ココ の ブログ

長生き(3)

長生き(3)

 100歳は兎も角、長生きは幾つ以上を指すのだろう。ボクの住む住宅団地では80歳は当たり前になっているが、日本全国では昨年の平均寿命では女性と男性では7歳ほどの開きがあって女性は86歳、男性は79歳だったと想う。だから今や80歳は当たり前なのだ。勿論、平均だから70歳代で亡くなる人も多く、ボクの友人なんか50代で亡くなった者が数人も居る。かつて古希という言葉があって70歳は古来希であるという祝いであった。学生時代にボクが学んでいた大学の総長の古希を祝うパーティーがあった。学生自治会の役員をしていたボクもパーティーに招待された。パーティが終わって未だテーブルの料理を食べている処に総長がやって来られて、目が合ったせいかボクと握手をする事になり「君達は若い。これからの時代をしょって行かなければならないから、頑張るように!」と声を掛けられたが、手の感触から実に老人という気がしたのだった。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 こちらは20歳だったから半世紀もの歳の差があった訳だ。小柄だが実に大きな人に想え、声に張りがあって腹から出ている風に感じられた。70歳という高齢ながら人の上に立つ人は気力とオーラが漂っていて大物は違うものだと想った。そういう老人が最近は少なくなった。そう言えば、ゴルフの月例会で気の合う老人が一人居る。ボクより四つ上なのだが、ゴルフはボクよりも上手く、何時も五つは負ける。話術も飽きさせない。後日、彼が何者か紹介者に訊くと、大阪市の市会議員を長年やっていたそうで、道理で話術も上手い事が分かった。彼の仕事を知らないまま同じ組でコースを廻りながら気が合っただけに、後日、他のゴルフ場で一緒にプレイした事もある。それ以来、月例会では必ず一緒に廻る様になった。今頃になって古希を二歳上回る老人の友人が出来た訳だ。母校の大学総長と比べて時代的に年齢も変わったと想った。 

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 48年も昔の70歳と現代の72歳とでは今の方が10歳は若くなっている感じである。ボク自身、自分が60代に成った時「へえ~、60歳か・・・。実に歳を取ったものだなあ」と自分で感心した位だったが、実際は老人と言う気がしなくて未だ中年の世代に想えて仕方無かった。肉体と意織との乖離は時代と共に大きく成って行く感じである。明治期なら還暦の祝いをされて楽隠居に成って居た事だろう。江戸末期の勝海舟や坂本竜馬なんかの写真を見ると今で言う良い歳の中年に観えるのに、青臭い青年だったのには驚かされる。矢張り時代のせいだ。だから現代の大学生なぞは中学生の様に観える。戦後、アメリカ軍が日本に進駐して来た時に「日本の政治は中学生程度である」とマッカーサー元帥だったかアメリカの将校に酷評されたのにショックを覚えたものだったが、今でも余り成長せず、精々、高校生程度かも知れない。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 人間は文明の発達と共に進歩している筈なのに段々と幼稚に成って行く感じである。それは機械文明が発達して大方の人間が創意工夫をしなくなって行くからなのだろうか。自分の事を言うのは恐縮だが、息子を観ていると実に幼稚なのに驚く。息子の年頃にはボクはサラリーマンだったが、役職を持たされ部下の指導や業績を挙げるのに毎日遅くまで仕事をしていたものだった。毎晩のように部下を連れて呑みにも行った。お蔭で帰宅は真夜中で、自宅では寝るだけだった。翌日は早朝に起きて通勤電車に揺られて会社に向かう。そんな繰り返しの毎日だった。その頃はマイホームを手に入れ頑張っていた頃だったから小さな息子と若い妻の為に額に汗するのが当然のように働いた。休日はゴルフに出掛けて留守だった。それでも家族旅行もしたし、様々な場面のスナップ写真がアルバムに貼ってあるのを観て、懐かしく想う。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 尤も、随分若く観えるものの、身勝手かも知れないが今の息子よりも顔つきはしっかりしていた様に想えるのだ。人間は責任を持たされると顔つきが変わるものである。今の政治家の顔つきと明治・大正・昭和初期までの政治家の顔つきを観て比較すれば内容は兎も角、以前の方が老けてしっかりとして居た様に観える。それなのに戦争に負けて進駐して来たアメリカ軍に「日本の政治は中学生程度だ」と迄酷評されるのだ。それでは今は少しは大人になったかと観れば、内容も顔つきもデレ―ッとして少しも引きしまらず危機感も感じられないのだ。敗戦国というハンディキャップを背負わされはしたものの各国の支援があったお蔭で経済成長を遂げ、自由世界の大国に迄成長したが、悪く言えば骨抜きになってある種の馬鹿になった感じさえする。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 元来、日本人は西欧人と比べて若く見える。人種の違いもあるのだろうが、生き馬の目を抜くような熾烈な大陸社会にあれば顔つきも動物的というか攻撃的になるのだろうか。因みに日本人が長年、大陸社会に住んでいると矢張り顔つきはバター臭いものになって来る。目つきが白人の目つきになっているのだ。それに対して西欧人が日本社会に長年住んでいるとノッペリとした穏やかな顔つきになる。日本はそういう風にしてしまう社会環境なのかも知れない。親戚の子がアメリカ留学をして帰国した時、まるで外人のようなヒッピー・スタイルで家族が観ても見間違った程に変わって居たので驚いたそうだ。友人でも、世界を廻って久しぶりに帰国した時、税関で一瞬、外人と間違われる程の変わり様だったと笑って居たが、環境でそういう風に変わるのだろう。(つづく)

にほんブログ村 美術ブログ 建築家(芸術家)へ ←ブログランキングに参加中です、クリックをどうぞ!




© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: