カラー {小説











助けて


  助けて




お願い



    息が出来ない







   まだ生きていたい


















名前もなかった私に


あなたは優しくしてくれた



心もくれた


存在価値も、存在理由もなかった私が


生きてこれたのは


全て、貴方のおかげ























「おはよ」

「……此処は、何処?」

「此処はねえ、僕の研究所」

「貴方…誰なの?」

「僕?人の名前を聞くときは、まず自分から名乗るものだよ?」

「…私?」

「そう。君は、誰?」

「…誰だろう……分からない」

「ははっ、そりゃそうだよね。今生まれたばっかだもん」

「え…」

「君、今此処で出来上がったばかりなんだ。僕の手で、作られた。最高の遊び道具」

「遊び、道具…?」

「そう。遊び道具。退屈だったから作っちゃったんだ。案外簡単に出来るものなんだね、ロボットって」

「私は…ロボットなんかじゃない!」

「ははっ、上手く出来たもんだな!さすが僕。やっぱり人間らしさは必要だよね。君はあくまで自分を人間だと思ってるけど、それは僕の作った記憶だよ?」

「私をどうする気?殺すつもり?あなた、一体何者なの?…どうして、名前が思い出せないの…どうして」

「名前は自分で作ればいいさ。君が自分を思い出せないのは、僕が君の中にある自分の記憶を作らなかったからだよ。君は作られた、今ここで。信じられないよね?ははっ。思う存分苦しめばいい。そして、色んな知識を身につけて、また、戻っておいで?僕のかわいい、玩具…」

「何言ってるの…」

私、どうかしちゃったの?

どうして何も思い出せないの?

「さあ、もう行っていいよ?此処から出て、新しい世界へ行っておいで?でもね、いつでも僕は見てるからね。君は逃げることなんて出来ないんだからね」

「何…何なのよ!」

私は走った

研究所を抜け出して

「ああ!待って!君は服を着てない!服を着なくちゃ、警察行きだよ!」

私は怖くて、叫んでるその人のほうを

振り向くこともせず、走り続けた

ドアがあって、そこから飛び出した

苦しい…怖い…つらい…

私は、どこで生まれてどこで育って

何て名前で、歳はいくつ?

全てが、わからない

「きゃっ!」

車にぶつかりそうになって、その場にしゃがみこんだ

「君、大丈夫か?!」

「…あ、あ、…助けて…助けて下さい」

「大丈夫?服はどうしたの?」

「…わからない……わからないの」

「とりあえず乗って!」

私は車の中に乗せられた

色んなことを、思い出そうとするけど

やっぱりどうしても上手くいかない

「…大丈夫?何かあったの?」

「…分からないんです。でも、怖くて…逃げて来たんです」

「服は?」

「はじめから…着てなかった気がします」

「とりあえず家おいでよ?服貸してあげるからさ。そのままじゃマズイだろ?」

「はい…親切にして下さって、ありがとうございます」

「君、名前は?」

答えようと口をひらいても

言葉が、どうしても

出てこなかった

「思い出せないの?」

「…はじめから、なかったような気がするんです」

「両親は?」

「分からないんです」

「…思い出せないなら、無理に思い出そうとしなくていいよ。ゆっくり、ね」


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