My ライフ {小説



誰もが羨む



そんな、家庭で


私は育った






いつからか

家はおかしくなっていた



いつからだろう

なぜだろう


そんなこと、どうでもいいか




私は自分の力で生きてゆくしかない



















「愛子…これからは、別々の道を歩みましょ」

冷戦が、永遠に続くと思っていた私にとって

その一言は

予想もしなかった言葉だった

「何?何言ってるの?」

「お母さんね、お父さんと離婚することにしたの」

「えっ…そうなんだ。じゃあ私、お母さんと暮らしてもいい?」

「私、再婚することになったの。この歳でまさか恋愛が出来るだなんて思わなかった。もう幸せ逃したくない」

「そんな…私、新しいお父さんと仲良く出来るよ?」

「子供は連れて来ないって言うのが、再婚の条件なの。お父さんと、正也と、3人で暮らして頂戴」

ごく普通の、平凡な4人家族

2年前までは、とても幸せで平和な日々を送ってた

私は毎日部活と勉強に追われて、

弟の正也はまだ小学生だったから毎日遊びほうけて…

お父さんは毎日仕事に行って、毎日同じ時間に帰ってきた

お母さんは主婦業をしながら、パートも少ししていた

みんな、充実した日々を送っていた

…ようにみえただけだった

ある日、お父さんの浮気が発覚した

見つけたのは私

携帯電話をみたら、若い女からのメールが入ってた

私は吃驚して、信じたくなくて

その女に電話した

「勝彦の娘ですが、あなたと父はどういった関係ですか?」

って

そしたらその女は、こう言った

「愛し合ってる」

私は許せなくて、お父さんを問い詰めた

そしたら父は、私のほしがっていたものを

次から次へと買ってきた

言いたいことが、すぐに分かった

口止めのために父は必死だった

母はそんな父の異変に気づいた

どうして愛子にそんなに甘いんだ、って問い詰めた

私も母から問い詰められて、言ってしまった

お父さんの浮気を知ってしまったことを

お母さんとお父さんは会話をなくした

正也も家庭の異変に気づいたのか、遊ぶのをやめて

学校から帰ってくるなり、部屋に閉じこもるようになった

私は罪悪感でいっぱいだった

私さえ気づかなければ…

私の家族は、冷え切ってしまった

「ねえお父さん…お母さん、再婚するんだって」

母が出て行って、3日がたった

「私…私と正也とお父さんで、楽しく暮らせたらいいなって、思うの」

「…お父さん、忙しいから、あっちへ行ってなさい」

「…うん、ごめんね」

父は仕事に明け暮れた

私は高校1年生

バイトをして、自分の服や携帯代は自分で何とかしてた

正也は中学2年生

お父さんや私に迷惑をかけたくないからって

成績はいつもトップだ

塾にも通えないのに、家で一生懸命勉強して

いい点を取っている

気の毒だ

私だって

「正也…頑張ろうね、一緒に」

「……姉ちゃん…俺達、どうなんのかな」

「どうなる、って?」

「お父さんまで出て行ったりしないよな?俺達のこと、嫌いになったりしないよな?」

まだ中2の正也まで、こんな事を考えてるなんて…

「大丈夫だよ」

「姉ちゃん、今日もバイト?」

「うん」

「俺、早く高校生になりたい」

「どうして?」

「姉ちゃんとお父さんのこと、少しでも支えたい。今の俺は、ただのお荷物だから」

「お荷物なんて思ってないよ。そんなこと考えちゃだめだよ」

「…うん」

きっと正也も辛いんだ

私だけじゃないんだ


私のバイト先に、正也がやって来た

「姉ちゃん…!」

「正也!どうしたの?」

「お父さんが、出てった…」

「えっ…」

「…浮気相手のとこに、行ったんだと思う」

「どうして…今更になって」

「わかんねーけど、居ないんだ…書置きがあった」

「とりあえず、お姉ちゃん、バイト早退させてもらうから、そこで待ってて」

「うん」

私は店長に許しをもらって

バイトを早退した

それから正也と走って家に戻った

玄関を開けたら、父が居た

「…お父さん……」

私も正也も言葉が出なかった

「ああ。お帰り。」

「なに、してるの?」

「何って…見れば分かるだろ?荷物をまとめてるんだ。」

「どうして…」

