海外旅行紀行・戯言日記

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ゲーテの詩は如何?



場所:Germany Frankfurt am Main

正しくは「マイン川沿いのフランクフルト」と呼ばれるが、もう一つのフランクフルトは旧東ドイツにあり、端にフランクフルトと言えばこの市に限られます。
代々の神聖ローマ帝国皇帝がフランクフルト大聖堂(ドーム)で戴冠式を挙げる慣わしがあり、19世紀迄続いた古都なのです。モーツアルトが仕えたヨーゼフ2世が戴冠式を挙げるに際し、同行させて貰えなかったことに危機感を覚え、モーツアルト自ら自費で訪問し、歓心を得る為コンサートを開いて演奏したピアノ協奏曲は「戴冠式」(K.527)と呼ばれ、現在では彼の代表曲になっていますが、当時の評判はそれ程でも無かった様です。

フランクフルトには、ゲーテの生家が保存され、その栄誉を記念してゲーテ広場、ゲーテ通り等が残されています。
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真ん中に見える大聖堂(ドーム)から歩いて行けるマイン川の対岸ザクセンハウゼンには安くて気軽な飲み屋が多々あり、リンゴ酒を提供して呉れる庶民地区です。
飲屋街から外れた、中央駅に近い対岸には市立美術館があります。市立でありながら、独・蘭の巨匠の名画を多数所蔵しているドイツ有数の美術館となっています。
ゲーテの友人であった画家ティッシュバインの「カムパニアのゲーテ」は広く高校の歴史教科書に掲載されていた絵画(皆さん! 草原で帽子を被り片肘をついて寝そべっている絵に記憶はありませんか?)で是非見て頂きたい作品です。

ヨハン・ヴォゥルフガング・フォン・ゲーテが「ウィルヘルム・マイスターの修行時代」で詠った「ミニオン」2首の詩があります。
1首目の「ミニオン」は”君よ知るや南の国・・”と明るい詩ですが、2首目は以下の様に嘆き調となっています。どう言う訳か、此方の方に惹かれるのです。

  Nur wer die Sehnsucht kennt,       憧れを知る者ぞ
Weiss,was ich leide!         わが悩みを知っている!
Allein und abgetrennt         全ての喜びから引き離され
Von aller Freude,          ただ独り
Seh ich ans Firmament        ぼんやり大空の
Nach jener Seite.          彼方を見やる。
Ach! der mich liebt und kennt,   あー! 私を知り愛した人は
Ist in der Weite.          遠くに離れてしまった。
ES schwindelt mir, es brennt    眼が眩めいて
Mein Eingeweide.          お腹の中は燃えるに熱い。 
Nur wer die Sehnsucht kennt,    憧れを知る者ぞ
Weiss,was ich leide!        わが悩みを知っている!

ベートーベンとチャイコフスキーがこれを歌曲にしていますが、やはり優れた詩情を汲み取ったのだと思います。


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