喜久蔵blog

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第二話「チャット」



僕は店を出ると平然を装い、何事もなかったかのようにいつものゲームセンターへと足を進めた。

と、アーケードを抜ける途中、パソコンショップのショウウィンドウにふと目がいった。

最新の薄型ディスプレイが陳列してある。

僕はいつの間にか、その眩いばかりのディスプレイに釘付けになっていた。

"Hi_"

"ヒサシブリDa__"

"ヒ・サ・シ・ブ・リ・ダ・Ne・・・"

ディスプレイに文字が浮かび上がる。




「なんだろう?ワープロソフトのデモかな・・」












薔薇とベロニカ  第二話「チャット」










店の前に立ちすくんでいると、僕は突然意識が朦朧とし始め一瞬にしてあたりは真っ白な光に包まれた。

どうしてか僕はそんなことを気にも留めず、ただ無意識にディスプレイに近寄ろうとしていた。

しかしディスプレイは逃げるように僕の前から急速に遠ざかりはじめたのだ。

僕はディスプレイを追いかけるが足に毛布が絡まったような感じがしてうまく進めない。

ディスプレイの前に誰か居ることを確認したが何しろ追いかけても遠ざかってゆくのでよくわからない。

「ま、待って__。」

僕は何も考えていなかった。ただ、ディスプレイを覘きたい衝動に駆られるのだ。





どこか懐かしい感じがした。






アーケードに居た記憶などすでになく、あたりは真っ白な空間が永遠と続いていた。

「ねぇ、まってよ。ディスプレイの前に居るのは誰だい?」

そういった瞬間。遠ざかっていたディスプレイの動きがぴたりと止まった。

まだディスプレイの前に居る人間がよく確認できないが、こちらをじっと見つめているようだ。

「はぁ、よかった。」

僕はようやく気づいてくれたのだと、肩をなでおろした。

「___・・ボクハキミジャナイ。」

目の前の人間は近くに居るはずなのだが、どうしてか顔がよくわからない。

ただ冷たい感情が僕には伝わってきた。

彼はそのまま靄と共に消え去ってしまった。


"キミじゃない"ってどういうことだろう・・・


ディスプレイだけが明々とこちらを向いていた。

走ったせいで息が切れていた僕はようやくといった感じでディスプレイの前に座った。







   しゅう:あとはオアツイお二人で・・・^^ >ばら&ベロ






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薔薇の十字架:ばいば~い♪
VERONICA:BYE、しゅう。


_しゅうが退席しました。


薔薇の十字架:やっと、あと5日と迫ったね。
VERONICA:うん。すごくうれしい。
薔薇の十字架:あ、フェリー乗ったことあるの?
VERONICA:ん~、
VERONICA:乗ったことないねぇ。
薔薇の十字架:そっか、喜久島まで一日二便しか出てないから気をつけてね。
VERONICA:おうよ
薔薇の十字架:、
薔薇の十字架:本当にうれしい。
薔薇の十字架:
VERONICA:俺も:*^^*




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「・・チャット。あの子と・・・ベロニカはチャット仲間だったのか」




__!?

僕は ふとアーケードに居たことを思い出した。

目の前のショウウィンドウに自分の姿が映っていた。

真っ白い光に包まれたあたりは元のアーケード街へと戻っていた。


長い睡眠を取ったときのように頭がぼんやりとする。

ちゃんと自分の足で立っているかさえもわからない。






ただ、それより僕はちゃんとの内容が気になっていた。

最後に薔薇の十字架がこういっていたのだ。







"薔薇の十字架:私本当にかわいくないからね。期待しないでね。。。。(T_T)"

第三話「背中に鋭利なもの」


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