「この家を出ていく」

「何処に?ねえ、お父さん…私達も、一緒に行っていいんだよね?」

「お前達はこの家で暮らせ」

「なんで…どうして?私達だけで生活なんて…出来るわけないじゃない!」

「金のことなら大丈夫だ。毎月いくらか振り込むから。学費は父さんが払うし。食事は外で買うか食べに行くかしろ。それに愛子はもう高校生だろ。自分のことは自分で出来るよな?正也も行きたい高校へ進学しろ。金のことなら父さんが全て面倒をみるから、心配するな」

「お金のことだけじゃないでしょ!私達、まだ、子供なのよ?!」

「…父さんだってな、何の楽しみもなくこのまま仕事に浸って死んでゆくのは嫌なんだよ。それに、お前達の顔をみてたら、あいつのことを思い出す」

「そんな…」

私は言葉を失った

お父さんまで、居なくなっちゃったら

私達、どうすればいいの?

「やだよ!父さん!行かないでよ!」

正也が叫んだ

正也が大声を出したのを見たのは

何年ぶりだろう…

「父さんも母さんも居なくて、俺達が自分達だけで生きてくなんて無理だよ!父さん…俺、何でもするから、勉強もして成績はトップを保つし、遊んだり、我侭も、言わないから…父さんの理想通りにするから…だから」

「…父さん、お前達に何の望みも理想もないんだ」

父は、そのまま出て行った

お父さんがドアを開けたとき、派手な格好の女と目が合った

笑ってた

私は、怒りも悲しみも感じなかった

私は正也を抱きしめた

「大丈夫…お姉ちゃんが居るから」

正也は泣いてた

私達、2人で生きていけるよね

生きていくしかないんだよね

「正也…座って」

私は正也と向かい合って座った

「我侭、言っていいんだからね」

正也はうつむいたままだった

「欲しいものがあるなら、すぐに言ってね。ご飯もお姉ちゃんが作るし、お弁当だって、お姉ちゃんが作る。参観日だって、お姉ちゃんが行くし、親が居ないからって、何の心配もいらないよ」

「……いいよ。姉ちゃんは今まで頑張って来たじゃんか。もう頑張らなくていい」

「…正也、私、嫌でバイトもしてるんじゃないの。親が居ないからって何?それが何なの?お父さんだってお金の事は心配いらないって言ってたし、大丈夫よ。何も心配しなくていい。それにね正也、もう勉強も頑張らなくていいよ。高校だって行きたい所に行けばいいんだし、小学生の頃みたいにたくさん遊んでもいいのよ」

「父さんだって、いつ俺らを見捨てるか分かんないよ」

「見捨てられてもいいじゃない。二人で居れば、二人で生きていけばいいんだから」

「……姉ちゃんも無理すんなよ」

正也はそういい残し

部屋に戻った

私は一人テレビと向かい合ってた

何を見ているのかさえ、あやふやだった

テレビに映る人にさえも

取り残された気分だった

一人ぼっちじゃない、って言う事だけを

頭の中で何回も繰り返してた

正也が居る、独りじゃない、

お父さんだってお金の事は面倒みてくれるんだから

まだ、捨てられたわけじゃない

大丈夫、きっと、大丈夫

 ━「奈良の中学生が自殺した件について、評論家の渡辺和彦先生に意見をお伺いしましょう」

 ━「いじめられて耐えれなくなったんでしょうね。イジメくらいで自殺してしまうなんて、今の子供達は死に対する恐怖心がなくなって来ている証拠です」

 ━「そうですね」

キャスターと評論家のおじさんの声が

ただただ広いリビングに響いている

リビングも机も、今日は余計に広く感じた


「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい!」

次の日の朝、正也は普通に家を出ていった

いつもと変わりない朝

私も急がなきゃ、って

いつも思うことを変わりなく思う自分に

少し驚いた

母も…父まで、出て行ってしまった家に

私は住んでいる

この先の不安とかいっぱいあるけど

今日のことを普通に考えてる

習慣って恐ろしい

行ってきます、と小さく言い

学校へ向かった

別に、何も変わらなかった

みんないつもと同じように挨拶を交わし

私もいつものように会話して笑って

何も変わらない

「じゃーねー!ばいばい!」

下校時刻

今日はたまたまバイトがない

気晴らしに買い物?本屋?CDショップ?

