ココ の ブログ

居眠りをするココ(1)

居眠りをするココ(1)

 秋も深まり寒く成って来るとココは温かい処を探して居眠りをするようになる。眠いから居眠りをするのではなく、身体を温めたいだけのようで、横になっても毛づくろいをしているのを観れば分る。だから身体が温かく成ると庭へ出せとばかりにムクッと起き上がり、ガラス戸の前へ行き外の景色を観るポーズをとる。それが外へ出たいという合図なのだ。ココなりの意志表示であり啼き声以外の言葉である。ドアの前であればジッと開けて貰えるまで座禅僧のようにドアに向かったままで居る。観ている方がイライラして、つい開けてしまう。ひと声啼きさえすれば分って直ぐに開けてやるのに無言でそうするのだから気がつかない時なぞは実に根気よく待っている。勿論、誰も居なければそういう事は無駄だと分っているからしない。もう7年ほど居るから中年猫になって知恵も付いているだけに人間の考えそうな事を先回りしてやるのだ。

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COCO-001(ソファの上のムートンに顔を埋めるココ)。

 そういう点では賢い猫だが、逆に馬鹿になったと言うか赤ちゃん返りのような仕草をする事がある。それは腹が減って餌をねだる時によく見受けられる。ゴロゴロと喉を鳴らしたり甘ったるい声を出してすり寄って来るのだ。妻なんかそれを見抜いて餌やお八つを与える前には「お手」をさせる。ココも腹が減って早く食べたいものだからサッと前脚を出して「お手」のポーズをとる。食べ終えると次のお八つも欲しいから待っていると妻は意地が悪く、もう一方の前脚で「お手」をさせる。だからココは右も左も「お手」が出来る。ボクはそんな芸当を覚えさせた処で何になると想うのと一種の虐待の様だからしない。が、余り好きではない種類の缶詰の場合には喰いつきが悪いから「ほら、美味しいマグロだぞ。ああ、美味しい、美味しい」と言いながら頭を撫でてやると食べ出す。つまり暗示に掛けるのである。

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COCO-002(フラッシュに反射して青目が赤眼になっている)。

 暗示に掛かったココはそのまま食べ、皿の分を全部食べる。それを観てボクは「賢い、賢い」と言って再び頭を撫でてやる。するとココは嬉しそうに目を細め、されるままジッとしている。それで満足したココはおもむろに庭に出ようと歩き出し、閉まっているガラス戸を開けて貰えるように傍まで行ってジッと待つという塩梅だ。ペットだから可愛がられて当然の様な顔をしているから「幸せな奴だな」とボクが言えば「生協の(食材を配達している)お兄さんも、同じ事を言っているワ、君は良いなぁ、って」と妻は言う。確かにトラックを運転して顧客の家を廻って食材を配達する仕事からすれば、ジッと待って居たり遊び疲れて帰って来ればチャンと餌が貰える身分なのだから「君は良いなぁ」と想われる通りだ。野良猫からすれば餌を保証された猫は羨ましい筈だし、野生の動物からすれば天国に観えるだろう。

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COCO-003(フラッシュが眩しくて横を向いたココ)。

 ところが、敵である人間側に居る動物は同じ動物でも違って観える筈だ。まるで緊張感が無くデレ―ッとして観えるだろう。寧ろ、人間と同じ敵に観えるのかも知れない。裏切り者にも観えるだろう。それは例えて言えば、人間世界でも社会体制や政治体制が違う飢えた国民から富んだ国の国民を観れば同じ様に感じる筈だ。最近の事例から言えば、北朝鮮やアフリカ諸国がそうだし、敢えて言うならギリシャも同じだろう。大した産業も無く、外貨も乏しいから国民は貧しく飢えた状態が恒常的に続いている。豊かな国の国民からすれば何故そんな社会体制に甘んじているのだろうかと素朴な疑問の目で観てしまい勝ちだが、その原因は無知と教育水準の低さから来るのと、独裁者若しくは身勝手で無能な権力者のせいで貧しいままに置かれているせいだ。其処に気が付いた国民が蜂起して政権を倒す現象が起きる。

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COCO-004(この時期ココは、デスクの横に来て身体を温める)。

 そういう繰り返しが近代の国際政治の歴史である。まだまだ地球上の人間は均等に平和と安全とを享受できていない状態で居る訳である。しかし、70億人にも成ろうとしている地球上の人間が平等に食料とエネルギーを得ようとするには現代の国際政治では不可能と言っても言い過ぎではない。それを世界の識者も政治家も知っていて精々お為ごかし的に慈善事業や食糧援助をしているだけである。つまりは余裕が無いという現実があるからだ。余裕が無いと言うのは自国の政治状況もそうだが、自分の個人的な理由もある。簡単に言ってしまえば自分の特権の取り分が減るという不安から援助は余裕があればする程度にしか考えない訳だ。そういう言い方をすれば「人間は何と浅ましい生き物か。仲間を見殺しにして平気なのか」と言う人々が必ず現れる。しかし、彼等とて何も出来ないのである。無力のくせに批判はするのだ。

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COCO-005(陽射しの良いガラス戸の前で毛づくろいをするココ)。

 では、どうすれば地球上の人々がペットの様に食料を与えられて満足するのでは無く、自らの力で自主独立の社会を形成する事が出来るのか。その答は机上論では言えても現実論としては矢張りジワジワとしか解決に向かうしか無いと想う。劇的な変化は先ず無理だろう。何故なら、人間の慾が、先ず自国の平和と安全と幸福を優先させるからだ。仮に自国がそれを達成しても貧しい国の人々の事は対岸の火事程度にしか感じないからだ。アメリカが経済的に行き詰って生き残り策としてユーロを潰す事(先ず、ギリシャの様な貧しい国のデフォルトを画策し始める事)に血道を挙げている限りは、幾らユーロ圏の国々が、銀行の自己資金率を9%に挙げた処で、ギリシャの借金(国債)を半分棒引きにした処で無理がある。しかし、アメリカが本当にデフォルトに成れば、それこそ世界の経済は大混乱に陥る。(つづく)

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