ココ の ブログ

明かり窓(ガラスブロック)

明かり窓(ガラスブロック)

 ボクは昔からガラスブロックが好きで作品にはよく使っている。そのくせ自宅には使っていない。というのは和風(数寄屋)建築だからだ。では何故、洋風建築の自宅にしなかったのかというと、ガラスブロックよりも前から数寄屋が好きだったからだ。青年時代に数寄屋大工と交流があって色々と現場を体験させてもらったから洋風建築よりも和風にのめり込んでいたのだ。子供時分も数寄屋建築の中で育ったことも影響しているのだろう。友人宅には茶室があって、そこでよく遊んだ。和風庭園も馴染みの風景だった。そんなだから洋風建築はビルとか有名豪邸に限られると思っていたのだった。

集会所
集会所のガラスブロック壁

 日本の洋風建築の走りは鹿鳴館である。長崎のグラバー邸とか外国人の住む家は神戸の異人館を見れば分かるように別世界だった。たまたま父の同級生だった京都のデパートのかつての社長の邸宅が京都御所の横にあって、チューダー朝の屋敷だったから、ああいう家に住むには大きく儲けなければ駄目だと端から諦めていたものだ。数寄屋建築なんか身近に在りすぎて価値が分からなかったのだ。洋風のバスが二階に数か所もあって何故家に風呂が何か所もあるのだろうと頭をひねったものだ。我が家なんか桧の風呂があるだけで、陶器のバスなんかは大層立派なものに見えたものだ。

ガラスブロック3
マンションの居間のガラスブロック(土佐堀)

 しかし、青年になって建築というものがおぼろげながら理解できるようになると西欧建築と和風建築の違いが大したことではないことが分かった。要は気候風土とか生活習慣の違いで建物の様式が違うだけのことだと気がついたのだ。おとぎ話に出てくるような西欧建築はお城とか邸宅の贅をつくしただけのもので、庶民の暮らす家は日本人となんら変わらないものであることも知った。地震が少ないので組石造(石やレンガを積んだ構造)の家が多いものの、日本のような隙間だらけの木造建築は日本の風土に合わせた夏場しのぎやすい建て方なのも知った。西欧の冬は日本の比ではない寒さなのだ。だから中国も組石造である。四川省の大地震で火災こそ無かったが殆どの家が脆くも崩れてしまったのも地震に弱い組石造だったからだ。

ガラスブロック4
マンションの居間のガラスブロック(心斎橋)

 先の阪神大震災では火災が大きかった。崩れていない住宅も隣家の火災で簡単に燃えてしまった。しかし、もし中国で、組石造に比べて軽い木造建築だったら今回の四川省の地震では震度5弱だったというから、かなり残った筈である。国情と、風土と文化が違うから仕方のない話ではあるが、日本ではあそこまで酷くはならなかったろう。日本は今ではあの教訓から軽い工業化住宅(いわゆるプレハブ住宅)が建て替えの主流になりつつある。粘りのある軽い建物が地震に強いのである。ビルも同じで、軽くて粘りのある超高層が強く、重く頑丈そうで武骨な昔のコンクリート造は脆くも壊れてしまったのを見ても分かる。

がrすブロック-3
マンションの明かり取りのスリット(道頓堀)

 さて、今日の話題はガラスブロックの明かりとりである。ガラスブロックは構造体ではないので耐震性はなく壁か窓として使う。それも単なる明かり取りである。最初の写真の北面の壁一面をガラスブロックにした集会所は断熱効果と遮音効果があって明るく、会議室と放送室と洗面所に使っているが好評である。マンションの場合はホールの明かりとりの他、居間の明かりとりに使った。アール(曲線)を取り入れているから見た目にも柔らかい。

ガラスブロック1
地下道のガラスブロック(大阪難波ウオークにて)

 最後の写真は、明かり取り壁として長い地下道の通路壁にガラスブロックを設け、動く歩道(水平エスカレーター)が並行して設けられている。真っ直ぐでは興が無いので曲面を入れて変化をつけている。単調な風景をカバーしているのだ。丸善へ行く時によく通る処だ。何故か動く歩道ではジッとしている人は少ない。ゆっくりとでも歩かねばならない気持ちにさせるのだ。誰が設計したのか知らないが(多分、大阪市の都市整備局が設計事務所へ外注したものだろう)なかなか上手く出来ている。出来れば、外気が入る吹き抜けを要所要所に設けてくれれば、もっとガラスブロックも効果的だったろうにと思う。




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