なんて、考えられるような気分じゃなかった

兎に角家には帰りたくない、なんて

思ってしまった

「…はあ」

私の大きなため息と共にドアが開く音がした

「まだ残ってたんだ?」

同じクラスの鈴木くんが私に声をかけた

「うん…今日はバイト、ないんだ」

「へえ」

鈴木くんは机の上の鞄をとって

再びドアの前まで行った

「……今日さ」

鈴木くんにいきなり話しかけたから少し驚いて

私は鈴木くんの方を見た

「え、なに?」

「今日、元気ないよな」

「どうして?」

「…なんとなく。見てて、そう思った」

気づかれてたの?みんなに

「そんなことないよ?別に、普通だよ」

「それならいいんだけど。何か抱え込んでるなら、相談、乗るし…なんて言うか、何でも一人で抱え込むのはよくないから」

「なんで?どうして鈴木くん、そんなこと言ってくれるの?」

素直に、ありがとう、と言えばよかったの?

でも私は率直に思ったことを言った

なんで、どうして、って

「澤田が、なんか、元気なさそうで…心配だったから」

「心配してくれたの?」

「……うん」

「ありがとう…鈴木くん、優しいね。私なんて別に特別仲がいい訳でもないのにさ」

「…違うんだ」

「なにが?」

「俺、澤田だから心配した…他の奴だったら、別に何も思わないけど、俺…」

どうして、って思ったけど

何故か言葉が出てこなかった

もしかして、私のこと、好きなの?なんて

思っちゃったから

過剰すぎるよね、私

馬鹿みたい

もし本当にそうなら、どうするのよ

どうするつもりなのよ

どうすればいいのよ

「…うん、そっか。ありがとう。なんだか元気出てきちゃった」

「あのさ…話、聞いてくれないか?」

「……なに?」

自分でも怖いくらい、想像というものは

無限に広がっているんだなと思った

「俺………澤田のこと、す、好きなんだ」

あ、どうしよう

当たっちゃった

想像してたことが、現実になってる

うそ…だって私、恋愛なんてやってる暇ない

「…付き合ってください」

条件つきで、OKしてあげる

あのね鈴木くん

家、今大変なの

弟のこともあって、お金のこととか、色々大変で

私が全て面倒みなきゃなんないの

ご飯とか、洗濯とか、お母さんが今までやってたこと

全部、私の仕事で

バイトもあって、やっぱ稼がなきゃやってけないし

もし私が遊びに行っちゃったりしたら

遊びに行こうともしない弟に悪いし

「…返事、待ってるから」

「あっ、鈴木くん!」

鈴木くんは教室を走って出て行った

どうすればいいの?

第一、私は鈴木くんのことどう思ってるの?

