ライト{小説





こんな自分



投げ捨てて、今すぐに



変わってしまいたかった








 ただ

   それだけの理由










「亜結花?入るわよ?」

ノックの音が部屋に響いた

夕日が差し込んで

部屋は赤く染まっていた

「危ないわよ、ベッドに戻りなさい」

「…ねぇ、今日も…出られなかったんだ…私」

「そう。ゆっくりでいいのよ。慌てることなんてないわ」

「そうよね、ゆっくりでいいのよね」

怖いくらいに、美しい赤だった

部屋を染める夕日は

もうしばらくしたら、あの海へと

沈んでしまう

「あとでご飯、持って来るからね」

「うん」

病気?まさか

そんなんじゃない

でも、もしかして、もうこれは

一種の病気なのかもしれない

気付いたらこうなってた、仕方なかったんだ

小さい頃から、暗闇が大好きで

太陽の光を浴びることが嫌いだった

熱く、ジリジリと肌を焦がす太陽が

苦手だった

夕日を待ちわびて、夜の街を歩き

昼は部屋で引きこもってるときが多かった

幼稚園、小学校、中学校、そして高校も

ちゃんと学校には通ったが

欠席が目立つ、そんな子だった

理由は太陽に当たるのが嫌だったから

ただそれだけ

別に太陽が悪いわけじゃない

ただの私の我侭

だた、それだけだった

別に、昼の街を歩けと言われれば

歩けたし、太陽を浴びろといわれれば

太陽の下でじっとしていることだって出来ていた

そう、昔は

今だって、太陽は、昼の光は、待ってくれている

と、言うのか…太陽が苦手だった私には

もっと苦手なものがあったんだ

それは、人間

だから人通りの少ない夜の街を好み

昼を拒んだ そして、学校も

だけど、人を見るのは好きだ

だからこうして、2階の窓から

道行く人を眺めている

だけど、目が合ったら

窓を勢いよく閉めて、隠れてしまうんだけど

いつからこうなったのか、そんなの知らない

でも、いつの間にか

人がたくさん居る、昼の世界に

出られなくなっていた

母も父も、私だって人間なのだろう

だけど、時々違うんじゃないかと思う

父も母も、人間ではない、何かで

私だって、人間ではない人間界に住む、なにか…

最近、気付いた事がある

人間嫌いだけではなかった

私は、私を照らす、何かが嫌いだったのだ

それは太陽でなくとも、ライトだって、十分

苦手に値していた

だから、勘違いをしていたんだ、初めは

太陽が苦手、じゃなくて

私を照らすものが苦手

光とか、太陽とか、電気とか…

「亜結花、ご飯、食べるでしょ?」

「…今日はいらない」

「そう。あとでお腹がすいたら言いなさいよ」

「わかった」

現在、高校2年生

1年間は、なんとか通えていた

と言っても、週2回くらいしか、行けなかったんだけど

だけど、それでも何とか

かろうじて、外に出る事が出来ていた

学校ではもちろん一人で行動した

小、中と同じく、高校にも

群れないと何も出来ない人達ばかりで

若干私は浮いていたけど、気にしない

群れなきゃいけない、って言う

校則はなかったから

そんなある日、私は突然

無性に外に出たくなくなった

朝、いつもの同じように起きて

顔を洗い、朝食を食べ、制服に着替え、鞄を持ち

いざ、家を出ようとドアを開けた瞬間

私は今まで見ていた景色の色が、変わった気がした

頭上には太陽、夏だったその日は

いつもどおり暑くて、人もまばらに歩いてて

いつもと何ひとつ変わらなかった

でも、色が違っていた

とても明るく、オレンジに似た黄色

表現できない色だ

私は足がすくみ、動けなくなり

その場にしりもちをついた

そして部屋に駆け上がり、真っ黒のカーテンをしめ

どうしたのだ、私

と、つぶやいていた

それから、私は家から出られなくなった

何故だろう、いまだに分からない

やはり、私は人間ではない何かで

その、何かの能力が目覚め

私をこうさせたのだろうか

本当は、そんなのただの、言い訳に過ぎないのだろう

私は我侭で、やっぱり人間で…

あ、誤解されたくないから、あえて言うけど

今、外に出ようと努力していることは確か


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