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こんにちは!錦水館の上甲です。今回は、宮島でなぜ「しゃもじ」がこんなに有名なのか、その理由についてお話ししたいと思います。
まず、宮島と言えば何を思い浮かべますか?多くの方は「嚴島神社」と答えるでしょう。海に浮かぶ大鳥居、世界遺産にも登録されているその美しい神社は、日本国内外問わず多くの観光客が訪れる名所です。実際、宮島に行くと言えば「嚴島神社に行く」という意味で使われることが多いですよね。
宮島のしゃもじの歴史は江戸時代にさかのぼります。当時、宮島には観光土産として特に目立つ商品がなかったようです。そこで、一人の僧侶、誓真(せいしん)という方が登場します。この誓真さんが弁財天が持つ琵琶(びわ)を見て、しゃもじを考案したと言われています。
弁財天は芸術や知恵、さらには財運をもたらす神様として知られていますが、誓真さんはその持ち物である琵琶から着想を得て、しゃもじを作り始めました。そして、このしゃもじの作り方を島の人々に教え、それが広まったと言われています。
しゃもじの形状は、琵琶に似ていることから、「飯をすくう道具」としてピッタリだったのでしょうね。こうして、宮島のしゃもじ作りが始まり、島の名物となっていきました。
しゃもじは一般には「しゃもじ」と呼ばれていますが、宮島では「杓子(しゃくし)」と呼ばれています。この「杓子」という言葉には、宮島の伝統と歴史が詰まっています。そして、宮島の杓子が全国に広まるきっかけとなったのは、明治時代以降の戦争です。
戦争中、兵士たちが出征する際に、「敵を召捕る(飯取る)」という意味を込めて、宮島の杓子を持ち帰ったことから全国的に知られるようになりました。また、出征前に戦の神である嚴島神社に祈願する風習もありました。杓子を嚴島神社に奉納することで、無事を祈り、戦勝を願ったと言われています。
この祈願の風習が広まり、戦時中には千畳閣(豊国神社)の柱に多くの杓子が飾られました。今でも千畳閣の柱には、その時代の名残で、杓子によってつけられた傷跡が残っているのを見ることができます。戦争が宮島の杓子を有名にしたと言っても過言ではないでしょう。
宮島の杓子は、戦争以外にも独自の広がりを見せました。その一つが、広島県の高校が甲子園に出場する際、応援で杓子を打ち鳴らす風習です。春夏の甲子園で、広島県の応援席からは「カンカン」と杓子を叩く音が響いていたのを覚えている方もいるのではないでしょうか。これは「敵を召捕る」という意味を込めた、勝利祈願の一環でした。
また、プロ野球の広島東洋カープの応援でも、かつては杓子が応援グッズとして使われていました。今では見かけなくなりましたが、こうしたスポーツの場面でも、杓子は縁起の良いものとして親しまれていました。
宮島の杓子は、単なる調理器具としてだけでなく、「幸せをすくいとる」という意味でも広く愛されています。これは、飯をすくうという動作に「幸運を取り込む」という意味が掛けられているからです。そのため、しゃもじは宮島を訪れる多くの観光客にとって、縁起の良いお土産として人気があります。
宮島を散策すると、至る所でこの杓子を目にしますよね。観光土産のお店には、大小さまざまな杓子が並んでおり、どれも手に取ってみたくなる魅力があります。特に、家族や友人に「幸せをすくいとる」という意味を込めて贈ると、喜ばれること間違いなしです。
さて、宮島には「世界一の大杓子」があることをご存じでしょうか?この大杓子は、なんと長さ7.7メートル、重さ2.5トンもあります!一度見てみると、その迫力に圧倒されますよ。この巨大な杓子も、観光名所として有名で、多くの観光客が記念写真を撮っています。
この大杓子は、戦争を通じて広まった宮島の杓子文化を象徴するものとも言えます。「敵を召捕る」という意味だけでなく、大きな夢や幸せをすくいとる象徴として、多くの人々に愛されているのです。
最後に、宮島のしゃもじはその実用性の高さでも評価されています。しゃもじと言えば、ご飯をよそるための道具ですが、宮島のしゃもじは、飯粒がくっつきにくく、木の香りがご飯に移らないという特徴があります。また、熱によって変形しにくく、長持ちするのも魅力の一つです。
さらに、手に馴染むようにバランスが取られており、実際に使ってみると、その使いやすさが実感できます。見た目だけでなく、日常生活でも役立つこのしゃもじを、一度使ってみると、その良さに驚かれることと思います。
宮島のしゃもじが有名になった背景には、江戸時代から続く長い歴史や、戦争時の祈願、さらには縁起物としての意味が深く関わっています。単なる調理器具としてだけでなく、さまざまな意味を持つこのしゃもじは、宮島を訪れた際にはぜひ手に取ってみてほしい一品です。
次回、宮島に来られた際には、しゃもじの歴史に思いを馳せながら、お土産として手に取ってみてはいかがでしょうか?きっと、家族や友人への贈り物としても喜ばれることでしょう。
それでは、また宮島でお会いできる日を楽しみにしています!
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