何も思ってないじゃない

…なのに、ドキドキしてる

錯覚だよね

だいたい、こんな大変なときに

恋とか出来ないよ

「ただいまぁ…」

家の電気はついていなかった

「正也ー?居ないの?」

二階に上る階段から叫んでみたが

返事はなしだった

私は正也の部屋のドアをあけた

「正也…?なんだ、居るんじゃない。返事くらいしてよ」

「…ああ、おかえり」

「なにしてるの?」

「見て分からない?」

「…勉強?でもどうして?テスト、ないでしょ?」

正也は黙ったままだった

「……あのね、お姉ちゃん、告白されちゃった」

「え?」

正也は手をとめ、私のほうを見た

「私、同じクラスの鈴木くんって子に告白されたの。好きだって言われた。」

正也はまた教科書に目を落とした

「だから?」

「付き合うとか考えられなくて…ねえ、正也は恋してる?好きな子とか居ないの?」

「恋なんてしてる暇ない」

「それは私だって」

「その、鈴木と付き合えよ」

「え?」

「好きじゃないんだったら別にいいけど。好きなら付き合えよ。俺の事とか気にしてくれなくていいから、姉ちゃんの人生だろ」

「好きなのかすら、分かんないの」

「…て言うか、何で俺にそんな相談持ちかける訳?」

「だって…他に相談する相手なんて、居ないんだもん」

「友達にしろよ、そんなの」

「みんな、面白がるだけだし。家の事情知ってるの正也だけだもん」

「………自分の好きなようにしろよ」

正也は教科書を1ページめくった

私は少しノートを除いてみた

「…ごはん、食べに行こ?」

「いいよ。コンビニで買うから」

「ううん。駄目。食べに行くよ、ほら!」

「俺今忙しいんだけど」

私は正也の手からシャーペンを奪い

教科書を閉じた

「さ、早く用意して?お姉ちゃんおなかすいちゃったー」

「金は?あんのかよ」

「あるよ?お父さん、いくらか置いてったみたいだから」

「あっそ」

楽しいことを見つけなきゃな、と思った

他の家庭よりも、大分寂しい生活だけど

その中で楽しみを見つけなきゃ

やってらんないよ

「正也何食べたい?」

「別に、なんでも」

私と正也が二人で歩いていると

友達の真知子と小百合が走りながらこっちに手をふっているのがみえた

「愛子ー!」

「どうしたのー?」

「今カラオケ行ってたの!愛子は?どこ行くの?」

「ご飯食べに行くの」

「へー。そちらは?」

真知子が正也を見た

小百合が「彼氏?!」と叫んだ

「まさかー、弟の正也」

「…どうも」

正也は無愛想に頭を下げた

「弟かあ!凄い年下の彼氏だなあと思ったら!」

「じゃあ私、行くね」

「また明日ねー」と二人は手をふった

いいな、と羨ましく感じた

カラオケではしゃいで楽しさの余韻に浸って

私は、これからは、そうはいかない

カラオケとかもう無縁なんだろうなあ、と思うと

なんだか泣けてきた

「何食べんの?」

正也も思ったのかな

「正也決めていいよ」

普通でいいから

幸せでありたいよ、って

それから私達は食事を適当に済ませ

ただただ寂しい家へ戻った

「ねえ正也…無理はしないでね」

「何が?」

「勉強とか学校とか…嫌なことあるんならやめればいいし、高校のことだってある程度勉強できれば入れるんだし。やりたい事たくさん、やればいいんだよ?正也が気なんて使う必要ないんだよ?私達、家族じゃん」

「やりたい事とか、別にないし。…勉強も、いい高校入っていい会社で働けるようにやってるだけだから」

「正也…今、幸せ?」

「…別に。でも、不幸せな訳でもない」

「そっか。そうだよね。私達、不幸せなんかじゃないよね」

自分に言い聞かせてるみたいで

なんだか、寂しくなった

誰かに甘えたい

そんなことを思うのは、贅沢ですか?


次の日、学校へ行ったら

鈴木くんは私から目を逸らした

やっぱりちゃんと返事しなきゃいけないよね

「愛子ー!おっはよ」

「…小百合、おはよ」

「あれー?元気無くない?」

「え、そう?そんなことないよ」

「ねえ聞いてよ!麻由美がさ、4組の斉藤に告られたって!まじ有り得ないよね!斉藤めちゃめちゃかっこいいじゃん!?皆狙ってたじゃん!?私もここだけの話、ちょっと狙ってたんだよねー。麻由美がどうするかはまだ知らないんだけど、あんなかっこいい奴、振る訳ないよね」

「うん、そうだよねー…」

「何?驚かないの?あ、もしかして知ってた!?」

「え、ううん。これでも内心すっごい吃驚してるよ?もう有り得ないってー…麻由美もこれで彼氏持ちかー」

「で、あんたはどうなのよ。美紀が鈴木は愛子狙ってるって言ってたけど、実際、どーなの?」

「そっ、そんな噂まであるの!?」

「え?まさかもう告られちゃった?」

「…まっ、まさかー。て言うか、そんなのデマじゃない?」

「もし告白されたらどうすんの?」

鈴木くんが見てた

目が合ったら、視線を逸らされた

「…ねえ愛子?」

「え、あ、うん…」

「告白、されたらどうるんの?」

「…あー、どうしよう?小百合ならどうする?」

「鈴木かー…まあまあかっこいいし、私なら付き合うかな。別に今好きな人もいないし。でも、森山だったら、即OKだけどね!あの顔、クールなとこといい、最高じゃない!?」

