がじゅまる希凛らんど

検査結果と手術 その1

2000年2月5日(土)

11時から夫の母と 検査結果を聞く


MRI・脳血管造影の結果

腫瘍は脳の細胞からのもので 悪性だと思われます

悪性・・・といっても、限りなく良性に近いグレード1から極悪のグレード4まであり、

「グレード1」なら10年以上の延命が可能

「グレード4」なら寿命は1年です



現段階では「グレード3~4」だと考えられます


腫瘍を全部摘出することはできません。(全摘をすると、腫瘍のできている場所柄、廃人になる)

悪性の場合 血管も弱いので、血管を傷つけないように悪い部分を取らなければならず、


手術をしてみて血管の状態などから摘出が無理な場合は、


生検のために組織を取るだけで終わりになります。



その場合、手術時間は4時間程度で、後は放射線と抗癌剤のみで延命することになります。


もちろん摘出が可能な場合は、できるだけ取り除きますので、

その時は、手術時間が長くなりますので御了承ください。


もしも手術時間が長くなったときは、腫瘍を取り除ける状態だということで、

良い事ですから、心配しないでください。


もし摘出できた場合でも、その後は放射線治療と抗癌剤で延命治療となります。

腫瘍は脳梁の上に左右にあり、意識障害(てんかん)と知能・記憶力に障害が起こります

できるだけ(現状くらいに)状態の良い時間を長く保つことに重点をおいて治療を行いたいと思います。



ここまで説明を受けて、本人への対応はどうしたら良いか相談される。



彼は、ホントに気の小さい人。自分が悪性だと知ったら どうなるか・・・


夫の母とも話し合い、本人には、



あくまでも良性で、場所が深い所にあるために全部摘出すると危険が生じるため、

少し残して 後は放射線治療をする方が有効です



と伝えることにする。




14時  夫を交えての 先生からの説明



・・・・・とてもとても簡単な説明だった・・・・・



脳に腫瘍があり、摘出します

その後は 再発防止のため 放射線治療を行います

放射線治療は 術後1週間~10日程経過し、

傷が落ち着いたら始めて、だいたい1ヶ月半位を予定しています

手術の日は 8日(火)・・・風邪が治らない時は延期

当日は

8時頃    髪を剃り

9時~10時 全身麻酔(麻酔専門医がついて診断)

10時~14時or15時(4~5時間)手術

手術終了から1時間位 処置

午後3時か4時には病棟に戻れる

とのこと



夫は やっと説明を聞けたことと 悪性腫瘍だと言われなかったことで、ちょっと落ち着いたようだった。



「グレード4」なら あと1年・・・・



来年の今頃、彼は存在しないの?! 



脳腫瘍の場合、亡くなる前の半年以上は意識がなくなるって ネットで見たっけ。



もしかして、子供が産まれたことすら認識できない状態になるかもしれないってこと?




子供が欲しくないって言う彼の気持ちを振り切って、不妊治療をしてまで子供を授かったりしたから

罰があたったのかな。

彼の両親と別居できて、子供も授かって、やっと普通の幸せを噛み締めていたのに。



私が幸せになったから、その反動で彼が病気になったんじゃないのかな。



私は幸せを望んではいけない運命なのかもしれない。。。




帰宅後、半狂乱になって泣いた。彼がこの世から居なくなるかもしれない恐怖。

手足がしびれる程に泣いていると、突然 お腹が固くなり、はっとした。


お腹の子が もう泣かないでって言っているような気がした。



これ以上泣くと、お腹の子に悪い。この子は守らなくては。。。



「ごめん。ごめん。大丈夫だからね。ごめんね。。。」



母親の泣き声が胎教だなんて、可哀想すぎる。


しっかりしなくちゃ。大丈夫。きっと大丈夫。奇跡は起きる。

お母さん、負けないからね。がんばるからね。だから安心して。






2000年2月8日(火) 手術当日


どうぞ夫の腫瘍ができるだけ多く摘出できますように・・・・

手術時間が 長く長く掛かりますように・・・



病棟の食堂に座り、ずっと祈り続けた。

長く掛かってもいいようにと、雑誌を持ってきたけど、目に入らない。



14時50分  手術が終わったと看護婦さんから告げられる



早すぎる!・・・・やっぱりダメだったのか・・・・



落胆しながら、夫の母と手術の結果を聞きに行く。




普通、悪性腫瘍の場合、脳と区別がつきにくいのですが、

ご主人の場合は、脳と腫瘍の色が違い、つるんとしていて、

なんだか良性腫瘍のような感じでしたので、

「迅速」という手術中に結果がでる簡単な組織検査をしました。


その結果、どうも悪性(グリオーマ)では ないかもしれないのです。


ただ、血管がくっついているし 入り組んでいるので、このまま摘出するのは

今回はとどまりました。


今、組織の精密検査に出して、特殊な染色体検査で、腫瘍がどんな種類のものかを調べています。

結果は2~3週間後ですが、その結果、良性であれば、再手術をします。

中には 放射線が有効な種類のものもあるので、その場合は根治が可能です。

いずれ 精密検査の結果を待って、次の治療を決めます。

今日は一応、ICUに入っていますが、このままでいくと 明日には出てこれるでしょう

ご主人はもう目を覚ましていますので、会ってきても大丈夫ですよ。



嬉しかった。良性の可能性がある! 根治できるかもしれない!!



「奇跡は 神の姿と思え」


奥さんの言っていた言葉が頭に浮かんだ。

奥さんが守ってくれたんだと思った。奥さんに感謝!!

(奥さん=以前働いていた事務所の奥様。娘のように可愛がっていただき、
私も もの凄く尊敬していた方でしたが、1999年に旅立たれました。)


早速 夫の母とICUへ 夫に会いにいく。


まるで虚無僧のような変な形で頭に包帯が巻かれている。

夫の名前を呼ぶと すぐに目を開けた。


「手術 終わったの?」夫がつぶやく

「うん。無事終わったよ」

「で、良性だって?」

「うん。良性だって」



・・・願いを込めて嘘をついた・・・



夫は 安心したように、目を閉じて 眠り始めた



私も 安心した。ホントにホントに良性かもしれない。






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