ココ の ブログ

諦観(2)

諦観(2)



 ドルとユーロと円の関係を改めて説明すれば、先ず世界の貿易通貨の基準になっているドルを、今回、アメリカにある三大格付け会社の一社であるSアンドP社が評価をトリプルA(優良評価のAが三つあるという意味で最高位)から格下げをしてダブルA+にしてしまった事でアメリカの信用力が落ちたとされているのだが、その理由はデフォルト寸前の状態を回避させる条件として7月中に4兆ドルの赤字削減が為され無かった事に依る。しかし、他の二社のムーディーズとフィッチは政府の圧力を受けて判断を避け、ムーディーズなぞは格下げをしないとまで宣言し、フィッチは8月一杯まで模様眺めをするとしたのだ。仮にフィッチが格下げをしないとなればニ対一で評価は格下げされなかった事にされてしまうだろう。



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 そうなればSアンドP社の格下げ評価を無視し、アメリカ議会はSアンドP社を告訴するかも知れない。が、現実は益々アメリカのドルの信用は失墜していく方向にあるにもかかわらず米国債の値は下がらずトリプルA扱いされている。その訳は、代わりに世界の株式を暴落させ、それによる損失を守ろうとして株式から大量の金が米国債へ廻るように仕組まれていると分析する観方がある。つまり、ジョージ・ソロスがヘッジファンドから手を引くと宣言した事に観る様にヘッジファンドの金が株式につぎ込まれ、株式市場に売り攻勢を掛けさせ暴落させているとするのである。それはつまり、ドル防衛の為に株式の金をドル買いに廻させたという事で、次に、ドル防衛のもう一つの方法であるユーロ潰しがある。



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 その方法として、ギリシャのデフォルトに観られる様にトリプルAのフランス・イタリ―・スペインを格下げする事でユーロ圏国をデフォルトに追い込みユーロを解体させようとする仕組みだ。つまり、ドル防衛の為にはユーロを巻き込んで潰せば、辛うじてドルの命運が続くと考えるのである。それは中国やロシア、その他の新興国を漁夫の利で助ける事に成る。BRICが助かれば世界覇権は多極化して世界経済も多極化してドルは肩の荷が少し減り楽に成る。一時的にはそうなるものの矢張りドルの凋落は止められないからドルにべったり依存している円は既にトリプルAのランクを落とされているにも関わらず、世界からの借金が無いと言う理由で信用ありと見做され円買いが益々進み円高は止まらない状態になる。



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 円の実力は1ドルが90円ぐらいとされているのに76円にまで高騰してしまうと日本の輸出産業の利益は吹っ飛んでしまう。慌てた日本政府は4.5兆円もの金をつぎ込んで市場介入するも焼け石に水の状態である。円がどうなろうとユーロがどうなろうとドル防衛の為には形振り構わないというのが米英世界覇権派の考え方である。が、茶会派(ティー・パーティー)のようにアメリカの借金の現実を改善させるにはデフォルトも辞さないとする過激な考え方がアメリカを追い込んで、オバマは苦戦を強いられ再選を阻まれている状態でもある。円なぞどうなろうと構わないとするのが米英の基本的な考え方だから、まさに第2次世界大戦の原因となった日本封じ込め作戦の再来のようなものである。



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 だから日本は、ドルべったりから、現実は中国貿易に頼っている既成事実から中国元を頼るように成るかも知れない。つまり、アメリカから中国に乗り換える作戦である。ところが、それでは日本のアメリカ派が黙って居ず、尖閣列島問題で中国を引きずり出したように再びシーレーン摩擦を起こし、ロシアの北方四島問題をも再燃させる事で矢張りアメリカ依存が大事と言う既成事実を再認識させるだろう。つまりは沖縄基地問題を出汁にしてアメリカ軍をグアムへ全面移設させずに、想いやり予算の続行で日本に留まらせる作戦である。アメリカもそれを望むだろうから民主党の党首選は混とんとして来る。我々は当面、ドルの凋落を気にしながら米国債が紙切れになりつつあるのをジッと見続けなければならないジレンマに陥るのだ。



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 以上の様な事実と世界的な金の流れや、更には国の威信を掛けた各国の主張を見て居るだけで我々は複雑な世界構造に巻き込まれている現実に気付くのである。政治家はそんなことは百も承知で自分の生き残りしか考えて居ないから、口では「国民の為に」と馬鹿の一つ覚えのように言うが、それは「自分を支持してくれる一部の日本国民(在日も含む)の為に」と読み替えるべきである。それで想い起こすのが、20年ほど前のサラリーマン時代に銀行の紹介で日本の三大パチンコ王と言われた一人の社長に彼の自邸迄行って、ボクがあるプロジェクトの提案をした事だ。結論としてはそのプロジェクトは流れてしまったが、流れて幸いだった事に気付いたのは半年後にバブルが弾けた時だった。自分では大丈夫だと自信を持っていた案件も時代の流れには逆らえないものである事を知らされ、結果的にそれで自分が救われたのは単なる運が良かっただけなのかも知れないと想ったりもする。(つづく)



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