「うん、そうだねー」

「あっ!美紀、おはよー!昨日の話だけどさー、」

私はそのまま席で固まってた

鈴木くん…嫌いじゃないけど、別にタイプってわけでもない

少し大人しいし、授業中は真面目だし

でも友達は多いほうで

好きか嫌いかで言えば、好きな方だけど

正也だっていろいろ我慢してるのに

私だけ、恋とか付き合うとか彼氏とか、そんなこと、言ってられないよね

それに、バイトもあるし

デートとかしてる時間もないじゃない?

付き合っても、遊んだり出来ないわけだから

退屈させちゃうよね

こんな中途半端な気持ちで付き合っても、鈴木くんに失礼だし

「今日の放課後、教室で待ってるから。誰も居なくなったら、来て欲しい」

鈴木くんが私の前にたって、それだけを言って

自分の席についた

返事も出来ないまま、私は言葉を失ってしまった

どうしよう

放課後までに、答えださなきゃ

でも、もう、何も考える必要ないよね

私には余裕が無い

鈴木くんには悪いけど……

「愛子?逃した魚はね、大きく見えるんだよー?」

「小百合っ…いつの間に」

「後悔だけはすんなよ。愛子は色々考えすぎちゃうとこあるから。気持ちのまま、素直でいいんだからね」

「…ありがとう」

チャイムがなった

時間は、待ってくれない

その日一日、妙に鈴木くんと目が合った

微笑むことも出来ないし、逸らすのも悪いから

固まってしまう

まだ、答えを決めかねてる自分がいる

放課後を知らせるチャイムが鳴る

鈴木くんは、席に座ったまま動かない

私も席についたままだ

「愛子、素直が一番、だからね」

「小百合…」

「どんな答えも、愛子が納得したものなら、私は受け入れる」

「…うん」

「じゃあ、また明日ね」

生徒の数はどんどん減って

私も一度、怪しまれないように、教室を出た

屋上に行って、しばらくの間考えていた

こんなに決断力なかったっけ?私

「澤田」

「…鈴木くん」

「場所、変更してもいいかな?」

「うん」

「教室だと、人完全に居なくなるの、時間かかりそうだから」

「…そうだね」

「誰にも聞かれたくないし。突然邪魔者が入ってきても困るからね」

「邪魔者?」

「君を好きな奴は、ほかにも居ると思うし…」

「そんなこと、」

「……俺は誰よりも澤田が好きだ。幸せにしたいと思う。毎日、澤田が楽しくすごせるなら、どんなことでもする。俺は本気で、澤田が好きだ」

「…あのね、私……」

今すぐ甘えたいと、思ってしまう

誰かの胸で泣きたいときだって、あるし

だけど……っ

鈴木くんが私を抱きしめた

「…な、なに……」

「本当に好きなんだ…ごめん……もう少し」

「…鈴木くん?」

「俺、澤田じゃないと駄目なんだよ。ほかの奴なんて、考えられない」

「……私、色々あって…たくさんデートしたり、放課後遊んだり、出来ないよ?」

「それでもいい」

「…寂しい思い、させちゃうかもしれないし」

「それでもいいんだ。そんな澤田と一緒にいたいと望んだのは俺なんだから。嫌になったら捨ててもいいから、…付き合って下さい」

「…はい……」

鈴木くんが私から離れた

「本当?」

「うん」

「よかった…っ」

鈴木くんはまた私を抱きしめた

「…どうしてそんなに?」

「俺、中学のときから、澤田が好きだったんだ」

「でも中学、一緒じゃなかったよね?」

「中3のとき、文化祭で見かけて、一目惚れしたんだ。それから高校に入って、君を見つけた。運命だって、勝手に思い込んだ。それからずっと好きで…でもぜんぜん声もかけれなくて、一緒のクラスになったとき、決めたんだ。告白しようって」

「そうだったんだ…ずっと、想っててくれたんだ」

「…ああ」

「…」


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