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こんにちは、錦水館の上甲です。今日は、かつて厳島に存在した「厳島八景」について詳しく解説しようと思います。宮島はその美しさから日本三景のひとつに数えられていますが、実はかつてこの島には「厳島八景」と呼ばれる、特に美しいとされる八つの景色が選ばれていました。今回は、その選定の背景や各景色が持つ意味、さらには現代版の厳島八景もご紹介します。歴史と自然が織りなす厳島の魅力を再発見しましょう。

尊海と「瀟湘八景図」とは？

まず、厳島八景の選定は、室町時代に遡ります。約470年前、尊海（そんかい）という名の僧侶が宮島の大願寺にいました。尊海は「一切経（いっさいきょう）」という非常に貴重な経典を求めて朝鮮へ渡航し、無事に帰国します。彼が持ち帰ったものの中に、「瀟湘八景図（しょうしょうはっけいず）」と呼ばれる、中国の美しい景色を描いた絵がありました。この絵は、当時の中国の風景を八つに絞り込んだもので、その美しさが人々を魅了しました。

厳島八景とは？江戸時代に選ばれた八つの絶景

瀟湘八景図に倣い、江戸時代初期、光明院の僧侶であった恕信（じょしん）によって「厳島八景」が選ばれました。以下がその八つの景色です。

1. 大元桜花（おおもとおうか）　大元公園の桜が名所として選ばれました。現在でも桜は見られますが、明治時代にテニスコートやホテルが建設され、桜の木が一部伐採されてしまいました。それでも、近年では再び桜の木が植えられ、少しずつその美しさを取り戻しています。

2. 滝宮水蛍（たきのみやみずぼたる）　大聖院の上にあった滝宮神社は、かつて蛍が舞う美しい場所として知られていましたが、2018年の土石流で失われました。再建の話もありますが、当時の風情が戻るには時間がかかるかもしれません。

3. 社頭明燈（しゃとうみょうとう）　宮島神社の灯籠に火を灯し、海に映るその光景は幻想的です。現在でも稀に見られることがありますが、当時のように頻繁に行われることはありません。

4. 鏡池秋月（かがみいけしゅうげつ）　神社の敷地内にある鏡池に映る満月は、秋の夜に特に美しいとされています。康頼（やすより）の伝説にも登場するこの池は、厳島の七不思議のひとつです。

5. 御笠浜暮雪（みかさはまぼせつ）　御笠浜に雪が降り積もる夕暮れ時の景色は、まるで絵のような美しさです。雪が稀な宮島では、この光景を目にすることは非常に貴重です。

6. 谷原麋鹿（やつがはらびろく）　秋の谷原で鳴く鹿の声は、哀愁を帯びたものです。雄鹿が雌にアピールするために鳴くこの時期の風景は、厳島の秋を象徴するものでした。

7. 有浦客船（ありのうらきゃくせん）　江戸時代には、宮島の有浦には多くの商船が停泊し、その帆が海に映えて美しい景色を作り出していました。白い砂浜と松林の中、木造の帆船が行き交う風景は、当時の宮島の繁栄を物語っています。

8. 弥山神鴉（みせんおがらす）　伝説によれば、弥山に神社を建立する場所を夫婦の神鴉が案内したとされています。この神鴉が、島を回りながら社を建てる場所を探す姿が選ばれたのでしょう。

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現代版の厳島八景を選ぶなら？

もし現代版の厳島八景を選ぶとしたら、どの景色がふさわしいでしょうか？これを考えるのもまた楽しいものです。

1. 春の桜　多宝塔（たほうとう）のしだれ桜や、宝蔵（ほうぞう）の川沿いの桜は、宮島の春を代表する美しい風景です。

2. 秋の紅葉　もみじ谷（だに）の紅葉は、今や宮島の秋の風物詩として定番です。江戸時代末期から紅葉を楽しむ文化が根付いたと言われています。

3. 冬の雪景色　宮島神社や大鳥居に積もる雪景色は、年に数回しか見られない希少な風景です。その神秘的な美しさは、訪れる人々を魅了します。

4. 夕日に染まる大鳥居　御笠浜から見る大鳥居に沈む夕日は、訪れる観光客が必ずカメラを向ける絶景ポイントです。

5. ライトアップされた宮島　夜になると、大鳥居や社殿がライトアップされ、海に映るその姿は、昼間とは違った魅力を見せます。

6. 弥山の頂上からのパノラマビュー　伊藤博文も絶賛した、弥山からの眺望は360度の大パノラマ。瀬戸内海の島々が眼下に広がり、晴れた日には四国まで見渡せます。

7. 大願寺の庭園　大願寺の美しい庭園は、四季折々の風景を楽しめます。特に春の新緑や秋の紅葉時は訪れる価値が高く、その静寂な雰囲気と美しい庭園は心を癒してくれます。

8. 千畳閣からの眺望　千畳閣（せんじょうかく）は、広大な木造の建物で、そこから見る景色はまさに絶景です。建物内から見える厳島神社や大鳥居、そして遠くに広がる海と島々の風景は、訪れる人々を圧倒します。

こうして、現代の厳島八景を考えることは、過去と現在の宮島の魅力を再発見する良い機会となります。宮島を訪れる際には、ぜひこれらの景色を心に刻んでみてください。歴史と自然が織りなす宮島の風景は、今も昔も変わらぬ美しさを保ち続けています。

それではまた、宮島でお会いしましょう。

錦水館の上甲でした。

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