう始末つける積りなのだ。人殺しとも言える恐ろしい事を平気で黙認してきた責任は重大だ。それなのに政府は安易な見通しで原発事故処理を簡単に片付けようとし詐欺的表現ばかりを口にして内閣の延命工作をしている。有史以来最悪の政府に成り下がったにも関わらず、未だ辞めずに続けたいとさえ平然と言ってのけ無神経さだ。予算以外は一本も法律が成立しない異常国会運営で何が政府機能が果たせると言うのだ。先月には呆れて原発事故の事は書くまいとブログの話題を替えて来たのだが、もう黙っては居られなくなった。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 ボクは最初からメルト・ダウンしている事を指摘して来た。事故現場の状況と放水状況を観て、更には漏れ出した放射線量の甚大な数値に、是はメルト・ダウンが起きているとしか考えられなかったのだ。それは素人のボクでさえ分かる簡単な原理である。冷却の為に放水を幾ら続けても炉の中の水量が一向に増えず、逆に減ってさえいる事は炉が壊れて水漏れを起こしているというのは子供でも分かる理屈である。水漏れの原因は地震に依る炉のひび割れかパイプのジョイント部の溶接割れかメルト・ダウンによる炉底の破壊によるどれかしか無い。その何れかでも炉が破れた事に変わりは無く、其処から大量の高濃度の放射線が漏れ出した訳である。その証拠に汚染漏水が海にまで漏れ出し、慌てて漏水防止工事をする有様だ。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 海への漏水は止まったものの、地中に深く浸透して行っている事は間違いない処で、地下水を通して放射線は次第に広がって行き広範囲に影響を与えるだろう。半径20km圏内と言わず、半径80km圏内は放射線危険区域としなければならない筈だ。それなのに政府は20km圏内避難者に一時的に帰宅を許し避難者の不満のガス抜きをするなぞ健康面からすれば全くナンセンスな事をしているのである。ボクが避難者であれば絶対に自宅なぞ戻らないだろう。幾ら想い出のアルバムであろうが位牌であろうが単なる物に過ぎないのだ。それよりも健康の方が大事だ。物は東電に補償させ慰謝料で置き換えれば良いのである。被災した以上は割り切らなくては仕方が無いのである。この際、情は捨てるしかない。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 しかしながら。ようやく福島県人やその他の県の被災者が怒りを表すようになった。首相や東電社長が被災地に見舞いに行っても総すかんを喰い「今頃、何しに来た」とか「我々を素通りして帰るのか!」と一喝されてシュンとなっている。一国の最高責任者や大企業の最高責任者が後ろめたさで何も答えられないのである。せめて心からの誠意を片鱗にでも見せれば少しは被災者も鬼ではないのだから冷静に受け止めるだろうが、余りにも理不尽な対応に被災者は震えながら怒るのである。総て初期対応が悪いと、総てが逆回転して悪い方へ悪い方へと流れて行くのである。首相にしろ東電社長にしろ「何故、俺が悪いのだろう?」と想っているかも知れないが、人の心を逆撫でしている自分の姿を自覚すべきである。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 本当に、事は重大なのである。我々関西人も無関係ではないのだ。日本経済が根本的に変わらざるを得ない局面に今来ているのである。エネルギー問題もあるが、放射性物質渦による甚大な処理費用が重く圧し掛かって来るのである。ちなみに放射線汚染水の処理費用がアレバ社の見積もりでは1立米当たり2億円という。6万立米以上あると言われるから12兆円以上の資金が発生する。原子炉の石棺費用の前に様々な処理費用も膨大な金額になる。補償費と合わせると、とてもじゃないが一企業で支払える金額では無い。何処かの国の国家予算と変わらないぐらいの金が必要になって来る以上、経済成長も見込めない中、我々は受難の時代に入ろうとしているのである。賠償金を支払う敗戦国民のような気持ちである。

にほんブログ村 美術ブログ 建築家(芸術家)へ ←ブログランキングに参加中です、クリックをどうぞ!




© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: