ココ の ブログ

梅雨入り(3)

梅雨入り(3)

 要するにヘマをやらかした業者の報告に呆れてしまったのだが、学校側が怒るのも尤もな話で「それで、どう対処したの?」と訊けば「土曜で役所担当に連絡を取ろうにも休みなもので連絡が取れません」と言う。「そうじゃなく、校門が開いていたから入れたのだろうから、追い出した学校の事務局が居た訳だろう?」「模擬試験をやっている外部業者だそうです」「いや、外部業者が入るには事務局員が居る筈だし、その人にどういう対処をしたのかと訊いて居るのだヨ」「さあ、私が居なかったもので分かりません」と要領を得ない返事にボクは仕方なく「それじゃあ、取り合えず月曜日にお宅の社長が学校へ行って謝罪をするしか無いネ」と言って切った。まるで子供と話をしているようなものだ。

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 好い大人が困ったものである。あれで工事監督が務まるのかしらと心配になって来るが、概して田舎の業者なぞそんなものだろう。何故か府立高校の事務局は教員と対立関係にあるようで、定例工程会議の場でも事務局が威張っている。だから会議は事務局が好き勝手な事を言うので司会者としてボクは会議を切り盛りするのに変な気を使わなくてはならないのだ。役所担当も彼らには気を使っている風に観える。そう言えば、数年前にも他の府立高校の耐震改修工事で同じような場面があった。ボクとしてはそれが分かっているだけに気にも留めないが、教職員と事務局と同じ教育委員会、つまり府の職員同士だけに対立する構図が分からないのだ。常識的には教員の方が教育者だから主格になると考えるのが普通だ。

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 しかし、府の職員の場合は多分、ライン業務の役付きの違いで威張るのかも知れない。それでも事務局の方が威張っている風に観えるのが不思議なのだ。そういう事情を業者は知らないようだから簡単に軽く観ていたが故に事務局が怒ったのかも知れない。やるべき事(事前連絡)をやっていれば揉める事は無いのだ。鈍臭い田舎の業者だから許される訳ではないのは勿論だが、昨今の殺伐とした世の中で学校関係の事件が多発している以上、業者は細心の注意を払って仕事をしないと土建屋の荒くれ意識では通用しないのだ。まして学校の年間行事表を事前に会議の席で貰っているだけに休日であっても学校行事があったりする事は知らないでは通らないのだ。

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 現場監督がぼんやりしていると言う事は社長もぼんやりしている事になるから社長が月曜の朝一番に学校へ行って謝罪するしか無いのである。プライドだけで生きている公務員が多い中で礼節は護らないと仕事がやり難くなるのは業者にとってもマイナスになる訳だ。逆に言えば、失点を作ってしまうと無理な余分の工事もサービスとしてやらされる羽目になるだろう。先日も、余分な工事を頼まれて弱っていると監督が言っていたが「設計図書に載っていない工事はやる必要がないが、曖昧な返事をしてしまうと黙認した事に成る。サービス工事なら構わない」と言うと「とんでもない」と言下に否定していた。金銭に関わる事なら反応が速いが、その他の事となると鈍いのは敢えてそういうポーズを取っているのではと勘繰ってしまう。

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 それにしても十二日も早く梅雨入りしたせいで、それでなくともモタモタした業者は段取りの遅れが災いして五月も終えようとしているのに工事は大して進んでいない。それを取り戻そうと土日の休日に作業をするのは好いとしても事前に届けを出しておく基本が出来ていない。という事は会社の体質が問われる事となる。だからこそ現場事務所設置や入電が遅れ、それを証明している訳だ。車を運転している最中に携帯電話を掛けて来て、今話せる状態であるかどうかを先ず訊くのが常識なのに平気で話し始める。そういう風に一事が万事気遣いというものが無い。だから口はばったいが、一から十まで言っておかないと駄目なのだ。亦、今後も似たような事があるあるかも知れないからだ。

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 中には一を言えば十を知る業者も居るが、そういう業者は最近少なくなった。大体そういう業者はそつが無い。職人の腕は何処も似たり依ったりなのだが、監督の質は様々である。仕事がロクに出来ない監督は監督業が務まらない筈なのに大きな顔をして出て来る場合もあるから、最初に見極めておく必要がある。それでも分からず途中からどうしようもない事が分かると声を大にしてしつこく指示する事になる。役所の担当もそういう体験を数多くしている筈だから最初から誰にでもためぐちで接して途中から仕事の出来を観て見直すのだろう。だから多分様子を観ているのだろう。盲蛇に怖じずというが、知らないと言う事は強いものである。ボクにしてみれば笑止な事だが、若いと言う事がそうさせるのだろう。(つづく)

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