好奇心は放浪中!

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律令のしくみ☆その3(地方行政の実態)

(藤原宮の朝集堂内からライブ中継)
藤原不比等(以下不比等)「……では以上で、地方の行政区分のうち、一般の行政区に関しての説明は終了させていただく。引き続き、 特別行政地区 についてご報告する」
(ロマンにひたっているうちに、「国-郡-里」という一般行政区の説明が終わってしまい、しょげているくまくまキャスター。敏腕ディレクター・ヒューズジュニア(切れるとコワイ!)からは向こう三ヶ月給料カットを言い渡され、泣く泣く解説ボードを作っている模様。できあがるまで、しばらく不比等氏のご報告をお聞き下さい)


不比等「その重要性をかんがみて指定した特別行政地区は2つある。まずは当然のことながら この都 、そしてもう一つは難波宮や難波津(なにわづ:瀬戸内海のみならず、外国との交通の拠点にもなっているタイヘン重要な港)があることから、 摂津国 を取り上げた。

さて都では、独自の行政単位 ”京-条-坊” を採用しているが、これは諸国の”国-郡-里”に対応したものと考えてもらっても良いと思う。国司にあたるものが 京職(きょうしき) であり、左京職・右京職に分かれ 京内の司法や行政、治安維持など もろもろの職務を監督する。
また、 市場(東市・西市のふたつ)の動向を見張り物価の統制をはかる のも、京職とその下におかれた 市司(いちのつかさ) の大事な役割である。なお、価格の変動は京職から大蔵省へ報告される流れとなっている。

次に摂津国であるが、ここの内政は 摂津職(せっつしき) が責任をもってあたることになる。職務の内容としては国司とほぼ同じなのだが、いかんせん外交的にも非常に重要な地域であるため、都と同様の扱いにした次第である。

これで一般行政区・特別行政区の説明は終わりだが、最後に 大宰府(だざいふ) について一言加えさせていただこう。
諸君もご存知の通り 西海道(さいかいどう:今の九州全域)は、万が一敵からの襲来があった場合には防衛の最前線となる要地 なのだが、都から遠く離れているため対応の遅れが懸念されていた。そこで 中央政府の出先機関 として(出先機関…中央官庁や会社が地方や外国に設けた支部・出張所などの機関…『旺文社国語辞典』より)大宰府が置かれていた訳だが、大宝令でもこの体制を受け継ぎ、さらに一層の充実をはかりたいと思う。
ちなみに 大宰府の業務は、西海道諸国の支配、外国からの使者の接待や外交交渉、そして軍隊(=防人:さきもり)の統括 を主とする。以上」

不比等のスタッフ「これで説明会の第一部は終了とさせていただきます。続いて第二部にうつりますが、その前にしばらく休憩ということで、記者の皆様もどうぞおくつろぎ下さい」


スタジオにいるアナウンサー(いい加減名前をつけた方がいいかな?)「不比等氏もいったん奥に下がられるようですね。では現地にいるくまくまキャスターを呼んでみましょう。くまくまさーん、解説のご用意はいかがですか?」

くまくま「はあ、何とか……(あからさまにしおれている)」
アナ「しっかりして下さいよ、くまくまさん!えーと、そ、そうだ、くまくまさんのおしゃべりを楽しみにしてる視聴者の方も(少しは)いることですし、張り切っていきましょうよ!」
くまくま「そ、そうなんですか~!嬉しいなあ、いやーがぜんやる気が出てきました。休憩中にバリバリ解説やりますね!」
ヒューズジュニア「単細胞とハサミは使いようだな…」


くまくま「では、一般行政区”国ー郡ー里”の補足説明をさせていただきながら、全体をコンパクトにおさらいしてみたいと思います!

全国をまず ”畿内・七道” というビッグな行政単位に分けたあと、それぞれを 国→郡→里に細分化 していく支配の仕組みは、先ほど不比等氏によってご説明があった通りです。分かりやすくするためにしいて現代に置き換えてみますと、 ”国=都道府県、郡=市・郡、里=区・町・村” という感じになりますね~。ではそれぞれの規模について、見ていきましょう。
(1) 50戸(戸は、ひとつの世帯というワケではなく、多数の家族の寄せ集めみたいな面もあったそうです。そのあたりは適当ですね~^ ^;)が集まって1里
(2) 2~20里が集まって1郡 (郡の規模は、ピンからキリまであったということですね☆)
(3) 数郡をたばねたものが1国
という具合になってます。

さて、都道府県には知事さん、市には市長さん、区や町には区長・町長さんがいるように、この時代にも無論幹事職が設けられています。これは非常にカンタンなので、ざっと通してみますね。
★国の責任者:国司(こくし)★ ……中央政府から派遣され、任期は6年(のち4年に変更)。うま~くやれば任期中に私腹を肥やすことが可能だったため、志願者の多いお役目でした。
★郡の責任者:郡司(ぐんじ)★ ……国司がいわば「ヨソ者」に対して、郡司は昔からその地方に住み着いていた 「地元民」(これを歴史用語では、在地豪族といいます) なので、しばらくの間は 郡司が民衆支配をリードしていく ことになります。「ヨソ者」国司がその支配権を奪い返すのには、まだまだ時間が必要かと思われます。今でもヨソ者には冷たいトコロってあるものね……。
★里の責任者:里長(りちょう、又はさとおさ)★ ……民衆にとっては一番身近な支配者ですね。租税の取り立て・治安維持などに責任をもってあたります」


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